偽物聖女が欲しいんですか?
コランバイン王国。ここは月の神の祝福を受けた国。
かつて月の神によって魔物から救われ、今も月の魔力を持つ聖女によって町や村は魔物から守られている。
この国には月の魔力を持つ女性が定期的に生まれる。その女性が聖女に選ばれるのだ。
私はそんなコランバイン王国で歴史上唯一、正式な月の魔力を持たない聖女。
……私はこの国の偽物の聖女でした。
どうして過去形かというと……。
婚約者の王子がある日、見たこともないくらい綺麗な女性を連れてきました。
腰ほどまでの長い髪はまるで青空をそのまま束ねたかのよう。そして青い瞳は髪よりも深い、透き通った海の色をしていて……思わず見とれてため息をついてしまいそうなほど。
遠い昔にどこかで見たような、月の魔力が宿るのにふさわしい女性だと思いました。
あまりの美しさにぼんやりしていると、私の視線に気づいた彼女はニコッと効果音が付きそうな笑顔を私に向けてくださいました。
ヤバい。この美しさは人を殺せる。今のニコッで私の心臓は急停止するかと思いました。いや、不整脈ぐらいはいってるかもしれません。
「彼女は君の代わりに新しく聖女になるアオイだ。」
あんまりにも彼女がきれいなので私は王子の言葉をうっかり聞き逃しそうになりました。
危ない、危ない。流石に目の前の女性に見惚れてて王子の言葉聞き逃しちゃいました!とは言えないですからね。
とりあえず聞き取れたのでオウム返しです。オウム返しはコミュニケーションにおいて結構重要だとか聞いたことがある気がします。
「私の、代わり……?」
「ああ。僕の婚約者も彼女になる。だから君には城から出て行ってもらうよ、クレハ。」
ゆったりした金の髪をなびかせて王子はそう言いました。いつか出て行けと言われるのは心のどこかで予想していたことです。いつもこの王子は私に対してこんな感じなので。
いらないならいらないと言ってくれれば楽だなあ、と思ったことも何度か……こほん……適当な理想の聖女論を押し付けられるのはあんまり好きじゃないんですよね。
とにかく新しい聖女様が来たなら、落ちこぼれ……いや、偽物聖女はもういりませんよね?
私は保護者に早く自分の元に来いと言われていましたし。
「ああ、でも君がどうしてもというなら僕の」
「わかりました。出ていきます!」
王子が何か続けようとしましたが、私はそれを遮ってしまいました。
無礼だったでしょうか……。王子が固まっています。ちょっと不味かったかなと内心焦る私。
するとその様子を見ていた女性が口を開きました。
「いらないんでしたら、私にその子をくださらない?」
「「……え?」」
思わず王子と声が重なりました。
年末特番……ではないんですが、年末中心に進めていこうと思います。以前、次は異世界転生物を書きたいと言っていたんですが、先にこちらの聖女物の話の方がまとまりました……。
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次回もお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。




