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江戸・江戸物語!  作者: 綾瀬ぷーや
2/5

集う仲間ら

人々を見守る神。


そして、人々を手助けする神様見習い。



「江戸学園」は、そんな彼らが通う学園である。



**



長い廊下を歩き、少年が止まった場所は一つの襖がある

場所だった。



ガラッと音を立て部屋に入る。

中は、寺子屋のような長机が幾つも置かれており、

長机を座って見える正面にはひとつの座布団が置かれていた。



「まだ誰も来てませんね。早すぎは僕の性格と

異なっていますが…彼らが遅いだけでしょう。」



眼鏡をくいっとかけ直すと、迷うことなくいつもの机の場所に腰を下ろす。


鞄から古めかしい教科書類を取り出していると、

ガラッ!と勢いよく襖が急に開いた。



「おっはよー!ちょっと遅れちゃったけどギリセーフ

だよね!宿題やってないけどギリセーフだよね!」



「ギリ遅刻では無いですよ八重。あと、宿題をしていないのはセーフでもなんでもないです。」



入ってきた少女に、少年は溜息をつきつつ宥める。

少女は、黒髪を肩上までに切り揃えた美少女だった。



活発そうな笑顔と、少し着崩れた着物が活発さを

伺えさせた。


彼女の名前は新島八重。江戸学園に通う一人だ。



「あ、あと…その、着物を直しなさい。貴女は女性という自覚をもっと持つべきです。」



少年の指摘で、八重は初めて着物に気づいたようだ。


「うおわ!」と明るい悲鳴を出してこそっと廊下に戻り

直し始めた。



少年_木戸孝允は、少し赤くなった顔を冷ますように顔を振った。



「どしたん?八重ちゃんが下着で廊下に

立っとっんやけど。見たのがうち以外だったら

犯罪やん。てか孝允クンがやったん?犯罪やわー。」



「犯罪だってよ。犯罪者になっても俺はずっと

友達で居てやるよ孝允。」



新たな声が孝允の耳に届く。

ひょこっと廊下から顔だけ出した2つの姿。


これまた顔の作りが綺麗な少女と少年だった。



少女の方は、肩上にお団子を二つ作った髪型だ。

茶髪ぎみで、暖色系の色が使われた明るい色の

着物を着ている。



少年は背の高いイケメン。

黒髪と紺色の着物が見事にマッチしている。



少女の名前は上田ちか子。

少年の名前は大久保利通。



「勘弁してください。僕がそんな事をするような人間に見えますか?」



「まぁ、孝允クンはヘナチョコクンやからな!」



「ぶち殺しますよ。」




孝允が珍しく暴言を吐いた。

そんな反応を楽しむように利通とちか子は笑った。



すると、着物を着直した八重がまた元気に

部屋に飛び込んでくる。



「ありがとうなのだよ孝允!」



「八重は一体何時になったらお淑やかに

なってくれるんですかね?」



「孝允クン、アカン。八重ちゃんは明るいんが

良いとこやで。」



三人が教室に入り、一番前の2つの長机の場所に

それぞれ着席する。



右から孝允、利通、ちか子、八重といった順だ。



「今日ね!倒れてるお兄さんが居てね!

助けたらなんか知らないとこに連れていかれそうになったんだ!」



「なんかナチュラルに犯罪のスタート切っとる。会話の序盤がイケナイお兄さんの話なんて

詐欺師も真っ青や。」


「まぁでも八重がやしやすと誘拐なんて

有り得ないだろう。俺だったら八重みたいな

クソ天然が相手なんてお断りだね。」


「しれっと誘拐する前提なのが怖いです。」



初っ端爆弾発言から、雑談大会が始まる。

大抵の流れは、八重のネジが数本抜けた話から

ちか子が突っ込み、孝允と利通が各々感想を

言う、といった感じだ。


他愛もない会話が繰り広げられる中、再び

襖が開かれた。


「はい、騒がしー。あんたら五人の声が

廊下まで聞こえてきてんのよー。」



「先生、僕らは四人です。」




女性のゆったりした声に、孝允が静かに訂正する。


女性は昔ながらの花形髪飾りで長い髪を束ねて、

花模様の水色の着物を着こなしている。



「名簿」と書かれた物を持っていて、

訂正した孝允をじっと見つめた後、言う。



「うーん、じゃあ幻聴?そんな訳〜。

孝允でしょ、八重でしょ、ちか子でしょ、

利通でしょ、…幻聴、かぁ。」



呑気に正面の座布団に倒れ込むように座る。


女性_先生の名前は、海老名リン。


これでも江戸学園が誇る立派な教師だ。



「海老名先生!えびーな先生!私、授業受けたく無いです!だって直ぐ眠くなるんだもん!

あ、そうだ!寝てもいいですか?」



「ダメに決まってんでしょー。寝たら八重は

問答無用で補習よー。」




教師に無自覚で喧嘩を売る八重。

そんな八重の態度にも慣れたように返すあたり、

流石担任である。



「嫌だ!補習嫌です!」



「寝ても寝てなくとも八重は補習になってるけどね…」



呆れたように利通が言うのだった。


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