第七章: 条件分岐
アランはレベルアップしたことで新たに習得した「条件式」について、教会の庭で試していた。Ranモードを使って条件を設定し、それに基づいた行動を自動で行うことができるこのスキルは、非常に強力であると感じた。
まずアランは、視界にスライムが入ったときに自動的に棒を振る条件を設定してみた。頭の中でそのイメージを思い描き、Ranモードに切り替えると、スライムの形を模した人形が視界に入るたびに棒が素早く振られるようになった。
「すごい、これなら効率的にスライムを倒せるかもしれない。」
アランはその動作の精度と速度に感心しながら、自分の新しいスキルに自信を深めた。
しかし、いざ実際に試してみると、いくつかの問題が浮かび上がってきた。アランはスライムの形を模した人形を遠くに置き、視界に入るたびに棒を振る条件を設定したが、実際に棒が振られると、スライムに当たらない距離で空振りしてしまうことが多かった。
「視界にスライムが入った時に自動的に棒を振るのはいいけれど、当たらない距離で振っても意味がないな。」
アランは思わずつぶやいた。
何度も試行錯誤を重ねるうちに、アランは次第に問題の本質に気づき始めた。視界にスライムが入った瞬間に反応する条件は、確かに迅速で効率的に思えたが、実際には距離やタイミングの調整が難しいことが分かった。
「どうしよう…このままでは空振りばかりで役に立たない。」
アランは庭に腰を下ろし、頭を抱えた。
今は条件の入力として「視界」を利用している。「視界」は目で行えているが、スライムまでの「位置」についての入力は存在していない。
「条件式をただ単に視界に入るときに設定するだけじゃなくて、距離も考慮しなければいけないんだ。」
アランは立ち上がり、再び試してみることにした。まずは、スライムが視界に入ってから一定の距離内に入るまでの時間を計測し、その後に棒を振るという複雑な条件を設定しようと試みた。
しかし、やはり人間の目視だけでは正確な距離や座標を検出するのが困難であることが判明した。さらに、スライムまでの到達時間など体感による時間感覚だけでは限界があった。
「やはり、これでは難しいか…」
アランはため息をつき、何か別の方法を探さなければならないと感じた。