「十五」
……そんなことがあったもんだから。
正直に言えば、気まずい思いがなかったわけではない。
まして、わざわざ引き合わせるなんてのは、はっきり言って言語道断。今度はどこを触れと言われるか、分かったものじゃない。
……だが、俺は思うのだ。
寂しい者同士なら、つべこべ言わず友達になってしまえば良い。諸々のことなど後になってから考えろ。そのくらい大雑把であったって良いのだ、友人関係なんてのは。
――そんなわけで。
「予期せぬ再会」にかこつけて、一緒に弁当を食う相手もいないコミュ障と、独り寂しく涙に暮れていた物静かな少女を、強引に引き合わせてみたりしたのだが。
「えっと……須勢理、早妃さん……だよね……?」
「はい、覚えていて下さって嬉しいです――仙巌園佐保さん」
なんて。
どう紹介したものかと思案していたが、何のことはない。二人は最初から顔見知りだったのだ。
「ええ、同じクラスの方ですから」
「クラスでは話したことなかったから……何だか、不思議な感じ……だね」
つまり、まあ……佐保ちゃんとやらも、例に漏れず早妃の物腰に尻込みしていた一人だ、と。
しかし、
「あの……早妃ちゃん、って……呼んでもいい……かな……?」
「ええ、もちろんです。では、わたくしも佐保ちゃんとお呼びしますね」
なんてやり取りを見る限り、どうやらお互いを悪くは思っていないようで。
人知れず、ほっと胸を撫で下ろす愚兄なのであった。




