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第2話「冒険前夜」(一)

 「え? 君、ここの時代の人じゃないのか?」


 カエサルはこの時代ではあり得ない飲み物を飲み、言う。


 「ええ。ふと眠っていたら、突然この時代に来ていて・・・・・・」


 私は彼にこれまでの経緯を話す。


 「そうか・・・・・・。てっきり、ここの時代の人かと思ったが。そう言えば、私の国で一つ気になることがあってな」カエサルは腕を組み、背もたれに寄りかかる。


 「それは・・・・・・?」


 「今いる建物もそうだが、ここの時代とは思えない技術だったり、建物が増えて実は困ってるんだ」


 「例えば・・・・・・?」


 私がそう言うと、彼は飲み物の食器を挙げる。


 「例えば、これだ。なんて言うかは分からないが、これのおかげで便利になったものの、どうしていきなり、これが普及し出したかよく分からない」


 (・・・・・・時空が歪んでいる。あの人が言っていたことは本当だったんだ)


 「あと、この飲み物もそうだ。確か」


 「コーヒー」


 「そう。コーヒー。この飲み物を使うとき、あのお店の人が何やら機械を使っていただろ? あれも便利だけど、急に広まりだして何だか」


 彼は困り果てている様子。


 恐らく、時代が追いついていない人、なのか?


 「便利だから、皆が使うのは当たり前だと思うけど」


 「そうだけど、こんな最先端な技術が広まるのって、何だか変じゃないか?」


 「まあ、そうですけど・・・・・・」


 「何か知っていること、あるか?」


 彼は私に顔を近づける。


 「多分、時空が歪んでいる、その影響かな」


 私は小声で話すと、彼は「時空?」と怪訝そうに言う。


 「私がいる時代と、あなたがいる時代をそれぞれ空間と位置づけて、それで時空と呼んでいるんです。それが、あるときを境に歪んでしまっているようで」


 「その原因って、なんだ?」


 そう言うが、私は首を横に振る。


 「そうか・・・・・・。その時空の歪みが進むと、どうなるんだ?」


 「どうでしょう・・・・・・。そこは私にも」


 彼は何も言わず、ただ人並みを見る。


 「ただ、これだけは言えると思います」


 「なんだ?」


 「二千年まで続いた、人類の歴史は消える」


 そう私が言うと、彼は驚くように目を見開く。


 「それじゃあ、この現象を早く解決しないと」


 彼は急かすように言うが、私は早く反応することは出来なかった。


 「・・・・・・ですけど、この現象を解決するには、ある人物を探し出さないといけないんです」


 「ある人物?」


 彼の眉間に皺が寄る。


 「〝歴史上の特異点〟となる人物を、です」


 「特異点、か。その人を見つけ出せば、時空が元に戻ると?」


 「多分、かと」


 私は先程の出来事を思い出して言う。

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