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13.VS精霊

「思ったよりも厄介だな!! 近づけねえ!!」



 威勢よく俺は水でできて触手を切り払いながら作戦を考える。末端の触手を斬っても『歪み喰らい(バグイート)』がウィンディーネのバグに届く前に切り離されて届かないのだ。



「しかも、石化や毒も効かないとか反則だろ……」



 石化をさせても、石になった部分の触手の切り離してきやがるし、水だからか毒が通じない。しかもだ……触手がかすると同時に生命力が奪われていくのを感じる。



「クリアー、大丈夫? 癒せ!!」

「助かった!! くそ、もうちょい近づければ……」



 こいつの本体に剣を当てれば何とかなるとは思うのだが、触手どものせいでろくに近づけやしない。



「近づけば何とかなるのね? だったら任せなさい!!  結界よ、私を守りなさい!!」

「ドロシー!?」



 その言葉と共にドロシーの体がうっすらと輝いて不可視の結界が張られたと思うと、何と彼女はそのままウィンディーネの方へと突っ込んだのだ。

 盗賊どもに畏怖され強化された信仰心で補強された結界に身を守っている彼女を何本もの触手が襲う。



「残念ね、私の結界は……ってきもいきもい、なんかむっちゃべたべたする液をだしてきたぁぁぁぁ!!??」



 騒がしい声を鳴り響く。せっかくかっこよかったのに……

 でもさ、ここまで信用されたらやるしかねーだろよ!! 俺は触手を切り裂きながら、ウィンディーネへと接近していく。先ほどと違い、俺とドロシーに意識がいっているためか、だいぶ進みやすい。



「---!!」



 そして、あと五歩で斬りかかれるという距離に来た時だった。ウィンディーネの水でできた瞳と目が合うとぞくりと本能的な恐怖を感じる。

 その目にあるのは生きとし生けるものへの憎しみだった。それに対して俺はにやりと笑う。



 ああ……お前のバグはわかったよ。



 俺を脅威と認識したのか、ドロシーを襲っていた触手たちもこちらへと向かってくる。不可視の結界がべたべたになっており半泣きになっている彼女が見えたが、無事なようだ。

 そして、俺は剣を相手に向けて、必勝のバグを使う。



「歪み解放バグリリース巨大化&歪み喰らい(バグイート)!!」



 剣が虹色の輝いくと同時に、その刀身が巨大化していきその先端がとっさに逃げようとしたウィンディ―ネの体を貫いた。

 バジリスクの時のような抵抗を感じるが……



「残念だったな!! 今の俺には女神さまの加護があるんだよぉぉぉぉ!!!」

「アア……チカラが……クワレテイク……その力は……」


 ひと際剣が輝くとともに、そのバグを喰らいつくした。


----------------------

ランクC 狂化 


 圧倒的な力を得る代わりに理性を奪われてその破壊衝動を抑えられなくなる。


ランクA ライフスティール


 本来は人々に恵みの力を与える力だったが、バグにおかされ生命を奪う力と化した。


-----------------------------


 待て……バグを二つもその身に宿していたっていうのか? そんなことはありえない。だって、バグは俺のような例外を除いて一つの存在に一つしかつかないはずなのだ。


 そんなことができるとしたらそれは何者かのギフトだろう。しかし、強力な存在であるはずの精霊にバグをつけるなんて相当ギフトを極めていないと不可能だろう。それこそ俺と同じくらいに……


 この世界で一体何が起きているんだ?



「ウィンディーネ、大丈夫!?」

『アア……』



 悲痛な表情でドロシーが浄化され倒れたウィンディ―ネに近づいた時だった。いきなりウィンディーネがまるで最後の力を振り絞ったかのようにして起き上がったのだ。



「ドロシー離れろ!!」 

「え……?」



 そして、そのままドロシーに覆いかぶさるように抱き着いた。くっそ、バグなしの精霊と戦えるかはわからない。だけど、何とか救わねば!! こいつは部下であるウィンディーネを救ったり俺を助けるために自分の身を犠牲にしてでも頑張れるすごい女神さまなんだ!!

 そう思って剣を構えた時だった。



『ああー、この匂い!! この感触!! ドロシー様ですわーーー!!』

「よかった正気にもどったようね」

「え? なんかむっちゃドロシーの胸元でくんかくんかしているんだけど!!」

「こういう子なのよ」



 ドロシーはまるでいつものことであるかのように、ため息をついたのだった。

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