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偽物聖女の想い人  作者: 星野 優杞
8/22

元聖女は餌付け可能

そんな会話があって数日。まだ新月祭は少し先です。いつものようにお茶の時間。

いつもなら穏やかな空気が流れる時間なんですが……


「どうして王子がわざわざいらっしゃったんですか?」

「ふふ。未来の花嫁との交流を楽しみたいから……じゃダメかな?」

「いいえ?構いませんわ。ふふふ。」


何でしょう。笑いあってる婚約者同士のはずなのに、空気が氷点下な気がします。お茶は100度のお湯で淹れてるはずなんですけどねえ……。現実逃避がてらそんなことを考えてしまいます。


「そう言えばアオイ様はクレハと随分仲がいいとか。」

「ええ。私の一番の仲良しです。プライベートでも仲良くしたいくらいに。」

「そこまでクレハは有能じゃない。必要なくなったら返してくれて構わないよ。」


私の話をしないで欲しいんですが。しかも物扱いっぽいですし。


「私、大切なものは手放さない主義なんです。大事に、大事にしたい派です。」


……なんだろう。アオイ様の言葉に棘と寒気を感じます。

いや、私に向けられたものではないのですが。

……気のせいということにしておきましょう。そうしましょう。


お茶を2人の前に置く頃には、2人はニコニコと笑いあっていたが会話はありませんでした。

やだ、この空間、空気冷たすぎ?って感じです。


「そうだ。これ、クレハが好きだったチョコレート。君も気に入るかもしれないと思って持ってきたんだ。」


王子が笑いながら取り出した手土産は確かに私が好きなチョコレートでした。

……感情コントロールも頑張っていたつもりだったのだけどバレていたんですか……。少し気恥ずかしいです。

ていうか、私の名前強調して出さないでくれませんか?食べられない私に対する嫌がらせですか?というか新しい婚約者へのプレゼントで前の婚約者の名前だすとか印象悪いと思うんですが。


「クレハが好きなチョコレート?」

「おや、知らなかったかな?まあ出会って日も浅いから仕方ないさ。僕とクレハはなんだかんだ言ってそろそろ10年の付き合いになるからね。」


何故か得意げに話す王子。私としては私が好きなチョコレートを目の前で元婚約者とその現お相手が食べるところを見なければいけないのかと気が重いんですが。

好きな食べ物あったら欲しくなりますよね?コントロールから外れかけてる感情(食欲)を抑え込もうと必死で視線をチョコレートから逸らす私。


「クレハは香ばしい焼き菓子も好きそうだったけど、チョコレートも好きだったのね。」


確かにこの前食べた焼き菓子は美味しかったですけど!!

……私って意外と分かりやすいのでしょうか。……感情を抑えてるのに?


「クレハは食べることが好きだからね。ちなみに聖女……今は元聖女だが、聖女らしくなく肉料理も意外と好きなんだ。」

「へえ。それは良いことを聞きましたわ。ちなみに私も食べることは好きですよ。」


やめて?!何で私の食べる事に話題がシフトしてるんですか?!

しかもなんか微妙に弾んでる気がするんですけど。共通の話題に私を使わないでください!!


そう思いながらも今の私は侍女。王子と聖女の会話に入り込むなんて出来るはずもありません。自然に話が逸れてくれないかな……。そう思っているといきなり王子が私の方を見て微笑みました。


「そうだクレハ。君がどうしてもと言うのならこのチョコレートを」

「クレハ!はい、あーん!!」


王子の言葉を遮るようにアオイ様がチョコレートを私の口の前に差し出してきます。


「「ちょ、アオイ様?!」」


私と王子の声が重なります。アオイ様の行動は突拍子もないことが多いからそれに関する反応だけは王子とのシンクロ率がアップします。……嬉しくないですね!


「どうしたの?いつもしてることでしょう。」


アオイ様は可愛らしく首をコテンと横に倒します。いやいやいや。


「さ、流石に人前では恥ずかしいです。」

「否定しないのか?!」


何か王子が騒いでいます。

確かに言うセリフを間違ったかもしれません。


「婚約者様の前でそのようなことは、あんまりしない方がいいかと。」

「どうして?王子は既にクレハとは何の関係もないのよ。確かに私の婚約者かもしれないけど、クレハにとっては無関係な人でしょう。それなら今、この場で、誰のお願いを聞くべきか、分かってるわよね。」


何の拷問なんですか?

有無を言わさない笑顔でアオイ様は私にチョコレートを差し出してきます。

王子が無礼じゃないかとか何とか言ってるけど、個人的にはチョコレートが溶けてアオイ様の指が汚れる方が気がかりなんですが。


それに好きなチョコレートです。食べたい気持ちは正直あります。しかも主人の命令なら、食べちゃっても良いんじゃないでしょうか。

そんな気持ちのまま恐る恐る口を控えめに開くと、アオイ様は嬉しそうに笑いました。


「よくできました。」


その言葉と一緒に口にチョコレートを押し込まれます。久々に食べる好物のチョコレートは口どけが良くて、やっぱり美味しいです。


王子久々の登場ですね……。この話の題名候補として「新聖女VS王子 前編」とか考えてました。


気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマークや評価、感想を送っていただけると嬉しいです。


次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。


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