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魔力3

 ゼロスフィリアはその言葉に自室へとって返し、レイを起こした時に濡れていた服も気にせず上着を羽織り、手袋をつける。


 その間に執事風の男は開きっぱなしの浴室へ向かい、レイを見下ろすと、素早く全身を確認し、抱え上げひとまずソファーへ連れて行く。


 戻ってきたゼロスフィリアに、バスタオルを持ってきてくださいと指示をだし、執事風の男は腰に身につけていた空間魔法付きポーチから、初級魔力回復ポーションを取りだし、レイに飲ます。


 と、やっとレイの顔色が戻ってきた。


 執事風の男は、ぼーぜんと突っ立てるゼロスフィリアの手からバスタオルを抜き取り、レイの濡れた体を拭いて行く。


 やっと再起動したゼロスフィリアが執事風の男に弾かれたように声をかける。


「レ、レイは……」

「ただの魔力切れですよ、持病をお持ちかはご本人に訊ねないとわかりませんが、私が見たところ魔力切れ以外には現時点で健康に問題ないようにお見受けします。

服も着せてお部屋に運びましょうか」


 と、ゼロスフィリアに服を取ってこさせながら、執事風の男は心の中でそっと囁く。


 ……大分体が冷えていたし、この後風邪は引いてしまうかもしれませんが。


 と。


ーー。



 怜はゆっくり覚醒する。


……体が熱い。熱出すなんて久しぶりな気がする。何してたんだっけ?

 熊に吹っ飛ばされたんだっけ、いやそれは8歳の頃のはず。

 車にはねられたんだっけ? ベン○と生身は結構な衝撃だったけど、まさか埠頭でノンブレーキで突っ込んで来るとは思わなかったよね。案の定車はそのまま海に落ちたけど。

 いや10階から落ちたんだっけ? 初めて彼女が出来たっていう後輩君が可愛くてついからかっちゃったんだよね。でも、死なない高さだからって蹴落とさなくても良かったよね。(注:普通は危険です)


 ……左手を握ってる手が冷たくて気持ちいい。


 いや、そうじゃない。確か里との繋ぎ役兼ねてテロ対策本部の雑用やってて……そうだ、公園で吹っ飛ばされたんだ。

 でもって……異世界トリップしたような夢を見たな。大分リアルだったけど。


 そうそう、今ベットサイドに居て左手を握って泣きそうになってるワンコ君みたいな超美形が出てきた夢。


 ……ん?


 夢?


 あ、夢じゃないわ。そーだ俺異世界にトリップしたんだ。


と急速に視界がクリアになった。



「……フィー君どーしたの? 俺倒れたであってる?」

「……」


 ひたすら見つめられてる。

 ……デジャブかな?


「あ、運んでくれたんだね。服とかもありがとう。意識ない体に服着せるの大変じゃなかった?」


 と、フィー君の冷たい手を握りなおしてみる。凄く冷たい。どうやら緊張してるみたいだ。


 応答がないので、手をにぎにぎしながらベットサイドに視線だけじゃなく顔も向ける。


 良く見たらフィー君、椅子とかじゃなく床に直接膝立ちでこっちを見てるではありませんか。いつからその体勢なのか分からないけど、膝痛くないのかな。なんて思ってたら


「……レイ…… 」


 と、フィー君がか細く呟く。


 ……あー。うん。また捨てられワンコみたいな目をしてる。


 怜はゆっくりフィー君の手を引き寄せる。


 フィー君はされるがままで、動かない。それ以上伸びきらない所まで引っ張った所で、しっかり目を合わせ、


『こちらへおいで』


 と、声をかけた。


 その声は威圧してる訳でもないのに、


 抗うなんて思うことすら出来ない、


 言われたことをただ遂行する事が正しいとしか感じない、


 そんな不思議な感覚をさせる声音に、


 ゼロスフィリアは抵抗出来る筈もなく怜の枕元に近付いた。


 怜は近付いてきたゼロスフィリアの頭をかき抱き、


「何処にも行かないよ」


 と、サラサラの髪の毛をすきながら耳元で囁いた。


 すると、されるがままだったゼロスフィリアの体から力が抜け、怜に体重を預け、嗚咽を押し殺しながら静かに泣き始めたので、怜は暫く好きにさせておく。


 ……うん。何処にも“行かない”のではなくて、“行けない”のだけどね。

 もう正に色んな意味で。

 異世界からの脱出方法も分からないし、この部屋に来た時に使った転移魔法陣? 的なものの使い方も分からないし、この体調悪い状態で出歩くのもしんどいし……


 と、心の中だけで呟いた。


 そして、怠いしついつい起きるのが面倒くさくて、ちょっと怜の得意な人身掌握術の1つ、“命令が通りやすくなる声音”で、強制的にフィー君を動かさせちゃったけど大丈夫だったかなぁとちょっとだけ心配した。

視点戻りました。

怜の能力は小出しです。

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