表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/54

「十五」

 ……そんなことがあったもんだから。

 正直に言えば、気まずい思いがなかったわけではない。

 まして、わざわざ引き合わせるなんてのは、はっきり言って言語道断。今度はどこを触れと言われるか、分かったものじゃない。

 ……だが、俺は思うのだ。

 寂しい者同士なら、つべこべ言わず友達になってしまえば良い。諸々のことなど後になってから考えろ。そのくらい大雑把であったって良いのだ、友人関係なんてのは。


 ――そんなわけで。

 「予期せぬ再会」にかこつけて、一緒に弁当を食う相手もいないコミュ障と、独り寂しく涙に暮れていた物静かな少女を、強引に引き合わせてみたりしたのだが。


「えっと……須勢理、早妃さん……だよね……?」

「はい、覚えていて下さって嬉しいです――仙巌園せんがんえん佐保さほさん」


 なんて。

 どう紹介したものかと思案していたが、何のことはない。二人は最初から顔見知りだったのだ。


「ええ、同じクラスの方ですから」

「クラスでは話したことなかったから……何だか、不思議な感じ……だね」


 つまり、まあ……佐保ちゃんとやらも、例に漏れず早妃の物腰に尻込みしていた一人だ、と。

 しかし、


「あの……早妃ちゃん、って……呼んでもいい……かな……?」

「ええ、もちろんです。では、わたくしも佐保ちゃんとお呼びしますね」


 なんてやり取りを見る限り、どうやらお互いを悪くは思っていないようで。

 人知れず、ほっと胸を撫で下ろす愚兄なのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ