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10.

「ドロシー!!」

「わかっているわ!! わが信徒を守りたまえ!!」

「うわぁ、すごい!! あんた、マジで女神さまだったのか!?」



 ドロシーの手から放たれる暖かい光が俺たちを包むと不思議と体が軽くなるのを感じた。彼女の身体能力アップの魔法である。

 信者が俺一人ということで、まだ身体能力アップと簡単な回復くらいしかできないみたいだけど、これからどんどん信者が増えてくれば彼女はどんどん力を取り戻してくるだろう。



「はっ、かわいい女もいるじゃねえか!! たっぷり楽しませてくれそうだな!! お頭に認められ不死身になった俺にあったのが災難だったな!!」

「たった一人で俺たちに勝てるつもりか?」

「たりめーだろ、不死身の俺様がまけるわけねえんだ!! それに……仲間を呼んだらせっかくの女を俺だけで楽しめなくなっちまうからなぁ!!」



 下卑た笑みを浮かべながら剣を抜いてやってくる盗賊の男。今度はカイの矢が心臓を貫くが、一切動揺することなくこちらへとやってくる。

 援軍を呼ばないのは助かったな。



「クリアー!! こいつ本当に不死身だ……どうすれば……」

「問題はないさ。俺はこういうのとの戦いは得意なんだよ。歪み喰らい(バグイート)」



 動揺しているカイに答えて……不快な視線にさらされないようにドロシーと男の間に割り込むようにして斬りかかる。

 こいつの実力はわからんが不死身になったからか守りを気にしないのは俺にとって好都合だ。現にこちらの刃を肩で受け止めて反撃をしようと剣を振り上げる。



「やっぱり不死身じゃないか……まあ、そんなすごいバグがあっさりみつかるわけないか……」

「何余裕ぶってやがる!! お前は俺に……あれ……力が……」



 俺が斬りつけた肩からは血の代わりにドロッとした黒い液体があふれ出していき、男はそのまま、膝から崩れ落ちた。そして、黒い液体はというとしばらくスライムのようにうねうねと動いてから、ただの水にもどっていく。



「これはバグに侵された水ね……水がこんな風になっているなんて……水の精霊も無事ではないようね……」

「すげえよ、クリアー!! 不死身の盗賊をたった一撃で倒しちゃうなんて!!」

「いや、こいつは不死身なんかじゃないさ……ただの利用されていた哀れな男だ。それより、ドロシー、これはまずいぞ!! バグに浸食されているのは人や魔物じゃない、自然そのものが侵されている可能性もある!!」

「これが広まったらたいへんなことになるわ。急ぎましょう!!」



 ドロシーの言葉にうなづくと、急いで駆け出す。バグはゴブリンやミノタウロスの時のように生き物に侵食する場合もあるが、泉など、その環境を侵食する可能性もある。



 正直規模でいったら自然がバグに侵食されている方が強力なバグで厄介だ。たとえばこの盗賊共が、この水を『不死の水』だと勘違いして流通させたら大変なことになるしな。



 危険度でいったら生き物→自然→精霊→神といったところか……コカトリスがそこまで強くなかったのはドロシーが抗っていたからに過ぎない。


 そりゃあ、珍しいバグや強力なバグは歓迎だが、人への被害があるなら話はべつだ。



「おい、二人ともどうしたんだよ!!」



 申し訳ないがバグの存在を知らないカイに一から説明する余裕はない。俺たちは急いでバグの元へと向かうのだった。



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