微糖な彼氏と甘党な彼女
「微糖な彼氏」
わたしの彼氏は、背が高くてハスキーボイスのカッコイイ人。
球技大会では、残り十秒でスリーポイントシュートを決めて、クラスの男子チームを優勝に導いた。
好きな飲み物はコーヒーで、ミルクは入れずにお砂糖をちょっぴり散らすだけ。
好きな食べ物は辛いもので、クリームたっぷりのケーキは食べられない。
バトル系のゲームやマンガが好きで、文字の多い本はすぐ眠くなるらしい。
夜更かしが癖で、朝は始業時間ギリギリに駆け込んでくる。
お家はオートロックがあるマンションで、ご両親は共働きで、ひとりっ子。
何もかもが、わたしとは正反対の人。
それなのに、何故か心惹かれてしまう不思議な人。
それが、わたしの彼氏。
そんな彼氏との初めてのキスは、仄かに苦い味がした。
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「甘党な彼女」
オレの彼女は、小柄でカナリアみたいな声をしたカワイイ人。
文化祭では、演劇の台本を書いたり模擬店の買い物リストを作ったりしてくれた、隠れた頑張り屋さん。
好きな飲み物は紅茶やジュースで、歯がうずくくらい甘いほうが良いらしい。
好きな食べ物も甘いものだが、柑橘系の酸っぱいものも平気なんだとか。
活字中毒かというくらい小説が好きで、特にラブロマンスがお気に入り。
早寝早起きが習慣になっていて、遅刻したところは見たことない。
一戸建てに住んでいて、家にはいつも母親か祖母がいて、他に姉と妹もいる。
何もかもが、オレとは正反対の人。
それなのに、何故か気になってしまう不思議な人。
それが、オレの彼女。
そんな彼女との初めてのキスは、微かに甘い味がした。
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