迫られる選択
3月4日朝。
昨日の嫌な記憶が脳の中を駆け巡る。
あの日、世界の100%の19歳以上の人間が死亡したらしい。情報元はインターネットだ。
”adult's madness”、日本語訳で”大人の発狂”。子供達はこの世界に取り残されたのだ。
長年溜め込んできた知識を伝える者達が消え、科学は確実に衰退するであろう。だからこそこれは”神の怒り”なのだという声も上がっている。
”ノアの箱舟”をご存知だろうか?
人々の”悪”に怒った神の起こした大洪水によって、全ての一組の種を残して地上から洗い流した話である。
これを今度は未知の病によって起こそうとしているのではないか?という説が一番有力であった。
神々の力でなければ起こせないようなパンデミック、もしくはバイオハザード。対象は19歳以上で、感染率100%、死亡率100%なのではないか。
ここまでが風の情報収集能力によって集められた一定以上の可能性がある情報である。
本来ならば多量の情報が収集できるはずであるが、大人が全て死んでしまい情報網が崩れてしまったため集めきることは不可能であった。
ネットに繋ぎ、最近の更新から重要な情報だけを抜き出していく。
真新しい情報としては、あの日あの瞬間より後から19歳に達した人間は”adult's madness”の影響を受けず普通に暮らしているということだろう。
つまり、ここから人類は繁栄をしていけばいい。それが分かっただけでも僥倖であろう。
次の問題は子供に関してだ。親が死んだ自我の芽生えていない子供達はどうなるのか。
食料に関しては総人口が減ったために十二分に賄えるが、母乳や子供用の粉ミルクは賄えるものではない。日本ではコンビニやスーパーから盗ってくればいいが、発展途上の国ではそうもいかない。
結局有効な打開策は書いておらず、水や動物のミルクを与えるようである。
母親を増やすという案が書いてあったが、母乳が出るまでの期間が長いために却下されていた。