第十二章: 1人1台端末
アランとユウトは街に出かけていた。目的は、小学校で使用するための端末を購入することだ。この異世界には、アーティファクトと呼ばれる魔法と魔石を組み合わせて動作する装置が存在する。学校からの連絡や勉強に活用するための端末もその一つだ。
街の市場には、さまざまな端末が並んでいる。アランはユウトの横で、どの端末が適しているかを見て回っていた。
「こちらに並んでいるものが最新の端末になります。性能によっていくつかの種類がありますが、例えばこちらは高解像度の画面と大容量の記憶結晶が特徴で、特に絵描きの勉強に向いております。また、こちらは低価格ですが、一般的な用途であれば十分な機能を有しております。さらに運動しながら使用できるものや、小型化に重点を置いた端末であれば・・・」
店主の説明は少し早口だが仕事でパソコンを使用していたので理解することはできた。
「人から連絡が届くと緊張するんだ。なんて返したらいいかわからなくて。」
教会にいるときには感じないが、ユウトは人見知りである。端末を持つことに対して少し不安そうな表情を浮かべていた。
アランはそんなユウトを宥めながら、端末の中から選ぶのを手伝っていた。すると、ふと目に留まったのが、ゴーグル型の端末だった。アランはそれを手に取り、試しに装着してみると、ゴーグルを通して見る景色にはいくつかのアイコンが表示され、普段の景色の上にテキストや情報を重ねることができるようになっていた。
「これ、面白そうだな。」
アランは片手の指を曲げるパターンを10個ほど記述し視界の中に配置した。Ranモードに切り替えてみると、アランが考えた指の動きが瞬時に行われた。
アランは微笑みながらユウトに向かって言った。
「ユウト、これにしてみないか?」