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Prologue
荘厳で優美な雰囲気の漂うこの国立魔法学園で、生徒がふたり向き合っている。
片方は肌触りの良い衣服を身にまとい、ところどころに跳ねた黒髪と燃えるような真っ赤な瞳が特徴的な、貴族と呼ばれる身分の少年である。齢14にして既に完成された美しい顔を持ち、その姿は煌びやかな宝石が良く似合う。
もう片方は、少年に比べればぱっとしない容姿の同じく齢14の生徒。青い瞳はどこか上の空で、茶髪のウルフヘアのその生徒は、勘のいい人でなければ少年と勘違いされてしまいそうな中性的な見た目の、平民の少女である。
そんな彼らがいるのは人気の少ない魔法学園の渡り廊下。窓から陽の光が差し込み、恋愛映画でありそうなロマンチックな雰囲気だ。ふたりの間には僅かに緊張感がはしる。
きっと何も知らない人が見れば、告白かはたまた別れ話かと思うだろう。
だが、そんな雰囲気をぶち壊すように、少年は言い放った。
「おいお前、俺と決闘しろ!」






