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データ供養所

【プロローグのみ】偽聖女は気まぐれ【続きは無い】

作者: まい

 プロローグのみです。


 自分は正直、これで落ちていると思うのですが、多分プロローグのみと書いておく方が正しいのだろうなと。

「聖女さま、ありがとうございます! おかげで助かりました!!」


「それは良かったわ。 …………ですので、お礼を出すだけ出して、さっさとここから消えなさい?」


「…………は?」


「は? って何よ。 貴方(あなた)の命が助かったのは良かったわね。 それで、助かった貴方の値段を(わたくし)に見せなさいと言っているのよ」


「聖女さま?」


「ええ、そうよ?」


「聖女さまが、我々からお金を取るので?」


「いけないかしら?」


「だって聖女さまはヒトの命を助けるのが使命だと……」


「だから何?」


「……タダではないので?」


「あったりまえじゃない! 聖女がヒトの命を救うのは当然。 救いました、それじゃサヨナラ。 そんなのただのモノや奴隷じゃないの! 私はヒトよ? お礼をされたいし、形あるお礼が無きゃ生きていけないのよ!?」


「え………? 聖女さまは国に囲われているんじゃ?」


「私は数名の供回りだけで、なんの後ろ盾もなく気ままに放浪(ほうろう)している身ですわ」


「そんな聖女がいるんですか?」


「逆に(たず)ねますわ。 国に囲われた聖女が、国の中心から遠く離れたこの地へ、平民の貴方のために飛んでくるとお思いですか?」


「それは…………」


「ですから、貴方にお礼を求めているのですわ」


「でもオレにはそんなカネは……」


「分かっておりますわ。 ですから、貴方が払える程度の……そう。 この地で4人分の少し豪華な食事を1回する位のお気持ちで結構ですわよ」


「そんな……そんな位で良いんですか? 家財道具を全部売っ払っても足りないカネとかじゃなくて……」


「旅にそんなお金は必要ありません。 それに大金が必要になったら、貴族等のお金のある所へ吹っ掛けますから問題ありませんわ」


「聖女さま……。 これはお礼です。 どうもありがとうございました!!」


「次に私はいないかも知れません。 それと私はそこそこの傷を()やす程度しか出来ませんから、酷すぎる怪我はどうにも出来ません。 怪我には十分気を付けなさい」


「はい! 本当にありがとうございました!」




〜〜〜〜〜〜




 怪我を治して差し上げた殿方(とのがた)は元気そうに走り去りました。


 それを笑顔で見送り、頃合いを見計らって私は町の路地裏へ入りました。


 背筋は()り気味になるまでグッと張り。


 アゴを若干持ち上げ。


 左手は腰へ。


 右手は背筋と同じくピーンと張り、そのまま手の甲辺りをアゴの下へ動かしてハイ、ポーズ!


 


 そして()()中は我慢していた衝動を解き放ちます。




「オーーーーーホッホッホッホ!! また私の話術によって、私を聖女として(あが)める者を増やしてやりましたわーー!!」




 私は実家の貴族家に居た幼い頃から、回復術と呼ばれる魔術を使えました。


 回復術を使う者はそれほど少ない訳ではありませんが、なぜか王家や貴族、大商会の会長家族等の平民の上に立つ者達の中で、回復術を使える者は極めて少ないそうです。



 そしてその……いや、だからこそ回復術を使える平民を貴族以上の者達は大量に、ともすれば根こそぎ囲い込むそうです。


 なので回復術の使い手……回復術士は市井(しせい)から消え、貴族の慈悲として回復術士を詰めた回復院を市井へ向けて安価(平民からすれば、とても()())で開放していると。


 これで貴族の気分を損ねたら回復術を(ほどこ)してやらないぞと、市井に服従を求める手段と成り果てました。



「オオーーーホッホッホッホッホ!!」


 そこで私です。


 お抱えの回復術士と言ってもその回復術士は平民。


 中には存在する高慢(こうまん)なる尊厳(プライド)を持つ貴族の中には、平民に傷を見られたり手当てされるなんて……!! と嫌がる方がおられまして。


 そんな方でも、同じ貴族の回復術士なら抵抗感が薄いと。


 だから各地の貴族へ私を派遣して、金儲けしてやろう。


 そう言った形で幼かった頃の私は利用され、婚姻が出来る年齢に近くなれば、今度は貴重な貴族の回復術士と婚約できると、私は政略の道具にされ()()()()()


 それで家族や婚約者から聖女と呼ばれていましたが、いつの間にかその婚約者は私を偽物と呼び、どこぞの身元不明の娘を聖女と呼び始め、婚約者はポッと()の聖女こそが真の婚約者だとか(わめ)きだし…………。



 ええ、ええ。


 そう言うのがイヤで飛び出してやりましたわ。


 幼かった頃に気まぐれで回復術によって命を助けて差し上げたら、なぜか(なつ)いてきて使用人として家に召し上げられた2人の平民と、私の護衛としていつも付き従ってくれていた執事の計3人を引き連れて。


 その3人は、今も物陰から私を護衛している事でしょう。


 それらと共に、私こそが真の聖女よと示すために()てのない気ままな旅をしていますわ。



「オオオーーーホッホッホッホ!」


 その旅は、先程の殿方の様子からも順調。


 聖女と言いながら民からお金を反感が起きない程度に巻き上げ、旅の資金としながらのんびり自由に動き回る。


 家で令嬢をしていた頃には味わえない開放感から、私は思う存分、こうして高笑いが出来るというもの!



「オオオオーーーホッホッホッホ?」


 ……ですがなんでしょうか?


 なんだか私の体の内側から、私とは違うヒトの記憶が湧き上がってきております。


 これは………………ソシャゲ? 保護者に見守られながらはしゃぐズッコケ3人組? イベントのどこかには必ず出てくるお騒がせ偽聖女? 偽聖女(笑)? 製作運営が1番愛したキャラ? コッテコテの昭和古典ギャグの使い手? プレイアブル化してないのに1番濃いキャラ? 偽聖女と言う名の暴走男前聖女? 口だけ悪ぶってやってる事はマジ聖女? 寒いギャグを言わなければもっと人気が出ただろうに?


 なんでしょうか、この文言(もんごん)達は。



「オッホッホッホッホ?」


 まだまだ湧いてきますね。


 しがない男アルバイター? 世間に流されまくってテキトー人生? 趣味は無く、流れでなんとなくソシャゲをしている? コンビニバイト中に強盗来店で、カウンター下の通報スイッチを入れようとしたら気付かれて強盗に刺されて終わり?


 なんだか全然聞いた事の無い文言ばかりですわね。



「オーーーホッホ……ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!?」


 いやコレ()()だわ!!


 オレの前世の記憶だわ!!


 そうだよ! こうして記憶が戻ってくる前でも、その影響がこびりついてて、オトコの婚約者って言葉で気持ち悪くなって気持ち悪くなって、それがイヤで家を飛び出したんだよ!!


 オレは異性愛者(ストレート)なんだからオトコと友達になるとかなら問題ないけど、結婚とかイヤに決まってんじゃん!!


 アレコレ理由を付けたけど、根っこはそれが有って飛び出したんだよ!!


 んで、なんでオレが生前やってたソシャゲのあのキャラに生まれ変わってんの!?


 何がどーなってんだよーーーー!!!?



「お嬢! どうしたんでヤスか!?」


「アネゴ、いきなり頭を抱えてどうしたんだな?」


「お嬢様! ついに高笑いをお辞めになって下さるのですか!?」



 保護者とズッコケ仲間が寄ってきてるが、なんなんだよこのカオスは!!?

以下蛇足








偽聖女


 高飛車で高慢チキなお嬢様口調で真っ当な事を口にするお嬢様。


 口調のせいで真っ当な物言いでも受け入れられにくく、誤解される事もままある。


 ベッタベタな金髪碧眼な美人。


 ツリ目がち。


 胸のサイズは読者様方のお好みで。


 魔術は回復術しか使えない。


 転生したのを思い出したのがきっかけか、回復術の性能が上がり、かなり凄い回復術まで使えるようになる。


 自衛のために杖術や護身術は使える。


 聖女だから無償で働け。 働いたら、はいゴクロウサンはふざけんな! と怒る派閥。


 前世を思い出した結果、オトコと結婚する意識は完全に無くなった。


 気まぐれなタイミングで前世を思い出し、この後は何をするか……は知らん。


 どうせこのまま気ままな旅を続けて、ソシャゲの様々なイベントにメインで登場したり端っこでモブとして声だけ響かせたりして、様々なイベントに巻き込まれつつ生きて行くと思われる。


 なお本来の偽聖女は本文中で建前として語っていた、家の政治の道具にされるのがイヤと言うものが本当の理由で、結局家を飛び出す。


 飛び出して己の正義のまま突っ走って、トラブルを巻き起こす。



 高笑いは魂に刻み込まれていて、嬉しい方向に感情が(たかぶ)ると勝手に高笑いしてしまう困ったちゃん。

 本文中みたく自制出来る時もあるが、自制できない時の方が圧倒的に多い。




ヤスの下っ端口調


 小柄で顔が全体的に尖っていてなんか小狡(こずる)い印象。


 実際に小狡い性格をしているが、旅の間はトラブルメーカーっぽい体質の偽聖女の方がアレで、トラブル回避のために穏便な空気を作ろうとする事が主な仕事となっている。


 偽聖女の勘違いされやすい口調を穏便なものに翻訳(ほんやく)して伝えるのも、コイツの大切なお仕事。


 お嬢に命を助けられ、仕事もくれて、一生ついていきヤス! な下っ端体質。


 魔術は補助と攻撃系統を使える。


 その小柄さと助けられる前の経験を活かし、斥候(スカウト)の真似事も可能。




なんだなと言っていた下っ端


 大柄で、なんかマヌケさが(にじ)んでいる、全体的に丸い巨漢。


 まあマヌケっぽい感じはするが、実際は心優しく力持ちでちょっと騙されやすい、考えが足りないタイプ。


 その為に、なにか吹き込まれたら報告しろとヤス口調の男に言われていて、それで事なきを得ることがしばしば。


 その体格や強い腕力から盾役としても物理攻撃役としても働けるが、本人が認識する本職は手先がとても器用な所からくる、料理や裁縫等が大得意で大好き。




前世の記憶から保護者と言われた執事


 テンプレなスキのないピッチリ執事。 いわゆるロマンスグレーな髪のイケオジ執事。


 実家との内通者。


 飛び出す際に護衛として付いて行ってやれと当主から言われたから、一緒にいる。


 内通者と言っても、実家へ活動報告をして娘は無事ですよ、こんな成長をしましたよと伝える役目。


 偽聖女が小さかった頃から護衛しているので、完全にもうひとりの親状態。


 実家の最強戦士。


 隠しているが、魔術も色々使える。


 なお、お茶はうまく淹れられるけど料理はダメダメ。 料理をするとなぜか必ず物体Xを製造する。




実家の家族


 良い人達。 いつも飛び出した娘を心配し、執事から届く報告書をみんなで回し読みして、一喜一憂している。


 貴族なら当たり前のムーブとして。 ついでに娘が不自由のない生活が送れれば。 と頑張っていたが、家出されて自分達の思いと行動は逆効果だったのかと深く反省。


 偽聖女と婚約していた家からの一方的な婚約破棄が来たから、こちらの正当性を主張して相手から慰謝料や違約金を搾り取ってやった。




偽聖女の元婚約者


 金銭面で制裁を受けた上で、親である当主や派閥や領地周辺の別の貴族達から、白い目で見られている。

 不誠実な行いから平民の聖女との婚約自体の許可が下りず、結局御破算。

 肩身が狭くて、フラストレーションが溜まりまくり。




平民の聖女


 ソシャゲのメインヒロイン。


 貴族の都合で振り回されて放り出されて、人間不信になった。


 それでナンヤカンヤあってソシャゲプレイヤーが操る主人公と出会って、ナンヤカンヤの大冒険が始まる。


 なお本人すら知らない秘密がこの聖女にはあるらしい。

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[良い点] 口はちょっと悪いけど性根はいたって善人というのが好き。 そして所帯じみた金銭感覚というか、現実との折り合いをつけるバランス感覚がある事で肉のあるキャラクターになっている。相手がさして苦労せ…
[良い点] 毎回設定が明白で想像がはかどりますね~。 段々前世が戻っていくシーンが好き。 [気になる点] 続きないんだよなぁ~(チラ見) [一言] これでもう少し先のストーリーまであればプロット完成。…
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