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4.気が付けば

さあ。準備は良いか皆の衆!


我らオーディエンスは生暖かく揶揄からかうのが仕事!


だが久しぶりのお仕事だ。功を焦るでないぞ。タイミングをしかと見極めよ!


≪やってまいりましたw≫≪OK≫≪モチツケオマイラw≫≪どこで逝く?≫≪逝くなw逝かせるのがお仕事w≫






近づいて来ていた騎兵が100m位まで近づくといきなりスピードを緩めた。


彼らの視線がアカリとマリーを交互に見た後、何やら話し合いを始めたようだ。


話し合いが終わったようだ。ゆっくりと一騎の騎兵を先頭に近づいてくる。先頭の彼の腰には二本の剣とボウガン?がぶら下がっており鉄製の槍を持っている。


先ほどまでの槍を構え突撃をして来るような勢いはなく。槍をこちらに向けて構えるでもなく穂先を上に向けているのだ。


「あの~。すみません。お嬢さん?方。言葉通じます?」

先頭の騎兵が声をかけてきたが。その騎兵が後ろにいたガタイの良い騎兵に頭を殴られる。そしてボソボソと耳打ちされている。


驚いたのは先頭の彼の容姿だ。日本人っぽい。黒髪で黒目。ノッペラとした顔立ち。日本に入れば彼もザ・普通だろう。


「う、んんん!!おい!そこの娘共?」

「疑問形にするな!」

また先頭の男が叩かれた。


「だってキンさん。片方は間違いなく女の子だけどもう片方はトロールかもしれないじゃん!」

「それの確認に来たんじゃねえか!何が女の子がトロールから逃げているだ!」


ああ、そっちだったんだ。キンさんと呼ばれた男はなんというか。軍人というよりは山賊とか盗賊みたいだった。非常にガタイが良く。眼光鋭く頬に大きな傷が有り。これで毛皮でも来ていたら正に本で読むような盗賊みたいな見た目だ。


「でもこれどう報告する?帰還ルートの元国境付近でトロールみたいな女と黒髪の女の子が森から出てきただけだったで通じるかな?」

「だからたかが小娘が森から出てきた位で騒ぐなと言ったんだろうが。まあ、その、わからんでもないが。」

「でも治安維持がうまくいかなくてなんかあった子かもしれないし。トロール女子は意外だったけど。」

「トロールが髪生やしているわけないだろうが!」

「キンさんそれ偏見!もしかしたらそういう特殊個体かもしれないじゃん!」


二人の会話はたぶん私を、いや間違いなく私を心配して駆けつけてくれたのだろう。

『アカリ。あなたトロールに間違われてたみたいね?』


、、、小声のマリーの言葉は聞こえなかった事にしよう。


「っち。おい。小娘共。何故森にいた。この辺りの者は村や町からは出てはいけない御触れが出ていたはずだが?」


キンさんと呼ばれた人がアカリに向かって訪ねてくる。なんと答えれば良いのだろう?なんと答えれば正解なんだ?ここは異世界で相手は軍人。そう考えると。


『ココは私に任せて。昔の人は私みたいな体型を好んでいたと聞くわ。色仕掛けで一発よ。』

という彼女に飛びついて口を塞ぎながら答えを考える。


「ねえ。キンさん。よくよく考えたら。たかが二人で何かできるとも思えないし。トロールじゃないみたいだし。問題なしで帰らない?ってか早くお家に帰りたい。」

「ふざけんな!っと言いたいところだが。ユウスケの言う通りだな。取るに足らないようだしな。しかし。貴族になったのなら言葉遣いは気をつけろと。」

「キンさんも今回ので貴族なったじゃん!同僚じゃん!しかも隊長じゃん!」

「お前、トップと直で話すのが仕事のヤツと下の連中纏めるヤツ。どっちの立場が偉いと思う?」

「うう、でも友達じゃん。」

「仕方ない。怒られそうなら一緒に怒られてやるから。ところで戦争のお土産ってどうしたら良いと思う?娘がお土産楽しみにしているって文が来ていたんだが。」

「一緒に怒られてくれる件は感謝するよ。でも娘の件は宣戦布告ととらえるけど良い?未だに奥さんの友達とか知り合い紹介してくれないじゃん!」

馬の方向を変えて彼らは進み始めた。彼らの後ろに付いていく騎兵達も彼らの漫才の様な会話を楽しそうに聞いている。


「ねえねえ。もしかしてだけど。貴族になったらそれ相応の立場の人とじゃないと結婚出来ないって本当?」

「まあな。元々結婚していた場合は家ごと貴族に成るから関係無いがな。どうだ?お話し相手として当主様見習って愛人囲うか?デカい家買ったんだろ?」

「うう、反論出来ねえ。ロイ様結婚してねえのに結婚したらヤバそう。普通に祝ってくれそうだけど。でも少しでも印象良くしたいし。」

馬の速度を上げてそこそこのスピードで軍の進行方向へ騎兵が進む。



「、、、振り返らない方が良いよね?」

「黙秘する!」

「判断に迷うって話ね。カッコつけなくても良いだろうに。彼女達の息遣いが結構荒いから普通に気付くと思うんだけど。ってかフェイ様んとこまでついてこられたらヤバくない?」

「、、、その時は言い出したユウスケの責任!」

「ザケンナ!」


先頭の騎兵がスピードを緩めやがて振り返った。

「あの?何か御用で?」

二人は馬についてくるのがやっとで息が上がっている。答えようにもなんと答えて良いか分からない。声も出せない。

「えっと。街だか村だかわからんけど家にお帰り?」

緩い声で彼女達に声をかけてくれる。優しい人なのだろう。走りながら会話の内容を聞く限り悪い人じゃない。しかもたぶん。否、絶対ココ異世界だし。


生き延びるのなら彼に賭けた方が良い気がする。


それにキンさん、ユウスケ。和風だ。これなら転移先の異世界がナーロッパだとしてもお米、御飯が食べれる可能性がある。

パンオンリー。

我慢できないわけじゃないけど出来ればお米を食べれる環境という安心感は欲しい。


「やべえよキンさん。怖いよ。目が血走ってるよ。」

キンさんと呼ばれた男がユウスケから目を逸らし明後日の方向を向く。恨めしそうに彼は他の騎兵へ視線をやるが彼等もプイッと視線を逸らした。


彼はだいぶお困りのようだ。

『マリー。コレ。異世界転移。だと思う。彼の腰に、ある、剣、あれ。剣じゃなくて刀だよ。』

『アカリ。中世では普通に黒髪黒目います。刀も輸入品でまったく無いわけではありません。』

『さっきの原住民がオークだとしたら?ってか私にはオークに見えたんだけど?」

『WOW。マジか。ところでオーク殺したら罪とか無いですよね?』

『え?可能性的に無きにしも非ずだけど、例えば亜人として認められているとか。』

『良かったデース。私抑えただけ。アカリが殴り殺した。私無罪w』

『ひどい!見捨てるの!なら私にも』

『冗談だよ。ところでイントネーションに不備がありません。英語上達しました?』

『え?私日本語で話してるんだけど?』

息を整えながら二人は一瞬だけ考える。ああ、もうコレ確定だと。


『異世界転移確定。』

『言語理解かなんかのスキルの恩寵ですか?アカリ。サスジャパンwチート乙w』

『マリーの可能性もあるでしょ?まあ同時に通じてるって事は二人にそれがあるとしてどうする?私このユウスケって人逃がさない、もとい捕まえた方が良い気が』

『任せてください。彼結構キュートね。私、初めてだけどつかまえて見せるわ』

『似非外国人口調乙。初めてとかそんなの私も同じだから。恋人いた事さえ無いから』

『私いたことあるわよ』

『〇ね似非外国人。でも異世界だとするとデット・オア・アライブ。チートアリなら逃げきれたり出来るけど、、、こんな状況じゃね。』

『キスさえまだ、、、同感です。たかが性行為!会話の内容的に彼は貴族!しかも屋敷持ち!』

『たかがって、結構大事な、、、ってデット・オア・アライブって言ったの私だった。どうしよう。覚悟決めるしかないかな?うう、普通の結婚が良かったなあ。でも、異世界だと一夫多妻制って普通の可能性あるし。この人優しそうだし。』

『大丈夫です。私しか相手にされなくてもアカリは養ってあげます。』

その可能性が低いから私が考えてるんじゃないかとジト目をマリーに向ける。彼女はバチコンとウィンクを返してくる。

二人が小声で相談中もユウスケはオロオロ、他は遠くを見ている。

異世界転生とかの話だといきなり子持ちの奥さんスタートとかの話もあるんだ。いきなりそれよりはマシなはず。いや、最初は痛いって聞く。事後の方が良くない?え?どっち?どうしよう。考えるのは数瞬。結論なんて最初から決まっている。中世舐めんな!生き延びる事がどれほど過酷な事か!

二人が互いに頷く。


「「私を愛人にしてください!」」






ユウスケは困り果てていた。二人の、、、女の子とトロール擬き女子を馬に乗せ自分は手綱を引いて歩く。お馬さん大丈夫やろかと偶に撫でながら置いて行かれた状況。キンさんは先に報告に向かった。


愛人ゲットだぜ!って言いたいけど。かたやトロール。かたや子供ガキ。しかも身元不明。突如森から現れた不信人物。考えさせてくれと言ったハズなのにキンさん達はユウスケが愛人拾ったと騒ぎながら本隊に向かって行った。


後で復讐するのは確定として。問題はこの二人だ。なんか、その、なんつうか、日本とかから来たんでねえの?だって女の子ジャージだし。トロール登山服でリュック背負っているし。

ユウスケにとっては懐かしい雰囲気だ。だが、もし二人に手を出して日本に帰還させられた場合。万が一でも二人を妊娠させていた場合。子供が出来ていた場合。D・N・A鑑定発動!を喰らったら社会的復帰不能の地に落とされる。


一応帰還手段が無い事は確認していて、する気も無いけど。めんどくさそう。メグミさんに全てお任せって方が良い気がしてきた。


メグミさんとは自分同様に日本からこの世界。このサントール王国のバーナ領に自分よりも先に転移していた先輩だ。自分の主家、主人にしてバーナ領当主の愛人、領主を尻に敷いている?みたいな。王妃様とも仲が良くて王様を領主同様アルさんと呼ぶ女傑。



何度煮え湯を飲まされたことか!面倒ごとはパスするに限る。かなりの美少女だけど子供!トロールも顔は普通に美人だったけど!


せっかくの異世界に来て第二の人生を歩んでいるというのに。何故わざわざリスク背負って面倒見なきゃあかんねん。元の世界の人間お断り!ワイにはエロフとケモミミ姉ちゃんが待っとんねん!


「エロフとケモミミですか?」

女の子に声を掛けられる。シクった。独り言がいつの間にか口に出ていたぜ。


「、、、」

言葉が出なかった。言い訳しようとは思ったが。ココは聞こえないふり。空耳とでも思ってくれ。

「すみません。気のせいでした。幻聴が。」

すまん。すまんのう女子よ。事案は不味いねん。この世界じゃなくて元の世界の日本的にな!いつかは帰りたいだろう?子供っぽいし。ジャージだし。異世界でジャージw


「あの!ユウスケ様!喧嘩売ってます?」

地獄耳か!様付けする辺り自制心は働いてるらしいな。うん。気付いたらワイ貴族やねん。貴族と平民で言葉遣い別けろとさっきキンさんにブッ叩かれたねん。自分もアタフタしてたくせにw


「、、、」

ここは無回答としておこう。OK無心無心。考えるなら言い訳だ。


三人の思惑が交差し混沌に追い打ちをかける。






なんで行かなかったの?


≪タイミングが≫≪久しぶりなもので≫≪AA準備してたもので≫


わかるわ~。なんか草準備してたらあっという間だった。


≪案内人w≫≪嘘乙w≫≪次こそは!≫≪どうぞどうぞwww≫


どうぞどうぞw


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