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お休み期間2

 流石に宿へ向かった早朝とは違い、倉庫へ戻る時には普通に人が活動し始めていたので、最短距離で行く訳にも行かず、少し時間をかけながら倉庫へ戻る。

 実質、部屋を空けてた時間は3時間程だろうか。

 特に男達の他の仲間が戻ってきていたり、異変は無いようだ。


 と、思ったが、


「どひゃ〜。マジかー」


 ゼロスフィリアがいる部屋が凍っていた。


 まだ、凍り始めたばかりのようで、昨日の氷の世界程では無いのが救いだが、ゼロスフィリアが目覚めてしまったのだろうか。

 呆然としてる場合じゃないと、凍った部屋のドアの鍵を苦労して開け部屋に入ると、ゼロスフィリアは何故か床に体育座りのように座っていた。

 未だ冷気を発しているようなので、怜はゼロスフィリアの視界に入るように近付き声をかける。


「フィー君大丈夫だよ。俺はここにいるよ」


 目は虚だが、怜の声かけが何となく分かっているようで、冷気は止まった。幸い凍っていったのは壁周りからだったようでベット等は支障がなく、ゼロスフィリアを持ち上げてベットの中に座らせるような形で戻す。

 部屋の中に簡易キッチンがあったので、取り敢えず朝ごはんを作ろうかと立ち上が……れなかった。

 デジャブかな? と思いつつ突っ張った箇所を見ると、いつの間にかまたゼロスフィリアが怜の服の裾を掴んでいた。


「ごめんね。一緒にいるから大丈夫だよ。……でもお腹すいたからご飯食べさせて。すぐ戻るから」


 ゼロスフィリアの冷たい手を握りながらの、怜の必死の懇願が届いたのか、裾を掴んでいる手が緩んだので、すかさずそっと外し簡易キッチンへ向かう。

 手早く、簡単な野菜スープを作りベット脇のサイドテーブルに置くと、行儀は悪いがゼロスフィリアのいるベットに腰掛け、空間魔法付き鞄からローレンスが作ってくれたサンドウィッチを出す。


「いただきます」


 と、言うとサンドウィッチを一口かじる。

 美味しい。

 手をつけていないサンドウィッチを手に取り、ゼロスフィリアの口前に持っていくが無反応だ。

 サンドウィッチは置き、作った野菜スープをスプーンですくってゼロスフィリアの口元に持っていくと今度は食べてくれた。

 どんな形であれ栄養が取れるのであれば一安心だ。

 現実逃避に加え、若干の幼児退行もあるのかもしれないと思った。

 幼児退行(赤ちゃんがえり)は次女の葉子ヨウコが生まれた時に3歳上の三男のミツルがおこした経験がある。あの時は色々と大変な時期で父親も出ずっぱりの任務があり、葉子の最低限の育児時間以外は母親が里を切り盛りしていたのだ。結果充が赤ちゃんがえりを起こし、長男の怜が充の相手をしていた。本来は母親からの愛情を求めていたのに怜が対応していたので、最初はひたすらタダを捏ねられ当時子供だった怜は困惑していたが、試行錯誤しながらも根気良く充と向き合っているうちに、赤ちゃんがえりは終わった。その反動なのか、今では怜に懐きすぎていたが。

 その時に、それまで1人でご飯が食べれるようになってた筈なのに、暫くは怜がスプーンですくって与えたものしか食べないという現象が起こっていた為、ある意味慣れてはいた。


 怜は自分も食事をしつつ、ゼロスフィリアへもせっせとご飯を食べさせる。

 大人になってからは、里では世話される立場であり、人の世話をするのは子供の時以来なので、なんだか懐かしいなと思った。


 それからは、なるべくゼロスフィリアの近くに居たし、こまめに話しかけていた。

 すると、3日目位には相変わらず目は虚ろではあるし、喋らないがある程度行動が出来るようになって来たのだ。

 出来ると言っても、料理を作っているといつの間にか後ろに立っていたり、掃除していると後ろを付いてきていたりという感じだが。

 怜もまた、体調不良で休んでいた時とは違い、ローレンスに教わったこの世界の料理を作ってみたり、倉庫の外で鍛錬してみたり、ゼロスフィリアと日向ぼっこしてみたり、帰ってきた残党に出て行って貰ったりと、また今までとは一味違った過ごし方をしていた。


♢♢♢


 7日目の夜、いつものように語りかけながら、ゼロスフィリアを寝かしつける。


「……という事でかぐや姫は月へ帰りましたとさ。おしまい。さぁ寝ようかねー」


 やはり寝かしつけの定番といえば、昔話だろうと怜の世界の昔話を語っていた。今日は月が綺麗だったのでかぐや姫にした。

 最近は怜の服を掴んだまま寝るという事は無くなったが、何となくまだ同じベットで寝ている。

 明日位からは離れて寝ても大丈夫かなぁと考えて、寝ようとし、そーいえば換気の為、部屋の窓を開けっぱなしにしてた気がすると思い出し、そっとベットから抜け出した。


 今日は見事な満月である。星の配列は全く違うのに、月というものはこちらの世界にも存在している。特に色が違うという事も2つあるという事もない。敢えて言うのであれば少しこちらの月の方が大きい位だ。

 ついつい物思いに月や星を見ていたら、


「レイ、いかないで」


 と、何とも切なげな声がベットの方からし、思わず振り向くと上半身を起こしたゼロスフィリアがツーと涙を流しながら怜を見ていた。


 月明かりに輝く涙は何とも綺麗で思わず見惚れてしまった。

家族が続々登場〜。次男だけまだ出てないですが、名前気付きましたでしょうか?(*゜▽゜*)

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