第五章: 初めてのプログラミング 〜順次構造〜
教会の庭先には、青々とした芝生が広がっており、中央には木製の練習用人形が立てられていた。ユウトは、昨晩のダンジョン探検での失敗を受けて、この庭先で一生懸命に練習していた。彼は棒を振り回しながら、スライムの形を模した人形に対して正確な一撃を加えようと奮闘していた。
しかし、ユウトの動きはどうしてもぎこちなく、足の踏み込みや手の振り、体の向きや目線がバラバラになってしまっていた。そのため、人形に攻撃を当てることができず、どこかで躓いているような印象を受けた。
アランは、ユウトの頑張りを見守りながら、彼の動きを観察していた。ユウトが力を入れて棒を振るたびに、その無駄な動きがスライムの形をした人形の周りを振り回し、まるで風が吹き荒れているかのような様子だった。アランは、その姿を見て手順の改善が必要だと感じていた。
ふと、アランの心にひらめきが訪れた。彼は複数の行動と順序をイメージし、試しにRanモードに切り替えてみることにした。すると、アランの体は驚くほどの速度で動き出し、棒を振る動作が一瞬で終わると同時に、周囲に「パーン!」という空気の破裂音が響いた。
アランはその速度と精度に驚き、しばらくそのままの姿勢で立ち尽くしていたが、すぐに冷静さを取り戻した。彼はこのスキルをユウトにも活かせる方法を考える必要があると感じた。
突然の破裂音に驚きこちらをみているユウトを呼び寄せ、アランは紙に手順を書き始めた。
「ユウト、君の動きにはまだ改善の余地がある。これから説明する手順をよく見て、イメージを持つことが大切だ。」
アランは紙に、棒を振る動作の順序や体の使い方を詳しく示した。足の踏み込み方、体の向き、手の振り方、目線の合わせ方など、一つ一つの動作を整理して記入していった。その後、ユウトにその紙を渡し、説明を続けた。
「この手順をイメージしながら、Ranモードに切り替えてみて。君の動きがもっとスムーズになるかもしれない。」
ユウトは紙を見ながら頷き、アランの言葉に耳を傾けた。彼の表情にはまだ不安が残っていたが、アランの言葉を信じて試してみる決心をした。ユウトは深呼吸をし、紙に書かれた手順を心に刻みながら、Ranモードに切り替えた。
ユウトの体が再び驚くべき速度で動き出した後、彼はその行動を何度も試している。棒が一閃するたびに、周囲に風が吹き抜け、練習用のスライム人形が激しく揺れた。アランはその様子を見守りながら、日が暮れるまで繰り返し棒を振るユウトがどこまで成長するのか、期待を込めて見守っていた。