第34話: 試合開始
陽光が降り注ぐ広場に、学園の全生徒が集まっていた。今日はいよいよクラス対抗戦が始まる日だ。緊張感が漂う中、生徒たちはざわつきながらも、その目は期待と興奮に輝いていた。
フィールド中央には、大きな魔法陣が刻まれたステージが設置されており、その上に教師たちが立っている。中央には校長が立ち、少し重々しい雰囲気の中、全員に向けて静かに話し始めた。
「皆さん、今日はクラス対抗戦の初日です。各クラスを代表する3名が、それぞれのフィールドで戦うことになります。この大会のルールは単純明快。相手に一定のダメージを与え、リタイアさせるか、相手の戦意を喪失させた者が勝者となります。」
校長の声は会場に響き渡り、生徒たちは一言も聞き逃さないように耳を傾けていた。
「HP、つまり体力の最大値を100%とし、これが40%以下になった場合、または短時間で30%以上の大ダメージを受けた場合はリタイアとなります。HPには個人差がありますので、それを考慮した戦略を立ててください。」
校長の説明により、参加者たちは自分の持つ能力や特性を再確認していた。特にユウトは、自身のHPが10000であることを考えながら、戦闘中にどのように立ち回るべきかを思案していた。一方で、マックスのHPが12000であることを考慮に入れ、彼との対決に備えていた。
「それでは、フィールドを選んでください。森、街、草原の中から、各自が初期配置する場所を決めます。それぞれのフィールドには異なる特徴がありますので、自分の戦術に最も適した場所を選びましょう。」
校長の指示に従い、各代表者たちはフィールドを選び始めた。レオンは素早く森を選んだ。索敵スキルを駆使し、視界の悪さを利用して敵を翻弄するには、森が最適だと判断していたからだ。フィンも同じく森を選んだ。彼のアーティファクトは、森のような遮蔽物が多い場所で効果を最大限に発揮できる。
次に、リナは迷うことなく街を選んだ。街の建物や狭い路地は、魔法の反射や遮蔽を利用した戦術にぴったりだった。対するアリスも、リナの選択を予期していたかのように、静かに同じフィールドを選んだ。
最後にユウトは、草原を選んだ。見通しの良いフィールドで、彼の未来予測スキルが最大限に発揮できる。彼の相手となるマックスも同様に、力を存分に発揮できる広い草原を選択した。
それぞれのフィールドが決定し、参加者たちは自分の初期配置位置を確認した。試合開始の緊張が徐々に高まっていく。観客席に座る生徒たちも息を呑み、これから始まる熱い戦いを心待ちにしていた。
「それでは、試合開始の合図をします。」
校長が合図を送ると、ステージに立つ教師たちが一斉に魔法陣を発動させた。瞬く間に、フィールド上に魔法の光が広がり、参加者たちはそれぞれのフィールドへと転送された。
森の中では、木々のざわめきと共にレオンとフィンが姿を現し、互いに一瞬の視線を交わす。街のフィールドでは、リナとアリスが静かに対峙し、草原ではユウトとマックスが遠くから互いを見つめていた。
「始め!」
その瞬間、空気が震え、戦いの幕が開けた




