7.噺家貴族
あ~。前回はとてもたのしかったな~。
あまりに嬉しすぎて草生やす暇すらなく。
≪≪≪≪≪≪≪せやな!≫≫≫≫≫≫≫
オマイラ緊張し過ぎ。完全に緊張してて。皆一緒じゃないと駄目な感じじゃん。
≪だってさあ≫≪ツッコミが思いつかなくて≫
≪なんておちょくればいいか、、、≫≪すまぬぅ、、、≫
まあ、毎回イケるわけじゃなさそうだし。素質ありそうな子もいたし。気長に行こうぜ。
「まあ、うん。そんな感じで。地球イメージの中世戦争とは違ったかも。」
「圧倒的過ぎたと。物量ではなく武力で、、、」
「オウ!ラケダイモーンですね!スパルタですね。」
マリーって何者なんだ?馬鹿でも無いみたいだし。
「サスオタ。雑学詳しいwww」
「アカリ、オタ常識ですよ?出てこなかった貴女はエセオタwww」
この子達楽しそうだなあ。つい先日まで戦争行ってたとは思えない。戦場?っていうにはあまりにも圧倒的勝利過ぎてもっと悲惨な光景とか生活とか想像してたんだけど。グロいけどダンジョンで慣れたし。
初戦はフェイ様の大魔法一発からの突撃で降参を待つまもなく圧倒して敵を殲滅。追いついた兵士の輸送による絡繰り式の投石機とか巨大バリスタならまだ中世っぽかったんだけど。摩弾とか魔法矢とかヤバすぎ。
刻印術式が前提なんだろうけど。それをどう扱うかってのがあるからなあ。元はシーサペントってヤバい海獣を討伐する目的で作ってたらしいんだけど。ヴィル様とかが速攻で戦略兵器として組み込んでたみたいだ。
オレが適当に戦場のことを話す度に嬉しそうに聞いてくれるこの子達も良い子なんやろなあ。
まあ、本格的な戦場?殲滅戦は一月も持たず向こうが速攻で降伏してきたんだよねえ。正確には初戦で危機を察知した向こうの貴族が降伏の使者を送ってきてたんだけど。
フェイ様が『くだらん。ロイ様の地に矢を向けた報いを受けるでござる。』ってトンデモ発言で使者は死者へ。滅ぼす気満々の作戦行動だったんだよなあ。
もっと正確にいうとロイ様の派閥の、フェイ様の実家に攻め込んだって話なはずなんだけど。ロイ様傘下の派閥の家の領地はロイ様の地らしくて。え~って思ったけど何も言い返せなかった。っていうか納得してしまった。
「ロイ様というのがユースケが仕えるお家?」
「そうだね。正確にはロイナート・バーナ侯爵。、、、なんだろう。なんていうか良くも悪くも貴族?」
あの方は表現し辛い。普通じゃない。異常なんだけど。前の世界の常識の為の異常を踏んでるとすれば正常だし。領民に対して慈悲深い方だと思う。
なんでこうなる?って平気で人を人体実験台にするし。人間の身体を切り刻みもするけどソレだけじゃないし。
「領土拡大を楽に出来るのに降伏を受け入れないって、、、」
「ああ、それはね。あの地。貧しいんだよ。正確には世界的には普通なんだろうけど貴族が吸い上げ続けたせいなのか。戦争仕掛けた理由だって裕福な土地から奪おうって話だし。」
そうなんだよ。貧しいんだよ。フェイ様の戦争中の激励の中にあったんだけど。いらない。お荷物。持っただけで負担にしかならない土地などいらない。
ついでに汚い臭い、病気の温床の者共など生きている価値すら無い。全て焼き払え!
やっぱり貴族様なフェイ様の発言には戦慄した。王都で貧民街が貴族によって焼き払われた事件を再現するような発言だ。
勘違いしないで貰いたい。我が王国の民は最低でも週に一度は風呂に入る。ん?って思ったんだけど。ああ、そういや俺達の国の法律で風呂に入る義務が施行されてたな。
あのような連中に接近するだけでも怖気が走るわ!
「そんなに、、、臭いですかね?」
「いや、まあ。臭い汚いは相手に不快感を与えるものってロイ様言ってたし。気にならないって事は解り合えないって事じゃないかなって言ってたし。実際バーナ来た連中風呂生活初めて、旅人見ると臭いって顔しかめるし。」
そうなんだよなあ。慣れると体臭とかなんかの発酵臭がして臭いんだよ。戦時攻略中も強姦とかそういう性的事件発生してないし。普通はそういうのが発生して悲惨なものだって書物にはあったのだが。
「強姦とか当たり前と思ってました。」
「うちの領で性病とかの症例の本出てるからね。あと領から娼婦とか娯楽用かなんかの商人連れて来てたからな。」
臭い汚い病気持ちを?相手に出来るか!って逆にビビって男の兵士共が占領民追い払ってなあ。しかも可哀想に臭えから近づくなって。
実際臭いけど。いや、マジ臭いんだわ。土地が変わればってくらい臭いんだよ。
あの国の人間。とりあえず男も女も臭くて汚かったわ。二度とこの地を踏みたくない。キンさん達との会話も、やべえ。臭い。部下に欲情する人間がいないとか略奪するとか思わないとかって戦争初めて聞いたわ。などと話題に上がっていた。
「なんというか。想像していた世界と、、、」
「アカリ。現代と中世の清潔さのレベルなんてこんなもの。」
「王国もそうだけど、バーナは異常に綺麗好きがというか風呂好き。温泉好きが多いんだよ。」
おっと。風呂とか不潔とかそんな話をしてたはずなのに。何故か思い出してしまった光景。
向こうの国の王城の門。鉄の大扉を、、、行って来いの一言で。単身で。攻城兵器いっぱいあるやん。しかも向こう降伏済みやん。連絡入れれば開くじゃん。
理由、『お主噺家だろ?』ふぁ!?いや。うん。思わずふぁってなったわ。
職業ロイ様の話し相手。
鬼神の如く戦場を、、、フェイ様が先にやっておられました。
圧倒的武力を見せつけてこい。って事らしい。チョイチョイとワイの左腰にささったミスリル刀を指さしている。斬れと。たぶん切れるけどさあ、、、
いやいやながらも上司の言葉には逆らえず。テクテクと門に近づいて行ってミスリル刀に魔力を込めて何度か振る。
バターどころか紙切ってる感覚だったわ。というか刀折れた?って勘違いしそうになったし。
「鉄の大門切ったのですか?マジパネエ!」
「その時の反応は!?」
「待って待って。あんなバーナにいる連中ならたぶん普通にやるよ。そうだ。キンさんに送ったハルバードでだって出来たはずだ。」
そうだよ。オレじゃなくてもキンさんに送ったハルバード。ギャグ武器でもいけたはずなんだ。
まあ。話のネタになるから良かったけど。
「話のネタで良いんですか!?」
「オーマイガ!噺家命がけ!」
「相手降伏してたって言ったよね!」
そんな話をしながらも馬車は進む。
「揺れが思った以上に少ない。」
「馬車酔がナイ、、、、、ダト、、、」
「馬車酔いって。まあ普通ならそうなんだけど。現状派閥内の領域までは鉄道?線路引いていて。その方が早いし。維持管理も楽みたいな?路面電車想像してもらえると判りやすいかな。動力?は相変わらず馬なんだけどね。」
「線路の盗難とか大丈夫なんですか?」
「露出してたらそうかもだけど。意外と埋め込み式の線路って取り出すの大変なんだよ。というか衛兵に見つからなきゃなんとかなるけど。そんな技能持った連中普通に就職した方が稼げるし、売った先とか搬送ルートすぐバレるし割に合わないよ。」
なんで現代人って昔の人間馬鹿にしたがるんかね。まともな治世をしてる貴族社会が無いとでも思ってるんかね。むしろ最後は貴族様の考えることじゃしって割り切れるほうが楽だと思うんだけど。
≪≪≪ソレな!≫≫≫
ふぁ!?
OKOK落ち着こう。無視無視。ユニーク様以外は大丈夫。
「構造的には車輪跳ね上げ式だから地位が低い人が貴族が来たら車輪を上げて普通の馬車にして避けるって感じ。まあ。先頭がバーナの旗だから国王以外皆避けるんじゃね?」
せやで。ワイの所属する領の当主ってソレくらいヤベえ方なんですわ。たった一代で築き上げてるんだからな。マジヤベえよ。
ただ、本人も。制御出来るかわからん。とか言ってたけど。
そんなこんなで。ユースケ一行は王都へ向かっていた。
書くのを諦めたワケではないです。
申し訳ない。現実逃避が楽しすぎました。