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「二」
ガラクタの山の一角を片付けた時、覗いた地面には蓋をされた入り口らしきものがあった。
どうやら、地下室らしい。
けれど、親父に聞いてもそんなものは知らないと言うし、もちろん俺自身も聞いたことがない。
――何より、まるで存在を隠すかのように重い荷物の下敷きにされていたことが引っかかった。
男って奴は、幾つになっても冒険心、未知への探求ってものを忘れない生き物だ。それに挑まない奴なんて、男じゃない。そんな奴は腑抜けた出涸らしだと思うね、俺は。
心配する妹を余所に、俺は地下へと降りた。
灯りなんて気の利いたものは持っていなかったから、光源はスマートフォンのバックライトだけ。
頼りない光に照らし出されたのは、さして広くはない部屋。
土壁も剥き出しで、単に地面をくり抜いただけの簡素な地下室。
――見れば、丁度部屋の中央に、小さな社のようなものがあった。