第1話「この世界はどこ⁉」(二)
「やっと起きたかい?」
彼がそう言うと、私に手を差し伸べる。
「あ、ご、ごめんなさい! ――でも、ここは一体?」
私は周囲をキョロキョロしながら言うと、彼は首を傾げる。
「ここの住人じゃないのかい? もしかして、他の国から来た民とか」
「ええ、まあ、そんな感じです」
「今日、寝泊まりするところはあるのかい?」
そう言われ、私は首を横に振る。
「じゃあ、私の家を案内しよう」
そう言い、彼は私の手を握り、どこかへ導かせる。
――なんだか、夢みたい・・・・・・。
着いた先は、私の身長より遙かに高い城壁が聳え立っていた。彼はその中へ歩き出すと、私はその後をついていく。
城門を潜ると、そこに広がったのはーー、賑やかな城下都市だった。
「ここは?」
私は隣の彼に訊く。
「ああ、ここの国は私が統治する国――ローマ。なかなか賑やかで、楽しそうだろ?」
ローマ・・・・・・。
あれ? 私、どこかで聞いたことがあるような・・・・・・?
ってか、さっき、〝統治〟って言わなかった⁉
「じゃあ・・・・・・、あなたって」
「そう。私はこの国を治める王である。名を〝ガイウス=ユリウス=カエサル〟と言ってね」
「ガイウスゆりう・・・・・・、なんて?」
「長いからガイウスで良いよ」
「あ、はい。ガイウスさん」
ガイウスと名乗った彼が照れながらそう言う。
「あ、あと、そのさん付けもやめて。俺はそこまで偉くないし」
「そ、そうなんですね」
私はガイウスと名乗った王を見て言う。
――カエサル・・・・・・。
どこかで聞いたことがあるような。
そもそも、この世界はどこなの?
どこの時代なの?
服装から見るに、どう見ても現代の時代じゃなさそうだし。
「それじゃ、君が今晩寝泊まりをするところに案内させるよ」
そう言って、彼が歩き出す。