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偽物聖女の想い人  作者: 星野 優杞
7/22

聖女のお出かけ予定

「そう言えばそろそろ新月祭です。王子の許可があればアオイ様も町に行けるかもしれませんが、どうしますか?」


侍女はアオイ様のプライベートに入らないで欲しいという希望のためか、仕事以外の話をしません。誰も新月祭の話をしないので、魔力について話し合うために2人になった時に言ってみました。城の外に出ればアオイ様の探し人の情報が手に入るかもしれませんし。


「新月祭?」


アオイ様は不思議そうに首を傾げます。私はコランバイン王国から出たことが無いから分からないですが、もしかしてこの国独自の風習なのかも。そう思ったので私は詳しく説明をしました。


「月の神のご加護が薄れる新月の夜。人間の灯りでそれを補おうということで始まったとされています。」

「へえ。確かにこの国は月の神への信仰が厚いですからね。」


アオイ様の声はどこか平坦です。そしてアオイ様は口元だけを笑みの形にして疑問を口にしました。


「でも月が無くても、空には星があるでしょう?」

「星は……。」


星は夜空のもの。月と同じ、夜空で光るもの。

だからそこまで煙たがられはしませんが、一部には星は不吉という説もあるのです。だって、星が良く見えるということは、月の光があまりないということですから。


「えっと、星が見えないくらい地上を明るくしようっていうのも新月祭の目標でして……。」

「……へえ。」

「ひぇっ。」


アオイ様はにっこり微笑みます。それはとても美しいんですけど、美しいんですけど……絶対零度という感じで思わず私は後ずさってしまいます。

それに気付いたアオイ様がおかしそうにくすくす笑いました。


「クレハは怯えなくていいのよ。ただ私は……星に対してずいぶんな態度だと思っただけなの。他の魔力を敬わずに月の魔力を求め、月だけを祭るのがおかしくって。」


アオイ様は笑ってたけれど、正直私には怖くて仕方なかったです。

言ってる意味がよく分かりませんけど、やっぱり何処かで怒っているように感じたので。いや、これ絶対怒ってますよね?


「でも町に行けるなら楽しいかもしれないわね。新月に行われるということは月に1度くらいの頻度で行われるんでしょう?」

「は、はい。私も聖女の頃はこの機会に町に行って……ました。」

「?」


危ない危ない。私は滑らせそうになった口を閉じます。私が聖女じゃなくなったことは既に保護者も知るところでしょう。これ以上厄介なことになったら、保護者が迎えに来てしまうかもしれません。


「じゃあクレハも一緒に行きましょうね。」

「え?私もですか?」

「だって私クレハ以外と仲良くないもの。クレハと一緒に行かないと楽しくないでしょう。」


仲いい人がいないのはアオイ様が明らかに人との間に壁を作っているからだと思うんですが。そこのところはツッコまない方がいいでしょうか。アオイ様は私の視線に気が付くとにっこり笑いました。

黙殺ってやつですかね、これ。え?無視はされてないから意味が違う?じゃあ何でしょうこれ。言わせないよって感じですか。

気になるかも?良いかも?と思っていただけたらブックマークや評価、感想を送っていただけると嬉しいです。


次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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