元聖女の想いについて
早く保護者のところに行かなければいけません。それは分かっていました。
けれど、どうしても決心が鈍るのです。私はため息をつきました。原因は分かっています。
「アオイ様……。」
命の保証ができない以上連れて行くのは気が引けますし、そもそも連れて言ったら脱出難易度上がりますし、でも置いて行ってもアオイ様は男性なのでどのみち危険ですし、王子と結婚とか流石に両者ともにかわいそうな気がしなくも……。
「こう考えると問題だらけですね?」
大体アオイ様が悪い気もしますが。
まともに考えれば考えるほどアオイ様という存在に問題しかない。そんな存在に関わるのは得にならないことは分かっているんです。でも
「アオイ様といると、楽しいんですよね。」
この城に来て10年間、偽物、出来損ないと存在を軽んじられながら、聖女のイメージを崩すことも許されなかったんです。前教皇様が私の心のよりどころだったんですが、数年前の暗殺騒ぎでお隠れになってしまいましたし。
掃除が終わったアオイ様の部屋には他の侍女はいません。
アオイ様ももうすぐ就寝の時間ですから、帰ってきたら湯浴みをして寝る準備をするだけのはず。まあ湯浴みなんて他の侍女に間違っても見られるわけにはいかないですからね。
「あの美貌で男性なんて知られたら、侍女が皆骨抜きになってしまいます。」
……そうじゃない。そうじゃないです、私。
いや確かにアオイ様はお美しいから男性だと分かったら女性からそりゃモテるでしょうけど。
バレちゃいけない理由としてはもっと大切なものがあるでしょう。聖女じゃないってバレちゃうとか!!なんで一番に思い浮かぶことがアオイ様のことを他の誰かが好きなっちゃうことなんですか!!
これじゃあ、まるで……いやいやいやいや。
頭に浮かんだ言葉を必死でかき消します。そんなまさかって感じです。
そんなことを思いながら湯浴みのタオルとかをセットしているとアオイ様がダッシュで部屋に滑り込んできました。
その勢いは扉の蝶番が弾け飛びそうなレベルでした。後でちょっと補修しておきますか……。
コランバイン王国の基準で言うと聖女は「月の魔力を持つ女性」なのでクレハもアオイもちゃんとした聖女ではありません。
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次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。




