表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/67

第38話: リナ対アリス 1

「始め!」


審判の声が響き渡った瞬間、リナは迷うことなく杖を掲げ、詠唱を開始した。彼女の頭の中には、データベースに蓄積された膨大な数のワードが一瞬で駆け巡る。彼女の手に握られた杖が輝きを放ち、その光が瞬く間にアリスの周囲に広がった。次の瞬間、地面から炎の柱が立ち上がり、アリスを囲むようにして燃え盛った。


詠唱において、リナが最も重視しているのはスピードと効率だった。魔法の発動にはいくつかのワードが必要で、その組み合わせが発動される魔法の特性を決定する。リナは「属性」「発動速度」「効果範囲」「持続時間」などのワードを選び、それを杖型のアーティファクトにスタックさせる。最も重要な要素は、詠唱の順番だった。スタックされたワードは、最後に唱えたものが最初に発動するため、優先順位を考慮しながら組み合わせを決定する必要がある。


「まずは、これでどう?」リナは「炎」「範囲」「即時発動」のワードを順に唱え、データベースから最適な詠唱手順を引き出す。杖が光を放ち、アリスの前方に火柱が立ち上がる。だが、リナはすぐに次の詠唱に移る。


「アリスにだって、これくらいじゃ簡単に負けないか…」リナは心の中でつぶやく。普段、静かで控えめなアリスだが、彼女の魔法の実力は確かだということを、リナは知っていた。


一方、アリスはリナの攻撃に対処するため、静かに詠唱を始める。彼女の詠唱はシンプルだが、必要な要素を確実に含んでいる。「冷気」「防御」「範囲限定」といったワードを素早く選び、データベースから引き出した詠唱を唱える。アリスの詠唱は、攻撃を防ぐために特化されており、必要最小限の力でリナの攻撃を無効化することを目的としていた。


「防御を選ぶのね…」攻め気の強いリナは少しだけ驚いたが、すぐに次の一手を考えた。彼女の頭の中には、データベースから引き出した多くの選択肢が浮かんでいたが、ここで焦ってはならない。リナは次に「持続時間」と「高威力」を組み合わせた詠唱を選び、冷気を突破するための強力な炎の魔法を準備した。


「今度こそ、これで決める!」リナは杖を振り上げ、火柱を再びアリスに向けて放った。強力な炎がアリスを包み込むかのように広がるが、アリスもまた冷静に詠唱を続けていた。


「冷気、集中、全方位防御…」アリスは小さな声で唱え、リナの炎を完全に防ぐ魔法を展開した。彼女の冷気は、リナの強力な炎をもってしても容易に突破できるものではなかった。


「やるじゃない…」リナは眉をひそめ、さらに攻撃を続けようとしたが、そこで一瞬だけ、アリスの姿が浮かんだ。


「リナちゃん、強いね。でも、私も負けたくないんだ…」アリスは静かに呟きながら、杖を握りしめた。彼女の詠唱は依然として冷静で、リナの猛攻にも揺らぐことはなかった。


リナはその言葉に内心驚いたが、表には出さなかった。「本気を出してもらわないと、面白くないからね!」そう言いながら、リナは最終的な一撃を準備するための詠唱を続けた。


「炎、高威力、短時間集中、長距離…」リナは最高の組み合わせをデータベースから引き出し、アリスに対して最後の攻撃を放つ決意を固めた。


だが、アリスも負けじと、「冷気、短時間、狭範囲集中」の詠唱を選び、リナの一撃を迎え撃つ準備を整えた。


二つの魔法がぶつかり合い、フィールドが眩い光に包まれる。その瞬間、リナとアリスの間には新たな理解が生まれたかのようだった。二人の詠唱は、データベースによって支えられ、技術的な完成度が試される一戦だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ