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お休み期間3

 何も見えない暗く寒い世界だったのに、気がつくと温かいものが近くにあった。


 このままで良いのに、温かいものが近くにあると、気になった。


 暗くて寒い世界が在るべき場所だと思ってたのに、温かいものの近くに行きたくなった。


 なんだか呼ばれているようなのだ。


 でも、このままの方が良いんじゃないかとも思ってるのに、温かいものも気になって少し近付いてみたら、最初に感じた温かさよりもっと温かかった。


 あまり近付かない方が良いと思ったけど、温かさを知ってもっと近付きたくなった。


 温かい物の側にいると、物語が聞こえる。


 どれも聞いたことない物語だった。


 幸せな物語を聞いてると、もっともっと温かくなった。


 それなのに、今日の物語は温かいのにカナシイ。


 なぜ?


 いなくなっちゃうから、カナシイ。


 置いていかれるからカナシイ。


 そうだ。


 ボクも大切な温かいのがいなくなっちゃったから、カナシイんだ。


 “ボクの大切レイ行かないで”


 強く思ったら、


 なんだか温かい声が聞こえた。


「何処にも行かないよ」


 暗かった世界に光が差している。


 光の方へおいでと呼ばれているみたいだ。

 

 でも、行くのが怖い。


 動けないでいるとまた温かい声がした。


「俺はここにいるよ。フィー君も戻っておいで」


 温かかったのが熱くなっていた。


 考えるのをやめ、明るい方へ向かっていった。



 そこには


 窓からの月明かりに照らされた黒髪が艶やかに見える、眼鏡をかけた優しい相貌の”大切”があった。


「フィー君お帰り。待ってたよ」


♢♢♢


 怜はゼロスフィリアが言葉を発したので、ベット際に駆け寄り、続けて声掛けをしていた。

 それが功を奏したようで、無事ゼロスフィリアの意識はこちらに戻ってきたようだ。


「レイ? 本当にレイなのか?」

「本物本物〜。死んだと思っちゃった? 俺がそんな簡単に死ぬ訳ないじゃないー」


 ゼロスフィリアは呆然と怜を見ながら、涙を流していたので、怜はそっとゼロスフィリアを抱き込むと背中を撫でる。


「ほら、俺はここにいるよ。幽霊じゃないでしょ?」


 怜がそう言い、少し離れて相対すると、ゼロスフィリアは恐る恐る怜の顔に手を差し出し眼鏡の淵を触った。


「レイが生きてる……」

「生きてるよー。勝手に殺さないように」


 怜が茶化して言ったが、ゼロスフィリアの脳内処理がまだ追いついていないようだ。

 7日ぶりに喋るから喉が渇いただろう、今のうちに水でも取ってくるかと思い立ち上がろうとしたら


「レイ行くな!」


 と、ゼロスフィリアにベットに押し倒された。2人は見つめ合う。

 ゼロスフィリアは必死の形相だ。

 これは誰得かなぁ? 妹の双葉が喜んじゃうかなぁとちょっと現実的逃避しつつ、ゼロスフィリアを宥める。


「フィー君、何処にも行かないよ。7日振りに喋ってるから喉乾いてるんじゃないかと思って水を取りに行くだけだから」

「嫌だ。いらないから行くな」


 普段のゼロスフィリアが言わなそうな駄々を捏ねていて、流石に驚いた。まぁ意識が戻ったのは今し方の事だしね。


「……分かった。じゃ、ベットから離れないから態勢だけ整えさせて」


 ゼロスフィリアは逡巡した後、怜を押し倒した体勢から元の上半身だけ起こした体勢に戻った。あくまで怜の手は離さずだが。


 なんだか、甘えん坊な弟が増えたみたいだ。夜も遅いし話は明日とばかりに、お互い寝る事にした。


 ーー勿論、ゼロスフィリアは怜を離さなかった為、一緒のベッドで寝た。


♢♢♢


 ーー翌朝。


「なるほどねー。それで死んだと思ったのかぁ。何だか色々すれ違っちゃったねー。……いやぁ、まさかメッセージ送れてないとは思わなかったよ。ごめんね」


 昨日はあの後、普通に寝た。ゼロスフィリアは一気に意識が覚醒したばかりで疲れていたし、怜は怜で、やはりこの1週間緊張していたようで気がついたら朝だった。

 怜が先に起きて身支度を整えようと離れると、ゼロスフィリアが慌てたように起きて、必死の形相で怜を見てた。

 ……目が血走っててちょっと怖かった。

 ただ、怜がいる事を確認すると、以前までの彼のように戻ったが。


 朝食後ひとまず、事件があった日のお互いの行動を話しあっていた。

 そして、今に至る。


 ゼロスフィリアからのじとーっと睨む視線が痛い。でもまさか、ギルドカードのメッセージ送信のデフォルトが音声認識だなんて、想像もしてなかった。

 ……元の世界でメール送る時に”送信♪”とか、どっかのアニメキャラクターでもなきゃ声に出して言わないでしょう。。。

 いたたまれないので、話を逸らす事にする。


「それにしても、フィー君の氷の魔法? 凄かったね。人が凍ってなきゃ綺麗な氷の世界だったよ」

「あー。俺も初めてだ。あまり覚えてないが、一度使えたから、また使おうと思えば使えるだろう」

「ふーん。なんか魔法羨ましいな」

「レイは使えないからな。魔道具を経由すれば使えるだろうが」

「魔道具!! その手があった! お金貯めたら買ってみようかなー」


 そんなたわいもない話をしつつ、ローレンスが魔力制御のピアスを手配してくれているので、そのピアスが出来るまではここにいるという方針にした。

 

 それが、この一帯を纏めていたあのカシラ達が居なくなったと噂が広まった後、この場所を拠点にしようと色んな人達が来て、全て怜とゼロスフィリアで返り討ちにしたのは別の話だ。

お疲れ様でした!

ここまでが、1章で完結となります。

この後は、番外編入れつつ、ちょっと更新遅くなるかもしれませんがのんびり続いて行く予定です。

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