表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/54

「二十九」

 須勢理早妃と仙巌園佐保は、良く似ていた。

 もちろん、趣味や性格や容姿は大きく違う。

 けれど、共に友人を作ることが苦手なところ――意識的にしろ、無意識的にしろ、人を遠ざけてしまうところが、とても似ていると思った。

 そしてそれは、必ずしも彼女たちが「悪い」わけではない。「原因」が彼女たちにあったのだとしても、そこに「責任」はないはずだった。


 早妃が集団から孤立したそもそもの原因は、やはり虚弱であったことだろう。

 長らく満足に学校へ通うことも出来ず、外を駆け回ることも出来ず、山中の屋敷の周囲には民家などまばらで、同年代の子供ともなると最早皆無だった。

 しかし、孤立を決定付けたのは、何と言ってもその異能だ。

 ただでさえ人が訪れ難い環境であるのに、その上、眼に見えない何かと談笑している姿など見られてしまったら、もうお仕舞いである。

 当初は早妃の境遇を哀れに思い尋ねてくれた人々も、時が経つに連れ一人減り、二人減り、早妃が十になる頃には、じいさんと診療所の女医さん以外、誰もいなくなっていた。


 ――そんな早妃と、佐保ちゃんは同じだった。

 佐保ちゃんから人々を遠ざけたのも、また――異能、だったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ