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2.バグコレクターの力

「大丈夫か!!」



 俺は魔物に襲われそうになっている少女に声をかける。茶色の髪の質素な格好の少女だ。服装からして近所の村人といったところだろう。

 その手には薬草らしきものが握られているのが見えた。

 


 よかった……こっちの世界にも人間はいたんだ……



 とりあえず、俺は彼女を助けることにする。バグに侵された魔物は強力だ。彼女たちでは荷が重いだろうし、何よりもこの世界に関していろいろと教えてくれるかもしれない。あとは異世界のバグってどんなものかちょっと気になるんだよな……『バグコレクター』としての血が騒ぐ。



「あなたは……一体……?」



 ゴブリンと少女の間に割り込んだ俺に少女は驚愕に目を見開いた後に、震えた声で叫ぶ。



「気を付けてください!! こいつはただのゴブリンじゃないんです、『変異種』です!! 下手したら町一つ滅ぼすだけの力を持っている危険な存在なんです!!」

「よかった……やっぱりこのゴブリンは異常なんだな……」



 俺は安堵の吐息とともに武器を抜いて馬鹿でかいゴブリンに駆け寄る。これがこっちの世界のゴブリンの標準ですとか言われたら泣いちゃうところだったぜ!!

 だが……だからこそちょうどいい。この世界のバグをみさせてもらおうか!!



「巻き込まれたら大変だ。離れてろ!!」

「ですが……」

「大丈夫だって、俺はこういう存在には強いんだよ」



 今にも泣きだしそうな少女を安心させるように笑みを浮かべるて俺はゴブリンと対峙する。



「ゴブゥ!!」



 ゴブリンがでたらめに大きな腕を振り回すが、動きが大雑把すぎる。完全に見切った俺は軽々とかわす。



「はっはっはー、体は大きくなっても脳みそはおおきくならなかったのか?」



 俺が頭を指さして馬鹿にするように笑うと、言葉はわからなかったようだが意図は通じたようで、憤怒の表情でせまってきた。巨体から繰りだされる一撃が地面をたたきつけると、地面にひびが入る。すさまじい破壊力だが、それだけだ。



「悪いな……お前の力をもらうぞ!! 『歪み喰らい(バグイート)』!!」



 俺がギフトを使うとともに持っていた剣に幾何学模様の紋様が浮かび上がる。そしてその刀身で、そのままゴブリンの太い腕を貫いた。



「ふははは、お前のバグをみせてみろ!!」

「ゴブゥ!!!?」

「そんな……変異種の体が縮んでいく!!」



 俺の剣が虹色に輝きながら、ゴブリンのバグを食らいつくし脳内にある文字が浮かび上がる。



-----------------------------------------------------------------------------------------------

Dランク『巨大化』


 生き物が侵されれば体だけではなく、筋肉なども肥大化し、植物が侵されれば異常なまでに成長し、生態系にすら影響を与える。


-----------------------------------------------------------------------------------------------


 まあ、よくあるバグだな……だけど、これで使えるバグが一つ増えた。今は研究中だったバグとで手持ちは二つか……心もとないな……



「あばよ!! ゴブリン……バグの苦しみから解放してやる」



 俺は通常サイズにまで縮んだゴブリンにとどめをさして一息ついた。これが俺のギフト『バグコレクター』の力である。

 そして、ギフトから派生したものをスキルといい、今使ったのはバグに侵されたものを食らい体内に保管する『バグイート』、そして、バグの効果を分析する『バグアナライズ』である。そして、保管しているバグは自分にも使い、活用することができる。

 この力でバグを分析し、世界にバグが現れそうになったら即座に浄化していたのだ。



 まあ、潔癖症の女神さまは体内にバグを持っている俺が神殿にいるのが嫌だったんだろうけどさ……バグも結構いろいろな種類があって楽しいんだけどな……そういえば、俺の家にも研究中のバグがあったけど大丈夫かな?



 そもそもバグというのは世界の歪みであり、世界がある限り発生するものだ。これまでは事前に浄化していたが俺がいなくなった後はどうするのだろうか? まあ、ノイズもばかじゃない。なんか案があるから女神をそそのかしたんだろ。

 そんなどうでもいいことはさておいて少女だな。俺はいまだ震えている彼女に声をかける。



「ゴブリンは倒したぞ、大丈夫か?」

「助けていただいてありがとうございます。いつものように薬草を採りに来たのですが、こんなところに魔物が……しかも変異種が現れるなんて……」



 少女はいまだに信じられないという表情で言った。だが、ゴブリンの死体を見て、目を輝かせる。

 


「すごいです!! 普通だったらゴブリンとはいえ『変異種』を倒すには大勢の人間が必要なのに!! たった一人で……しかも、変異種を元に戻すなんて……あなたは有名な魔法使い様だったのですか?」



 何やら感動しているのか、無茶苦茶目を輝かして少女が話しかけてきた。彼女は死んだゴブリンを指さして、やたらとほめてくる。

 ほめすぎだって……とは思うものの、クソ女神のところにいたときはこんな風にほめられたりはしていなかったので心地よい。



「ああ、あれは魔法じゃない。俺のギフトだよ」

「ギフト……ですか?」



 俺の言葉に彼女は怪訝な表情を浮かべて首をかしげる。あれ? ギフトが通じない。ああ、そういえば前の世界ではバグと呼んでいたものを彼女は変異種と呼んでいたしな。



「ああ、あれだよ。なんか成人したら女神様から『祝福よ、感謝しなさい♪』ってか言って与えられる不思議な力のことだ。君も持っているだろ?」

「女神様が力を与えてくれる……ですか……そもそも、女神様は伝承の中だけの存在でお会いしたこともありませんし、名前もわからないです」

「は……、女神の名前がわからないだって……?」



 少女の言葉に今度は俺が驚く。だって、女神は世界を管理する存在なわけで……あのクソ生意気なヘラだって、人々に祝福を与えたりと最低限の仕事はやっていたのだ。

 そして、女神は人々の信仰心を力を源にしているのだ。名前すら知られていないっていうのは……かなりやばいことでじゃないだろうか?



「はい、ただ……この先に朽ち果てた神殿があって、強力な変異種がうろついているという話を冒険者の方が言っていました。その神殿が女神さまと何か関係があるかもしれません」

「ふぅん、神殿か……」



 確かにヘラもそうだったが、女神さまっていうのはやたらと自分の住処である神殿を大事にしていたな……何かヒントがあるのかもしれない。



「女神さまに会ったことがあって、不思議な力を持っているなんて……まさか、あなた様は伝承の救世主様では!?」



 黙っている俺に何かを勘違いしたのか、先ほどまで以上に目を輝かす少女。そんな彼女に言える言葉は一つだ。



「いえ、違います」



 だって、絶対面倒なことに巻き込まれそうなんだもん。せっかく異世界に来たのだ今度こそやりたいことをやりたいのである。

 女神の存在が知られていないくらいだ。この世界には放置されて強力に進化したバグだってあるだろう。まだ見ぬレアなバグも見つかるかもしれない、俺はバグを手に入れれば入れるほど強くなる。なによりも未知のバグに会えるというのがテンション上がる。


 ふははは、いいね、最高だ!!


 俺は新世界での新たな一歩を楽しむのだった。



-----------------------------------------------------------------------------------------------


ギフト『バグコレクター』


スキル


歪み喰らい(バグイート)

歪み放出バグリリース

歪み分析バグアナライズ

歪み融合バグミックス



所持バグ


Dランク『巨大化』


 生き物が侵されれば体だけではなく、筋肉なども肥大化し、植物が侵されれば異常なまでに成長し、自然に影響すら与える。


??ランク『?????』


 クリアーが前の世界から所持していたバグ



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みなさんのおかげでランキングにあがれそうです。ありがとうございます。


面白いなって思ったらブクマや評価を下さると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] >その神殿が女神さまと何か関係があるかもしその神殿があるかもしれません」 おお、ここにもバグが。
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