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アットホームな職場ですけど。。。

「寒い、悲しい、ひもじい、辛い」

(そうです、誰一人一緒に寝ることも無く)

(床で一人寝てますよ…)

(せめてベッドで寝たかったな…)


ベッドでスヤスヤと寝息を立てる二人。


「俺も交じろう。」

(そうだ!家主の俺がベッドに入っても何もおかしくはない!)

(そうに違いない!これは権利だ!)

(そして今は俺のターン!)

(年頃の娘に先制攻撃!)


ヒソヒソとベッドに近づく。

二人の前で深く深呼吸をする。


「いただきます!」

(ずっと俺のターンだ!)


二人の間に侵入しようとした瞬間、

「ブン!」という音と共にドナの裏拳がタイチの顔面にヒットする。

壁に叩きつけられるタイチ。


「なんだか眠いよ…」


タイチの意識が無くなった。


「タイチさん…このサラダも美味しいですよぉ…」


ドナは熟睡している。。。



タイチの頬は腫れ上がり水で冷やしていた。


「タイチさん!どうしたんですか?」


「いやぁ…安眠を求めてね。」


「何の事か解らないですけど明日からはベッド使います?」


「ヒッ!大丈夫です!」


「二人ともおは~」


「おはようございます、イラムさん」

「おはよ」


「あれれ?タイチ君どしたの~その顔?」


「何でもねーよ!」


「またヤラシイ事しようとした~?」


「するかっ!」

(はい、そして罰が当たりましたよ!マッハでね…)


「タイチさんもうそろそろ開店ですね!」


「そうだね、後少しだ、今日も気合を入れて頑張ろう!」


「はい!」


「お~!」


「で、今日は何をするんですか?」


「今日はチラシ配りです!」


「チラシ配りですか?」


「そうです!チラシ配りです!」

「なんと言っても周囲の認知度が大切だ、オープン時には行列ができる位知られていないとね!」


「じゃあ町に行って配りまくりましょう!」


「うん!で、これが配るチラシです。」


タイチはイラムから手渡されたチラシをドナに見せる


「すごいです!タイチさん!お店屋さんみたいですね!」


「いや、ドナさん…お店だよ…」


「あっ…」


ドナは慌ててチラシの内容を読む


「えーっと…あっ!この間の鉱石の事も書かれていますね!」


「うん、おっさんに頼んで印刷してもらったよ。」


イラムはドヤ顔でタイチを遮る。


「スチームサンドの技術力ならこんなチラシは何千枚でも複製可能よ!」


「確かにスゲーよな、この世界で見た他のチラシなんて版画みたいのしかなかったしな。」


「タイチ君は何かと詳しかったみたいだけどね、」


「ああ、前に見たこと有るぐらいだけどね。」

(まあ、俺の世界だとパソコンで印刷会社に発注だけどね。)


「ふーん。」


「タイチさん、従業員募集って出てますけど?」


「そうそう、無休でやりたいからもう一人位は雇いたい。」


「えー!無休って休み無なんですか?」


「うん。そのつもりだけど?」


「そんなぁ…勇者や魔王の直営店でも定休日が有るんですよ…」


「勇者?魔王?の直営店???」

(ブランド?店の名前か?)

(そもそもこの世界には魔王とか勇者とか居るのか?)


「タイチさんもしかしてそれも知らないんですか…?」


「ごめん…」


「えーっとですね、今から約100年位前にまだ魔王が統治する国とその隣国で世界を巻き込む戦争が有りました。」

「その戦いで反魔王派を率いたのが勇者様です。」

「10年にも渡る衝突の後、和平条約が締結され終戦になりました。」

「勇者・魔王共に平和な世の中で支配権を放棄して商売を始めました、今ではどの町にでも有る位有名なお店になっています。」



「へ、へぇー。」

「で、どんなお店なの?」


「タイチさんも買い物に行ったじゃないですか?」


「え?」


「勇者様のお店は食品・日用品・雑貨など、魔王様のお店は武器・道具・おもちゃ・雑貨のお店です」


「あっ…そういや行ったね…」

(勇者がスーパーで魔王がホームセンターかよっ!)

(なんか夢の無い世界だな…)


「で!休み無しなんですか?」


「うん。ウチみたいな弱小店舗は大手が休みなら店開けて稼がなきゃ!」


「そんな…」


「大丈夫!皆ちゃんと休みが取れるようにやりくりするよ!」

(落ち着くまでは俺が死ぬけどね…)


「それなら…まあ、良いですけど…」


「だからもう一人位は雇わないとね。」


「そうですね、それならもう一人欲しいですね。」


「イラム、やっぱりおっさんは現地で雇えって?」


「これ以上は人は割けんって言ってたよ~」


「だよな~」

(イラムは他所から来てるし、ドナに紹介してもらうのも難しそうだな…)


「タイチ君!ドナちゃん!」


イラムが突然二人を呼ぶ。


「どうした?」

「何か有ったんですか?」


イラムの腹から地獄の底から出ているような音がする。


「お腹すいたから早く何か食べて仕事しない?」


「・・・」

「・・・」


三人は店を出た。


朝の市場で食事を食べ終え、チラシ配りを開始する。

ドナ・イラムがチラシを配ると予想以上に好印象だ、

タイチが配ると無視、断られる等かなり厳しい。。。


「くそう。。。」

(黙っていればあの二人は文句なしなんだよな…)

(何もしなければね…)


「オネガイシマース。」

(はぁ、あまり受け取ってくれないなぁ…)


タイチの前にローブを被った子供がチラシを受け取った。


「もし良かったら家族にも見せてね」


「・・・」


子供はチラシを一通り読むとタイチにつき返した。


「いや…家族にも見せて…」


「・・・」


子供は走り去っていった。


「くそう。。」

(なんだ、家族にも見せろって言ってんだろクソガキ!泣かすぞ!)


「タイチさん!配り終わりましたよ!」

「おわったー!」


「お疲れ…」


「タイチさんはどうですか?」

「あ・・・」


「やくたたず~www」


「すみません。。。」


「残りは私達で配りますから…」


「すみません・・・」


三人はチラシ配りを終えると店に戻る。


「ふー疲れましたね。」

「お昼食べたらお店作りですね」


「二人ともありがとう、店もだいぶ作り終えたから隅々の清掃をしようか。」


「はーい。」

「おっけ~」


午後は店の開店準備だ、床を清掃して買取の机、棚をより綺麗に磨いていく。

何か窓越しに視線を感じる。


「なんだ?すっごい視線を感じる。」


タイチは恐る恐る窓に目をやる。


「あ、」


窓にはローブを被った子供がこちらを見ている。


「どうしたんですかタイチさん?」


「ああ、さっきチラシ配りをしていた時に居た子だ。」


「どうしたんですかね?」


「さぁ?」


ドナは店のドアを開けローブの子供に話しかける。


「どうしたんですか?何か御用ですか?」


「仕事…募集…見たから。」


少し困った様子でドナは話しかける。


「募集見たんですね?」

「でもごめんなさい、子供は働けないんです。」


「子供…じゃ…ないし…」


「じゃあ何歳ですか?」


「じゅ・・・才。」


「?」


「四十歳…」


「そんな、いくら何でも私より年上なんて…」


「…ぞく…だから…」


タイチがやり取りに割って入った。


「はいはい、ごめんな、もう少し大人になったらもう一回来てな。」

(とりあえず追っ払って仕事終わらさないとな…)


「子供・・・じゃない!」


「はいはい、わかったよ、もう少し大きくなったらな。」


子供は店の中に入ろうとする。


「ちょ!待て!」


タイチは制止しようと掴むとフードがめくれる。


「!!」

(角??)


中に入ろうとする少女が


「えっ?」


その少女を見たドナが


「えっ!」


角に驚くタイチが


「えっ!」


少女を見たイラムが


「えっ!」


「タイチさん…魔王様の娘さんです…」


「え?」


「いや、現魔王様の娘様ですよ…」


「この角の生えたちんちくりんが…?」


「はい…」


「・・・」

(はいっ!人生終わりました。)

(何だよ、何でだよ、大統領令嬢みたいのがこんな所に居るんだよ。)

(絶対無礼だよ、打ち首だよ。)

(ちんちくりんとか言っちゃったよ…)


イラムが左腕を構える、

「もう、こうなったら消しましょう。証拠が残らないように…」


「やめい!」

「マジで打ち首になるから!」

「余計ややこしくなるから…」

「お願い!やめてー!」


数分後・・・・


「はい…では面接を開始させて頂きます。」

「ドナサン…オ茶ヲオ持チシテ。」


「ハイ、カシコマリマシター。」


「まずは・・・」

「本っ当ーにすみませんでした。。。」


「・・・大丈夫・・・」


「ありがとうございます。。。」

「では改めまして面接を開始させて頂きます。」


「ではお名前と年齢は?」


「コーネリアス・・・ディンス・・・40歳」


「コーネリアスさんですね、」

「40歳・・・?」


「魔族・・・長生き・・・」


「あっ、そうなんですね」

(ここは流しておこう。)


「では、当社への志望動機は?」


「チラシ・・・頑張って配ってるの見てたから・・・」


「チ、チラシですか・・・」

「で、では、当社に入ってやりたい事は何ですか?」


「何でも・・・頑張る。」


「ほ、ほぅ・・・」

「では、得意な分野は何ですか?」


「ウチ・・・で売ってる物の値段なら・・・大体わかる」


「それは強いですね!」

「通勤はどこからですか?やはり・・・お店から??」


「宿・・・から・・・来る」


「ウチは接客業ですけど、大丈夫そうですか?」


「大丈夫・・・頑張る。」


それからタイチは元の世界であるような内容を質問した。


「はい。わかりました」

(くわ~!どうしよう。。。)

(人でが居る時に非常に難しい人材だ。。。)

(普通なら経験者だが、ここは異世界だ、)

(これが当たりなのかハズレなのか全くわからん。)

(しかもこれ以上ない無礼のおまけつきだ…)


チラッとコーネリアスの方を見る。


(ダメだぁ~。)

(めっさ真剣だぁ~。。。)

(ゴメンとか言えないよなぁ)

(一応キープして置くか…)


「では数日後に採用・不採用をご連絡しますので連絡はどちらに?」


「明後日・・・またココに・・・来る。」


「あー、はい。で、ではその時にお伝えしますね。」

(スマホ欲しー!)

(直接ってなんだ?)

(この世界では普通なのか?それとも即日発表なのか?)

(気まずいだろう!直接来た魔王の娘に不合格ですって…)

(さすがにもっと良い人材来たら無理だぞ、雇うのは。。。)


「ありがとう・・・ございました。」


コーネリアスは深々とお辞儀をして店を去る。


ドアが閉まるとドナが心配そうに話しかけてくる。


「タイチさん、雇うんですよね?」


「ドナ、ゴメン。」

「さすがにもう少し良い人材が来たら断るよ。」


「えぇ~!断っちゃうんですか!?」


「うん、、雇いたいけどね、、経験者が来たらやっぱりそっちを取るよ。」


「私はタイチ君に賛成~。」


「イラムさんもですか?!」


「そっ。タイチ君に賛成。今この状況では経験者が優遇は当然だよ~。」


「そうなんですね。。。」


「まあ、仕事なんだしコーネリちゃんを否定してるわけじゃないしね~」


「はぁ。わかりました。」


「まあ、あんまり良い気はしないよね。俺が断るからドナは気にしないで。」


「はい。」


コンコン。

ドアをノックする音がする。


ドナが応対する。


「はーい。」


「チラシを拝見して伺ったのですが、」


ドナがドアを開け、簡易的な面接椅子に案内する。

タイチが応対を引き継ぐ。


「どうぞ、お掛け下さい。」


「はい、失礼します。」


男は席につく。


「ではお名前と年齢を。」


「よろしくお願いします。」

「ドン・サナートと申します。」

「今年で23歳になります。」


「ドンさんですね、よろしくお願いします。」


「当社を希望した理由は何ですか?」


「御社の求人を拝見し、総合的な中古品の買取・販売という部分に惹かれました。御社の他の店舗であれば、あまり買取に力を入れていなかったのですが、こちらの店舗は買取にも注力されている事を知り応募させて頂きました。私は商人として今まで売り買いをして来た経験が有りますので御社で必ずお役に立てると思います。」


「そうでしたか、ドンさんは経験がお有りなんですね。」

(わー。何かちゃんとしてそう。)

(決まりっぽいな、経験者だし。)


「ではご連絡先・通勤など・・・」


順調に面接が進み終わりになる。


ドンは一礼して店を去った。


「タイチ君決まりだね。」


「そうだな。」


「さっきのドンさんですか・・・」


「うん。」

「真面目そうだし経験有るし。」


「じゃあコーネリアスさんは・・・」


「ごめんドナ。断るよ。」


「仕方ないですよね・・・」


「ごめん。」


「ドナちゃんは初めてだもんね。」

「まっ、気を取り直して準備始めよ~」


「はい。。。」


三人は少し重い空気の中開店に向けて準備を始める。

時刻は過ぎほぼやるべき事を終え店内も整った。


「ほぼ終わったな。」


「疲れましたね。」


「腹減った~。」


「飯にしよう!」


「やった~!」


「じゃあ用意しますね。」


「飯を食いながらで良いんだが、明日にやって欲しい事の説明が有るんだ。」


「わかりました。」

「わかった~。」


いつもの席に座り夕食を頬張る。


「タイチさん明日のやって欲しい事って何ですか?」


「ああ、ポップを書いて欲しい。」


「ポップって何ですか?」


「商品の良い所やドナなりのオススメとか説明を紙に書いて欲しいんだ。」

「そしてそれを商品に飾り付ける。」

「まぁ、言ってみれば商品一個一個に小さい看板を着けるみたいな感じかな?」


「なんか可愛いですね!」


「そう、目立つしイチイチ商品の説明をする手間も省ける。」

「物言わぬ小さな店員ってとこだな。」


「凄いですね!頑張って書いてみます。」


「よろしく!イラムは書いたこと有る?」


「無いわよ。そんな発想誰もしてないわよ。」


「マジか?」

(そういやどこの店に行っても簡素な値札みたいな物しか無かったな…)

(大手の勇者や魔王の所も広い店だが知名度だけであまり店作りには力を入れていないような…)

(もしかしたらこれはチャンスかも。)


「タイチ君の故郷だとポップって言う物は一般的なの?」


「ん~、まあね。」

(大型店舗から本屋までポップだらけだぞ…)

(ネットで話題になったりね!って言っても解らんだろうけどね…)


「へぇ。タイチ君どこ人?髪の色から見て東の地方の人だとは思うけど。」


「ああ、そっちの方だよ。それより料理冷めちまうぞ。」

(イラム!あまり攻めんといて!俺の故郷は異世界だから!)


「まあいっか、料理料理~!」


ドナと話すタイチをイラムが見つめていた。


「なーんか怪しいよねタイチ君…」


「ん?なんか言ったか?」


「いやー、タイチ君これも食べなよ~」


「おっ、センキュ。」


食事を終え帰る道でドンらしき人影を見つける。


「タイチさん、あれドンさんじゃないですか?」


「ホントだ、ドンさんもメシ食った帰りかな?」


「声かけますか?」


「いや、いいよ。まだ決まった訳じゃないしね。」


「わかりました、でも新しい仲間が出来るのは嬉しいですね!」


「そうだねぇ、少しでも開店に向けて楽になれば良いねぇ。」


「タイチ君、アレ。」


ドンは路地に座っているローブを着た少女に話しかけている。


「あれ、コーネリアスちゃんじゃないか?」


「多分ね~」


「お友達ですかね?」


「いや~違うみたいよ~」


「おい、あれって。」


ドンは何かを見せて話している。

コーネリアスは横に首を振りその場を離れようとしている。


それに怒ったのかコーネリアスが手にしていた食べ物を払い落すと短剣を抜く。


「マズくないか、あれ。」


逃げるコーネリアスの肩を掴み押し倒そうとするドン。

が次の瞬間、ドンが壁に飛ばされる。

ドナが脇腹に蹴りを入れていた。


起き上がったドンは反撃に出るが、ドナの方が早い。

更にもう一撃蹴りを食らったドンが地面に倒れる。

ドナは更に近づきドンを何度も踏みつける。

慌ててタイチがドナに抱き着きドナを制止する。


「ドナ!もう良いって!」

「ドナ!」


「はっ…タイチさん…」


「ドナ、相手はもう気を失ってるよ。」


「す、すみません…」


イラムはコーネリアスを保護していた。


「大丈夫~?コーネリちゃん?」


「あ・・・ありがとう。」


落ち着きを取り戻したドナとタイチも合流して何が有ったのか尋ねる。


「大丈夫か?何が有った?」


「み・・・みなさん・・・ありがとう。」


「コーネリアスさん、大丈夫ですか?」

「一体何が?」


「泊る所・・・無かったら・・・一緒に・・・泊まろうって・・・」


「犯罪者じゃないですか!」


「ドナ、でも一応40歳だから合意が有ればねぇ・・・」

(魔族の40ってどうなんだ?解らん…)


「でも刃物を出したからどちらにしろ犯罪者です!」


「まあ、そうだねぇ。」


「やっぱりもう一度、根性叩き直して来ます!」


「ドナさん!やめて!ドンさんのHPはもう無いよ!」

「これ以上やったらドナさんが犯罪者になっちゃうよ!」


「お二人さんが漫才やってる間に拘束しておいたよ~」


「あっ、イラム仕事はやいねぇ。」


タイチは座らされているドンの頬を軽く叩く。


「おーい、起きろー。」


「うぅん、はっ!」


「起きたか、ドンさん、アンタ流石にやっちゃいけない事やっちゃったよ。」


「あっ、今日の面接の・・・」


「そっ、偶然見かけたんだけどアレはダメだ…」


「・・・」


「悪いけど、犯罪者を雇う気は無いよ。」


「・・・」


真顔のドナが低い声で話す。


「アナタみたいな最低な人とは一緒に働きたくないです。」


「まあ、今回はこれで見逃すけど次また見かけたらね…」

「後、面接の結果は不合格です。」


「・・・」


「イラム、もういいよ拘束を解いてくれ。」


「は~い。」


ドナは腕のワイヤーを解く。


「とりあえずもう、消えてくれ。」

「二度と目の前に現れないでくれ。」


「・・・」


ドンは何も言わず立ち去った。


「さて・・・」


コーネリアスは落ちた食べ物を拾っていた。


「コーネリアスさんもう食べられなくなってしまいましたね・・・」


「大丈夫・・・まだ・・・食べれる。」


「えっ?」


コーネリアスは少し砂を払うと食べ始めた。


「いいよ、新しいの俺が買うよ…」


「大丈夫・・・」


コーネリアスは口いっぱいに残りを詰めると大きく飲み込んだ。


「ありがとう・・・もう・・・大丈夫・・・」


「いいよ泊っている所まで送ってくよ。」


「泊る・・・所・・・無い・・・」


「へ?」


「お金・・・もったいない・・・残り・・・少ないから・・・今日は・・・野宿」


「いつもこんな感じなのか?」


「最近は・・・そう・・・」


ドナがタイチを見つめながら袖を引っ張る。

「タイチさん・・・」


「良かったらウチに泊まるか?」

「この二人も居るけど・・・」


「でも・・・迷惑・・・掛かるし・・・」


「大丈夫ですよコーネリアスさん!」

「タイチさんも採用で決まりだから、早く店に来ないかなって言ってた位ですし。」


「本当・・・?」


「ええ!もう仲間なんですから迷惑なんて大丈夫ですよ!」

「ねっ?タイチさん」


「えっ?」


ドナの肘がタイチの脇腹に入る。


「ねっ!タ イ チ さ ん!」


「う、うん・・・」


「ほらっ!」

「さっ、コーネリアスさん遠慮は要りません!」

「ウチに行きましょう!」


「ありがとう。」


「まっ、決まっちゃった物はしょ~がないね」

「頑張れタイチ君~。」


「まぁ・・・仕方ないか。」

「皆、帰ろう!」


「うん・・・」

「はい!」

「ほ~い。」



「コーネリアスさんここの2階が私達が寝泊まりしている場所です。」


「お店の・・・2階?」


「そうです、ちょっと狭いですけど住めば都ですよ。」


「全然・・・良い・・・じゃなくて・・・ここが良いい・・・」


「最初は綺麗だったんですけど色々あってドアとか壁とかツギハギだらけですけどね・・・」


「大丈夫・・・凄い・・・綺麗・・・」


「ドアはどっかのバカが散々壊したから気おつけてな!」


「大丈夫・・・ゆっくり・・・閉める」





バキンッ!




「あ・あああ・・・」


「ごめんなさい・・・力加減・・・間違えた・・・」


ドアごと引きちぎるコーネリアス。










「またパワー系かよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」






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