第十三章: 2進数
ゴーグルを購入したユウトは、その使い勝手に満足していた。今までは4つの命令しか実行できなかったが、新しいゴーグルを使うことで、10個以上の命令を記述することができるようになったからだ。教会への帰り道、アランの横で、ユウトは片手で10まで数える動作を繰り返しながら喜びを爆発させていた。
「見て見て!片手で10まで数えられるようになったんだよ!」
教会に帰るなり、ユウトは興奮気味にレオンに自慢した。
レオンはその様子を見て、少し得意げな表情を浮かべた。
「僕は片手で32まで数えられるよ。」
2人の会話は噛み合っていなかったが、アランはレオンが2進数について話していることに気づいた。興味津々で、アランはレオンに「その数え方をどこで学んだの?」と尋ねた。
レオンはにっこりと笑いながら答えた。
「僕の父親はアーティファクト職人なんだ。アーティファクトの中には雷の魔法で制御する技術が使われていることがあって、その中ではこうやって数を数えるんだって。」
アランはその話に驚いた。つまり、一部のアーティファクトは、コンピュータのように電気の「有」や「無」で制御されているということだ。これを聞いて、アランはこの異世界における技術の可能性に深い興味を持ち始めた。
後日、アランはさらに驚くべきことを知る。火や水、風や土の魔法で制御されるアーティファクトも存在するというのだ。この異世界の技術の幅広さに触れ、アランはその可能性についてますます関心を強めるのだった。




