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第52話: 観点別評価


ダンジョンのテストプレイから数日後、参加者全員が集まった広間には穏やかな空気が漂っていた。子供たちの表情は固く、緊張感に満ちている。アランとの反省会で自分たちがテストプレイで何を目的にするべきかをもっと意識すべきだったと指摘されていたからだ。そんな中、カルロスがテーブルの前に立ち、タブレットを手に持ちながら話し始めた。


「まずは、皆さん、よく頑張りました。このテストプレイの目的は、ダンジョンの生成が狙い通りに行われているかの確認でしたが、それ以上に、皆さんがどのように取り組んでくれたかを評価することが重要です。」


カルロスは子供たちの表情を見渡しながら、手に持っていたタブレット画面をプロジェクターに写し話を続ける。


「今回の評価は、いくつかの観点から行います。まずは『目的意識』。これは、皆さんがダンジョンの攻略に向けてどのような意識を持って取り組んだかを評価するものです。」


カルロスはユウトの方を見て微笑んだ。


「ユウト、君は最初からしっかりと目的を持ってダンジョンに挑んでいましたね。モンスターを倒すことだけでなく、チーム全体の勝利を考えて動いていた。その意識が非常に高く評価されます。」


ユウトは少し驚き、照れくさそうに頷いた。


「次に『創造力』です。これは、問題に直面したときに新しいアイデアや方法を見つけ出す力です。リナとアリス、君たちは二重詠唱魔法という新しい手法を取り入れ、見事にボスを倒しました。これはまさに創造力の賜物です。」


リナとアリスはお互いに微笑み合いながら、カルロスの言葉に耳を傾けていた。


「次に、『協調性』についてですが、これはチーム内での協力と連携を評価します。レオンとフィン、君たちが壁を抜けてゴールにたどり着いたのは、しっかりとした協力と連携の結果です。バグを発見するために慎重に進み、壁の向こうを探ることを選んだ。それはチームワークの成果と言えるでしょう。」


レオンとフィンは少し得意げな表情を見せた。


「最後に『問題解決能力』です。これは、予期せぬ問題に直面したときに、それをどう解決するかの能力を評価します。マックス、君は強力なボスに対して勇敢に立ち向かい、回復お守りを使ってその場をしのいだ。これは、状況に応じて的確な判断を下す力があったからこそです。2人が詠唱する時間を十分に稼げたことも大きかったですね。」


マックスは大きく頷き、カルロスの言葉を受け止めた。


次にギルドマスターがゆっくりと歩み寄り、深い声で話し始めた。


「ダンジョンでの戦いというのは、厳しいものだ。それでも、君たちは楽しんでいた。冒険者の資質というのは、危険な状況でも自分を見失わず、前を向くことだと思う。今回のテストプレイで、君たちはその資質を十分に示してくれた。」


ギルドマスターは、一人ひとりの顔を見つめながら言葉を続けた。


「ダンジョン制作の目的は、若い冒険者たちが経験を積み、成長する場を提供することだ。君たちがこのダンジョンで難易度が上がっていくダンジョンに積極的に取り組んでくれたことこそ、我々が目指したものだ。今回のテストプレイは成功と言っていい。君たちのおかげだ。」


子供たちはギルドマスターの言葉に胸を張り、自分たちが成し遂げたことに誇りを感じていた。そんな表情を見たギルドマスターは最後に一言加えた。


「とはいえ、アランからの言葉も忘れずにな!」


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