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7/10

私の初体験はたくましいドリルでした。 自営業 男性(46歳)

「お、おはようございます。」

「誰?何?」

(てか何だよあれ?)

(水陸両用みたいなカニ爪ついてますけど!)

(ジャッキン!ジャッキン!言ってますけど!)


「あっ、ごめんなさい。驚かしちゃった?」

「私イラム。イラム・ナスカ」

「よろしくね。」


「あ、はい。よろしく。」

「ヒョウドウ・タイチです。」

「で、何・・・?」


「ええ、あのオッサ…エリクさんから応援頼まれてね、」


「なるほど、オッサンが言ってたゴリ…応援の人ね!」

(おい!唯一まともなのがオッサンだけって…)

(メガネ・美女・巨乳まできて何でカニアームなんだよっ!)

(どいつもこいつも全てを覆すデバフが掛かってやがるっ!)



カラン!



ドアノブが落ちた。

ドア自体もえぐられている。


「あ、ゴメン。。。」


「ハハハ・・・」

(コイツカニアームでドア開けやがったー!!!)

(まともな右手が有るだろうが!)

(何故?なぜ?ナゼ?そっちで開ける?)


「ハァ、、、」


「タイチ君、早速なんだけど搬入の手伝いお願い出来るかしら?」


「はい、大丈夫です。着替えたら手伝います。」


「よろしく。」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「いや、着替えるんで・・・」


「・・・どうぞ。」


「いや、出てって。」


「あっ、ごめんなさい!」


イラムは慌てて下に降りていく。


「。。。」

(カニアーム+ボケか…最悪の組み合わせだな…)


タイチは支度をして店に降りる。

階段にはカニ爪が付けたであろう新しい傷が階段の各所に出来ている。

外には馬車が有り大きな荷物が沢山積まれている。


「タイチ君!こっちよ!」


イラムの左腕はクレーンの様な物が装着されており次々に大きな荷物が下ろされていた。


「今降ろしてるから、運べそうな物から運んでね。」


「りょ、了解。」

(違った!カニじゃない!ミッションパック付け替え式だ!)

(昔そんなヒーローが居たような…)


タイチは次々と箱を倉庫に搬入する。

降ろし終えたイラムは左腕を外すと普通の腕を装着する。


「普通の腕有ったんかい!」

(何だよ!最初っからそれで来いよ!)

(朝の犠牲は無駄じゃねーか!)


イラムは頬を赤らめ恥ずかしそうに話す。


「い、いや、こっちの方がカッコいいかな?って思って//////」


「・・・・・・。」

(小3か?こいつは頭ん中小学生か?)

(「ボクの考えた最強ロボ」を地で行ってやがる。。。)


「た、タイチ君、て、手伝うわよ。」


「はい。おねがいします。。。」


微妙な空気の中、搬入作業を進める。

昼前にあらかた片付いた、二人とも作業を終え一休みしようと店の中に入る。

丁度荷物を抱えたドナが到着する。


「ドナ、おはよう!」


「おはようございます。お待たせしました!お昼ご飯作ってて遅れちゃ・・・・・・」

「誰ですかその女?」


「あっ、いや、オッサンが呼んだ応援・・・です。」


「えっ?エリクさんが呼んだゴブリン?」


「ドナさん…ゴブリンとは言ってなかった…よね。」

(中身はたいして変わらんけどね。)

(あと、君のお父さんも一応ゴブリンよ…)


「あっ、ああ~、ごめんなさい。」

「初めまして、ドナ・マクトです。」


「私イラム。イラム・ナスカ」

「よろしくね。」


「こちらこそ、これから一緒にかんばりましょう!」


「ふぅ~。」

(何で俺がこんなに気をつかわにゃならん。)


三人はテーブルを囲みドナのお弁当を食べる。

イラムとドナは最初こそ気まずかったものの、何とか打ち解けたみたいで談笑している。


午後一で作業を再開、タイチが箱から商材を取り出しイラムが伝票と照らし合わす。

商品名と値札が張られている所にドナが品出しをする。

繰り返し同じ作業を進め、ある程度お店の形が出来て来た。

時刻は夕方、作業を終え三人とも床に寝そべった。


「何とか切りの良い所まで終わった~」


「お疲れ様です~」


「左腕がオーバーヒートしそ~」


「あの皆さん、お腹減りません?」


「うん」


「そうね」


「よし食べに行こう」

「食べに行きましょう」

「行こ~行こ~」


三人同意で屋台に向かった。

言うまでも無くおなじみのパンチャ。

ドナがイラムにパンチャを力説する。

一つで満足気なタイチの前で二人とも五つ程パンチャをたいらげる。


「はははは・・・」

(大食い属性はプラスではないよな…?)

(もう、どうでもイイや。)



帰り道、ドナとイラムが左腕について喋っている。


「イラムさん左腕カッコいいですね!」


「ほらっ、ドリルにもなるし、発射できるの。」


「わあ!カッコいいですね!」


「・・・・・・」

(コイツ馬鹿だろ!やっぱり脳みそ小学生だよ!)


ドンッ!

ドナが人とぶつかり慌てて謝る。


「ごめんなさい!私の不注意で、あっ、」


ぶつかったのは「あの店」の店主だった。


「これはドナちゃん、この間はどーもネ。」

「サンド商会で元気にやってるみたいだね。」


店主はドナに近づくと襟を掴み耳元でささやく。


「これで終わった訳じゃ無いからな、必ずお前…うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


店主は白目を剥いて倒れる。

店主の尻にはイラムから発射されたドリルが食い込んでいる。


「あっ、ゴメ・・・」


タイチはそっと店主に食い込んだドリルを引き抜き、脇に抱える。


「二人とも逃げるぞ!!」


イラムは理解していなかったがドナとタイチは笑いながら走った。


「あははははは!www」


「クスクスwww」


「???」


部屋に着き三人ともベッドに倒れ込む、また笑いが込み上げてきた。


「あはははははwwww」

(店主よ、ざまぁwwwwww)


イラムは立ち上がり腕を装着する。


「今日はもう休みましょう。」


「賛成、疲れた。」


「お疲れ様です。」


「イラムさんはどちらにお泊りですか?」


「近くに宿を取っているわ。」


「じゃあ送っていきますね。」


「俺も送るよ。」


「タイチさんは大丈夫です!」


「えぇ、、わ、わかったよ、、」

(このペアで大丈夫かな…?スゲ~心配。。。)


「タイチさんちゃんと寝てくださいね、明日も来ますから。」


「は~い」


「イラムさん行きましょう。」


「ありがとう、ドナちゃん」




夜。

けたたましい鐘の音でタイチは目覚める。


「なんだ!?」


窓を開け辺りを見回すと宿屋の一角が燃えている。

ふと、イラムの事が気になる。


「イラム!無事かっ!」


部屋を駆け出し急いで火の手に向かう。

消防隊が魔法陣から勢いよく水を放水し消化活動をする。

タイチは大声でイラムを探す、


「イラムー!イラムーっ!」


「タイチ君、、、」


ふらふらとタイチに近寄るイラム、服は所処焼け焦げ左腕は見る影も無く変形していた。

崩れ落ちるイラムを抱きかかえる、


「イラム大丈夫か?!」


「…あ、ありがとうタイチ君」


「どうしてこんな事に、、、」


「あ、新しい…う、腕の…パーツ…を…試してたら…暴発して…」


「・・・・・・」

(すみません、犯人みつかりました。)


タイチは静かにイラムを地面に置きその場を去ろうとする。

だが、イラムに足を掴まれる。


「タイチ君…ま、待って…」


「嫌です。離してください。」

(ヤバイ!俺も共犯にされる前に逃げなくては…!!)


「お、お願い…いっ、…一緒に謝って…」


「嫌だよっ、自分で落とし前つけろよっ!」

(コイツ確実に共犯にしようとしてるぞ!!)


「こっ…怖いのっ…一緒に謝って…」


「じゃあ、あんな危ねーモン宿屋でぶっぱすんなやっ!」


怒りに満ちた宿屋の店主が二人を睨めつけながらやって来た、


「アンタ達か!ウチを燃やしたのは!」

「どうしてくれるんだ!アンタ達が・・・・・・」


「もう、その後の記憶は曖昧だ…」

「ひたすら二人で土下座した。」


当然イラムは出禁、修繕費は商会持ち…

エリクも激おこぷんぷん丸だ、まだ日も開けていない中疲労感だけがタイチを襲う。


「もう、帰って寝たい。。。」

(そして心に誓った、デバフ付きはもう絶対に助けない!)


トントン。


「・・・・・・」


トントントン。


「タイチ君。」


「・・・・・・」


「タイチ様。」


「知らない。俺は寝る。」


トントントントントントントントン。


「うるせぇなぁ!」


「私の寝るところ無い。。。」


「知るか!」


トントントントン。


「あーもう!」


「はいはいはい!ウチに来れば良いだろ!」


「ありがとうwタイチ君w」


仕方なくイラムを連れ部屋に帰る。


「俺は何も悪くない、だからベッドで寝る。」

「悪の元凶なお前は床!」

「わかった?」


うんうんと首を縦に振るイラム。


「後もうしゃべるな、」

「お前と話すだけで常にHPが持ってかれる。。。」


また、うんうんと首を縦に振るイラム。


「じゃ、寝る・・・」


明かりを消しベッドに倒れ込む。

一瞬にして深い眠りにつく。



早朝。

元気のいい足音で階段をのぼる足音が聞こえる。

だがタイチの枕元には能面のドナが立っていた。


「タイチ、起きろタイチ…」


「うんにゃ、ドナ?どうしたのそんな怖い顔して。」


「コレハナンダ?セツメイシロ。」


ハッとタイチは昨日の不幸を思い出す。


「ド、ドナさんコレニハ訳ガ有リマシテ。」

(駄目だ、声も完全に暗黒面になっとる…)


「ん?ドナちゃん?おはよ、タイチ君、昨日はありがとう、助かったわ…」


部屋の状態だけを見るとドナが怒るのも納得する。

下着一枚のイラム、散乱した服、ぐっすり寝ていたタイチ。


「ドナちゃん、昨日は大変だったわ、とても燃え上がって…」


「・・・・・・」

(火事にナパームをブチ込む馬鹿がここに…)


無事に炎上。

そして爆散・・・



顔が腫れ上がったタイチ、平謝りのドナ、大笑いするエリク、新しい腕を磨くイラム。。。

万事解決だ・・・と思う。


だが、エリクが厳しい顔になり話す。


「ター坊、ちとマズイなぁ。」

「火事の件はこっちが持つとしてよぉ。」

「もう経費だけでこんなに掛かってんだわぁ…」


数字の読み方はドナと暮らしていた一か月の間に覚えはしたが、文はまだ読めない。

一番数字の大きい項目を指さしエリクに尋ねる。


「オッサン、このずば抜けてかかってる経費は一体…?」


「ああ、これな消耗品費・備品費だな」


「??…そんなに?消耗・備品なんて有ったっけ?」


辺りを見回すがそんなに金額の張る物は見当たらない。

ふとイラムを見ると、こちらを伺いながら苦笑いをして腕を隠す。


「あっ・・・いえ、その、コレは必要でして。。。」


「オッサン…支払先はどこになってる?」


「ああ、商会の資材部と開発部だなぁ。」


「じゃあ、イラムの腕はどこで調達できる?」


「腕本体は開発部から買えるし、予備のパーツ単体は資材部からだぁ。」


「ですよねぇ・・・・」

「オッサン!返品だっ!イラムと腕、両方返品で!」


「何言ってるのタイチ君!こんなに使える人材他に居ないわよ!」


「うるせぇ!ポンコツ!横領犯めっ!」


「ひどい…タイチ君。昨日はあんなに優しかったのに…」


「ぶっとばす!」


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・


タイチとイラムはお互いに顔を腫れさせ正座していた。


「・・・・・・」

(くそっ!明らかに俺はとばっちりだ…)



「残念だが返品もできねぇし、追加で予算も回せねぇ」

「更に不味いお知らせがある。」

「この店の目玉商品も費用不足で仕入れらんねぇ。」

「どうするよぉ?ター坊。」


「・・・」

「何とかします。」

「開店までには。」


「そうかぁ。じゃ、まぁ良いかぁ・・・」

「開店までには何とかしろよぉ。」

「頼んだからなぁ。」


「はい。。。」



エリクはひょいっと立って店を後にする。


「・・・」

(どうしよう、何とかすると言っちまったけどどうする?)

(仕入れをしようにも元金が無い…)

(極力出費を抑えて良い物を仕入れるには…)


「タイチさん?」

「タイチ君?」


「ん?」


「大丈夫ですか?」

「大丈夫なの?」


「多分…」

(大丈夫な筈が無い…)

(ドナは悪くない!元凶はイラム!あいつを魔界に送り返さねばっ!)

(しかし、何だ?このパーティーは?)

(戦闘力全振りの中坊パーティーだ、オマケに俺はLV.1の遊び人…)


タイチは二人を見つめ、また考え始める。


「・・・・・・」

(でも待てよ、少なくてもドナとイラムは戦闘系スキルだよな…)

(仮に俺が物持ちでも回復さえ出来れば行ける可能性が有るかも、)


「ドナ、この町にもギルドは有るよな?」


「はい、有りますよ」


「イラム、お前どの位強い?」


「タイチ君、この最新式のユニットを装着した私は無敵よ!」


「ふうん。じゃあ死ぬほど強いモンスターが出て来たら特攻しろよ…」

(頑張ってもドナより少し強いぐらいか…)


「ドナ、少し買い物に行こう、」


「はっ、はい。」


「じゃあ私も支度するわね!」


「お前は留守番だ。」

「しかも動くな、今後部品一つでも俺に黙って注文したら全部没収な!」


「……はい。」


しょげたイラムを置き去りに町に出る。

最新の道具屋、武器屋、中古の店あらゆる店に顔を出しメモを取る。

大体の相場、人気を把握しつつギルドに立ち寄る。


「ドナ、ギルドでパーティーを組むとしたら俺たちはどのくらいのランクだ?」


「残念ですが一番下のブロンズです。」

「ギルドに登録しても最初は採取クエストからが良いと思います。」

「でもクエストをやったとしても開店までには・・・」


「大丈夫だ、クエストなんてやらない。時間の無駄だ」


「ですよね・・・」


「もしランク関係なくやるとしたらドナはどこまで行けそう?」


「頑張ってもシルバーの一番下の採取クエストで精一杯だと思います。」


「そっか、じゃあ一番上の採取クエストはどれ?」


「い、一番上ですかぁ?!」


「そう、一番上。」


「タイチさん、、、死んじゃいますよ。。。」


「大丈夫、そんなクエストやらないから…」


「え~っと、あ、これです」

「プラチナランクの採取クエストです。」

「内容はオレイカルコスの鉄鉱石採取って書いてあります。」


「場所は?」


「近くの鉱山採掘場跡地がダンジョン化しているそうです。」

「第六階層付近で採掘できるそうですよ!」

「でもこんなダンジョン入ったら即死です、一階でも多分…」


「大丈夫、一歩たりともはいらないよ。」

(ドナでダメなら近くの草むらで俺は死ぬだろう・・・)

「せっかくギルドに来たんだし店の宣伝でもしてくか。」


「タイチさん・・・」


「ふぅ~終わった~。」

「ドナ、お菓子食べに行こう!」


「えっ!良いんですかっ!」


「うん、色々案内してもらったし、昼飯買わなきゃだしね。」


「わ~い!では、早く行きましょう!」


昼飯と菓子を買いタイチはドナと別れる。


「ドナ、先に帰っていてくれないか?」


「え?タイチさんは帰らないんですか?」


「ちょっと調べものが有るからね、あのバカに昼飯を届けてやって。」


「わかりました!あまり遅くならないで下さいね。」


「はいよ。」


ドナは店に戻り、イラムに話しかける。


「戻りました。」


「お帰り~」


「あれ?タイチ君は?もしかしてケンカしちゃった~?」


「してません!」

「何か用事があるそうです、後コレ、タイチさんからです。」


「あ、パンチャだ、タイチ君こればっか食べてるもんね。」


「そうですね、タイチさん屋台でコレと焼いた肉しか食べてませんもんね…」


「バランス悪いよね~、ドナちゃん愛妻弁当の時は何でも食べるのにね~」


「毎回ちゃんとお弁当作って栄養管理しないとですね!」


「お~!できる嫁だねぇ、タイチ君は幸せ物だぁ!」


「やめてくださいよぉ!ただのお友達です!」


「またまた~。」


二人はパンチャを食べ終え開店作業を始める。


「ドナちゃんさ、タイチ君とはお友達なんだよね?」


「そうですけど、何か?」


「いやぁね、昨日の火事の件で住む所無くて…」


「はぁ、それで?」


「ドナちゃんが彼女とかじゃ無ければここに住んじゃおっかなぁ~って、ねぇ。」


「却下です。」


「何でよ!別に良いじゃない?」


「不潔です。」


「じゃあ、外で寝ろと?」


「寝袋は貸しますよ?」


「無理無理無理!」


「ダメです!」


「え~!何でよ~」


「だーかーらー!」


用事を終えタイチが帰宅する。


「ただいま。」

「・・・・・・」

「え?」


「おかえりなさい。」


「おかえり~」


「どうした?何かあった?」


「いいえ!別に!」


「タイチ君~ドナちゃんがここで寝泊まりしちゃダメだって~!」


「えっ?ここに住むの?」


「だって宿屋は出禁だし、お金無いし。」


「あっ・・・・・・」

(そういやぁコイツ昨日宿屋燃やしたんだった・・・)

「他に行くところは・・・?」


「有ったら昨日も泊って無いわよ。」


「だよね。」

(めんどくせぇ・・・でもコイツを野に放ったら更にヤバイな・・・)

「もう良いよ・・・ウチに泊まれよ。。。」

(他に犠牲者を出さないようにしないと!)


「わ~い、やった~!」


「ちょっとタイチさん!」


「ん?どうしたのドナ?」


「イラムさんに甘すぎません?」


「でも他に方法が無いし…犠牲者を…」

(あんな馬鹿放し飼いにしたら、いつか死者が出るに決まっている!)

(察してくれドナ!こいつは悲しいモンスターなんだ・・・)


「じゃあ私も住みます!」 


「えっ?ドナさん・・・」

(どうした!何故そうなる?)


「二人で暮らすのは不潔です!私が監視します。」


「えぇぇぇぇぇ!!!」


「ドナちゃんがそれで良いなら別に良いんじゃん!」


「じゃあそう言う事で!」


「ちょっと待って!家主の俺の意見は?!」

(勝手に同意してんじゃねーよ馬鹿!)


「知りません!」

「しーらないっ!」


「いやいや、イラムは置いといてグラムさんはどうするんだよ?!」


「お父さんはゴブリンだからどうにでもなります。月2回は帰ります!」


「いやいや!急だし!グラムさん大切にしろし!」

(ゴブリン万能かよ!あんまり放っておくと野良ゴブリンになるぞ!)


「とにかくっ!明日からここに住みますのでよろしくお願いします!」


「え、え~・・・」


「ねえ、タイチ君!」


「はい?」

(うるせえなぁ!モンスターは黙ってろっ!)


「デザートのお土産は?」


「ねーよ!」

(空気読めよっ!スイーツはお前の頭の中だけで十分だよっ!)


「今日は明日からの準備が有るんで早退します!」


「えっ、えぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!」

「ちょ、ちょっと待って。。。」


「じゃあ、私は仕事に戻りま~す。」


「お前も待て!」


夜。


夕飯の買い出しに出ていたイラムが戻る。

頭には大きなタンコブが出来ていた。


「タイチ君おまたせ~」


「はい。ありがと。」


「たまには野菜も食べないとね、ドナちゃんも心配してたわよ~」


「おおっ!サンキュ!」

(いや、俺も食べたかったよ、文字が読めんから注文が出来なかった…)


「美味い!食物繊維が体に染みる!」


「野菜嫌いじゃないんだね~また買ってくるよ~」


「頼んます!」


食事を終え外はより暗くなる。


「そろそろ寝ますか。」


「そうだね~寝よ寝よ!」


「イラムさん…」


「何?何?」


「ベッドは俺ですよ?」


「え~!」


「当たり前だろ!居候なんだから!」

「お前は床だ!」


「ぶ~!」


「ったく!」

「こうなったのは誰のせいでこうなっ……」

「!!!!!?」


目の前には上裸のイラムが下も脱ごうとしていた。


「おいぃぃ!」


「?」


「何でここで脱ぐ!」

「下で着替えて来いよ!」


「めんどくさいな~いいじゃん別に!」

「タイチ君のケチ!」


イラムはブツブツと言いながら階段を降りていく。


「あのバカ…」


二人は着替え終わり床につく。

明かりを消し少し経つともうイラムは寝てしまっている。

タイチはまだ眠れていない。


「・・・・・・」

(でもよく見れば美人は美人だよな…)

(いやいやいや!無いだろ!あいつ馬鹿だし!モンスターだし!)

(でも…)


(いかん寝ろ!何も考えず寝ろ!俺!)

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