1/54
[序]
・「一日五分から読めるライトノベル」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
未だ神代の薫り漂う奥出雲の山の中に、じいさんの家はあった。
古くから続く地主の家系であったから、それは屋敷と言っても差し支えがない佇まいで、庭には当然の如く、立派な蔵が聳え立っていた。
蔵には、俺のような一介の高校生にはその価値を推し量ることも出来ない、種々雑多な古物遺物が溢れていた。
壺、絵皿、書画。いわゆる、骨董の類だ。
――始まりは、そんな異様猥雑な、依り代たちの山の中で。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――