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「二十四」

 はっきり言って、あんな風に囃し立てられたりするのは好きじゃない。

 まして、「王子様」だなんて、柄でないどころの話じゃないのだ。


「意外です……先輩って、もてる人だと思ってました」


 佐保ちゃんはそう言ったが、とんでもない誤解である。俺なんて、どこまで行っても単なる民俗学オタクだ。研究者体質の冴えない男やもめが良いところなのだ。


「でも、私には声掛けてくれたじゃないですか。……普通、女の子苦手なのに、泣いてる子に声掛けたりしませんよね……?」


 尚も納得が行かない顔をする佐保ちゃん。

 ……いや、何と言いますか。全ては早妃の姿にダブって見えてしまったことに原因があるわけで。

 早妃さん愛されてますねー、なんて言ってる胡散臭い『付喪神』をやかましいと一蹴するも……早妃は早妃で、にこにこと嬉しそうに笑ってるし。

 ……やれやれだ。


 ともかくも、そうこうしているうちに、もう昇降口が目前である。

 ――とっとと、やるべきことをやってしまわねば、な。



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