飛び切り大きいのがいい
あらすじに記載いたしましたが、本作は以下作品の続編となっております。
『NTRでも、BSSでもないのでノーダメです』
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「ねえ、仁くん。もうすぐあの日なんだけど、どんなのがいい?」
デート中に恋人から訪ねられ、一体なんのことなのかと首を傾げる。
「あの日?」
「もぉ、鈍いなぁ。最初にチが付いて、最後にコが付くものを恋人にあげる日のことだよ」
ああ、そう言うことか。
季節は冬。1月を通り越して2月のイベントと言えば、バレンタインデー。
「飛び切り大きいやつがいいな」
今まで何人も恋人がいたのだが、彼女達は手作りということに拘って、育ち盛りの男子を満足させる量のチョコはくれなかった。
俺は何気に甘いものが好きだ。スイーツに関して言えば、俺は質より量を求めるタイプだ。
「わかった。大きいやつね」
望ちゃんは今までの恋人と違って、男の気持ちを人一倍理解してくれる。どんなチョコをくれるのか楽しみでしかたがない。
だが、俺はこの時望ちゃんの言葉を本当の意味で理解しておらず、後になって自分の発言を大いに悔やむことになった――。
バレンタイン当日、望ちゃんの家でのデート。しかし彼女は、俺に甘えてくるものの、一向にチョコを持ってくる気配がない。
「望ちゃん、そろそろ大きいやつが欲しいんだけど……」
いてもたってもいられなくなり、望ちゃんにチョコを急かす。
「きゃ! 仁くんったら、まだ暗くなってもいないのに、もう始めたいんだ。しょうがないなぁ~」
望ちゃんはそう言うと、自身が纏っている服に手をかけた。
そして露になる。彼女――いや彼の飛び切り大きいアレが。
望ちゃんはこれ見よがしに、俺にそれを見せつけてくる。
「ねえ、おっきいでしょ? お父さんのアカウント使って、ネットでアレがおっきくなる薬買ったんだ」
え? ちょっと待て! どういうことだ!
――――――。
不意に望ちゃんが言っていたことを思い出す。
最初にチが付いて、最後にコが付くもの………。
あ。
「今日はお父さんもお母さんも家にいないの。だから、いっぱい愛しあえるよ!」
や、ややややめてくれ!
俺のケツはもう限界なんだ!
ただでさえ大きいのに、さらにパワーアップしたアレが突っ込まれたら穴が裂けちまう!
「フフフ、楽しもうね♥️」
ぎゃあああああああああ!!
★★★★★
「はあ……」
バレンタインだというのに、僕はクラスの女子から義理チョコすら貰えなかった。
ショックの余り、宿題が思ったように進まない。テキストに載っている文字が、まるで暗号のように見えてしまう。
「うぅ……」
「!!」
一人寂しく部屋に籠っていたら、不意に呻き声が聞こえてきた。
もしかして幽霊? なんて思ったけど、声は隣の家から発せられているものだと気付く。
そういえば、望と元木くんは今日はバレンタインということでお家でデートしているらしい。
じゃあ、あの声は……。
その日、僕は笑いすぎて宿題ができなかった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。