星と命
宇宙には、ずいぶんたくさんの星がございます。
その星のいくつかには、命というものを持つモノがおります。
モノが、存在することができる時間を命というのです。
命というものは少々厄介な物でして、命を得て命を繋ぐという癖を持っております。
時に命は、おかしな動きを致します。
命を繋ぐために命を得るなかで、命そのものを無くしてしまう事がございます。
例えば、この「はkdそふvこp」という星では、「じこど」という命は、「えど」という命を取り込み繁栄していますが、たまにバランスが崩れて星の表面を「えど」が覆い尽くします。
すると、「じこど」は星の中に埋まって「えど」が外来生命体に捕獲されていくのを待ちます。
タイミングよく「じこど」が星から顔を出せば再び繁栄が始まりますが、うっかり「えど」が捕獲され過ぎてしまうと「じこど」は数を減らしてしまうのです。
そして最後は、「じごど」はいつか「えど」がちょうどいい塩梅に捕獲できる日を待ち望みながら星の中に埋まり続け、何一つ繁栄しないままに星の終わりを迎えて消滅するのです。
例えば、この「255456むrk」という星では、「へりなろ」という絶対的な強者が「おお」「どそそ」「ふめらぼう」などを取り込み繫栄していますが、たまに「へりなろ」同士が反作用を起こして破裂し、弱いモノのあふれる地中にまで影響を及ぼします。
すると、「おお」「どそそ」「ふめらぼう」などは融合を始め、地上に乗り込んで「へりなろ」を吸収し始めます。
タイミングよく融合して発生した「ふぐぐ」の時間が止まれば再び命の繁栄が始まりますが、うっかり「おお」「どそそ」「ふめらぼう」の融合が進みすぎると、「へりなろ」は数を減らしてしまうのです。
そして最後は、「ふぐぐ」が撒き散らす水が星を覆い始め、何一つ繫栄しないままに星の終わりを迎えて消滅するのです。
例えば、この「ちきゅう」という星では、「にんげん」という生き物が「どうぶつ」「しょくぶつ」などを取り込み繁栄していますが、たまに「にんげん」が「にんげん」を減らしたり「どうぶつ」「しょくぶつ」を取り込まずに減らしたりしています。
すると、「にんげん」は混乱して何を取り込んでいいのかわからなくなり、周りの「にんげん」を巻き込んであらゆるものを減らし始めます。
タイミングよく混乱した「にんげん」を捕獲する外来生命体が現れれば再び繁栄が始まりますが、うっかり「にんげん」が減りすぎてしまうと「どうぶつ」「しょくぶつ」「にんげんもどき」が溢れかえってしまうのです。
そして最後は、外来生命体が作った「にんげんもどき」が「にんげん」の代わりに「どうぶつ」「しょくぶつ」を減らし始めて、何一つ繁栄しないままに星の終わりを迎えて消滅するのです。
星は、星が終わるまで、星が用意した命が繫栄する事を望んでいます。
しかし、星の願いがそのまま叶う事は多くありません。
星の予想しなかった命の動きが発生する事は珍しくありません。
星が、星の望んだ命の在り方とは違う状況に陥ってしまったら、大変です。
星には、星を作り直すことができません。
星には、星を作り直すという考えをすることができないのです。
星には、星に命が繁栄する事は望むけれども、命の在り方を操作することができないのです。
星は、星でしかないのです。
命のように、モノを考えることをしません。
命のように、藻掻くことをしません。
命のように、希望を持つことはありません。
命のように、絶望に沈むことはありません。
だから、星は、星の中に、星の運命を握る命を一つ、紛れ込ませています。
星が、星にいる命を、命として終わらせるために、仕組みを用意しているのです。
星が、星に住む命を、星に住む命として全うさせるために用意された、星の運命を握る命を用意しているのです。
星は、星の望まない命の展開を起こさないよう、星が望んでいた状態のままで星を終わらせるための仕組みを用意しているのです。
星は、星の望まない命の増減が起きてしまうくらいなら、溢れかえる命と共に星を終わらせることを望んでいるのです。
星は、星を終わらせるために、星の運命を握る命を、ひとつ用意しているのです。
星の運命を握る命は、命が終わるたびに別の命に譲渡されます。
どの命が運命を握ることになるのか、星にはわかりません。
どの命が星の運命を握っているのか、星にはわかりません。
「はkdそふvこp」という星では、今、「じこど」が運命を握っているようです。
「えど」のせいで地中深くに埋まっているのを心底不愉快に思っているようです。
―――えど、全滅しろ!私たちに、地上を返せ!
運命を握る命が願ったことは、星に届きました。
星は、星に届いた命の願いを実行しました。
星は熱を生み出して、溢れる「えど」を消滅させたのです。
……えどがなくなったので、「じこど」は命を繋ぐことができなくなり、星の上から命がなくなりました。
星は、命を失ったまま、宇宙でぐるぐると回り続けることになりました。
「255456むrk」という星では、今、「どそそ」が運命を握っているようです。
なぜ自分たちのような優秀なものが「おお」「ふめらぼう」と融合しなければいけないのか、憤っているようです。
―――おお、ふめらぼうなど、消えてしまうがいい!
運命を握る命が願ったことは、星に届きました。
星は、星に届いた命の願いを実行しました。
星は振動を生み出して、「おお」「ふめらぼう」を消滅させたのです。
……「どそそ」は「どそそ」同士で融合し「ふぐぐ」になり、力を得て、「へりなろ」を吸収し尽くしてしまいました。
「へりなろ」がいなくなったので、命を繋ぐために「どそそ」を取り込み始め、共食いの時代が始まってしまいました。
星は、たった一種類の命を繫栄させ続けて、宇宙でぐるぐると回り続けることになりました。
「ちきゅう」という星では、今、「にんげん」が運命を握っているようです。
少々の不満を抱えつつも、それなりに幸せに生きているようです。
―――なるようにしか、ならないか。このまま、平和に生きていけたら、それでいい。
運命を握る命が願ったことは、星に届きました。
「ちきゅう」は、このままの状態がしばらく続くようです。
……「ちきゅう」とよく似た星、「ちきゅつ」という星があります。
この星は、今の「ちきゅう」と同じような歴史を繁栄させていましたが、今、命は存在していません。
―――俺の力を理解できない愚か者どもの溢れる世界など滅亡してしまうがいい!
星の運命を握る命の願いを聞いた星が、命を消滅させてしまったからです。
……「ちきゅう」とよく似た星、「ちさゅう」という星があります。
この星は、今の「ちきゅう」と同じような歴史を繁栄させていましたが、今、命は存在していません。
―――わー!きれいな流れ星!私の所に、落ちておいで―!
星の運命を握る命の願いを聞いた星が、星に隕石を呼び寄せ、大爆発を起こしてしまったからです。
……「ちきゅう」とよく似た星、「おきゅう」という星があります。
この星は、今の「ちきゅう」と同じような歴史を繁栄させていましたが、今、命は存在していません。
―――あーあ!ツマンネ!おきゅう、滅亡したらウケるのにwww
星の運命を握る命の願いを聞いた星は、命を消滅させたけれども、ウケることはなく、ただ宇宙の真ん中で回り続けています。
……おや、先ほど、「ちきゅう」の運命を握る命が、命を終えて星に戻って行きました。
次の運命を握る命が、たった今、選出されたようです。
この星の運命を握る命は、どんなことを願うのでしょうか。
今の状況に満足して、次の運命を握る命に役目を渡すのでしょうか。
今の状況に不満を感じて、今の命のバランスを崩すのでしょうか。
今の状況に絶望して、星の上から命全てを消し去ることを望むのでしょうか。
全ての命が満足するのは、難しい事です。
……命が納得できる状況が続けば、いいのですが。
私は、ワクワクしながら、青い星を見つめているのです。




