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氷の世界2

 1時間程、同じ布団にいてゼロスフィリアの体が温まり、ゼロスフィリアが眠りに着いた後、倉庫のまわりや男達の状況を確認しようと思っていたのだが、いつの間にか怜の服を握りしめてたみたいで離してくれなかった。

 服を脱いで脱出しても良かったが、まぁ何かあれば動けるし、ローレンスは心配しているだろうが、今から一度戻った所で着くのは深夜だし、それなら明日朝一で戻れば良いか。


 ……決して1日に3往復したくないという理由ではないと誰にともなく言い訳をする。


 休める時に休む。これは体を動かす系の職業の鉄則だろう。お腹は空いていたが、疲れてもいたので、さっさと寝てしまう事にした。


 勿論ゼロスフィリアの隣で。


 博愛主義者の双葉フタバが喜びそうだなぁと思いながら眠りに着いた。


***


 怜はそこまで高くはない1人暮らしをしているマンションのベランダに出て、風呂上りの火照った体を涼ませようと缶コーヒー片手にぼんやり東京の夜景を見る。

 駅から離れてるとはいえ、明かりの絶えない眠らない賑やかな街だなと思っていると


「兄さん、夜にコーヒー飲んで眠れなくならないの?」


 と、妹の双葉が話しかけてきた。普段怜が東京を中心に動いているのに対して、双葉は里を中心として活動をしている。日下部家は5人兄弟でそれぞれ皆優秀だ。怜は長男であり、平均して何でもそこそこ出来た為、次期頭首候補となった。4つ下の双葉は気配を消すのも一流だし、特に変装術が得意だ。また、観察力・洞察力もすぐれていて感も良い。カリスマ性もあり指揮する上の立場には良い人材で、怜が居なかったら、双葉が次期頭首候補だっただろう。


 今回は双葉が東京での調査任務の帰りに1泊怜の部屋に遊びがてら泊りに来ていた。


「全然眠れるよ。双葉も飲む?」

「私は眠れなくなるタイプだからやめとく」


 双葉も怜の隣に来てベランダから外を眺める。暫く2人で無言の時を過ごした後、双葉がまた話しだす。


「兄さん、親しい友達とか親友とか恋人とか大切な人作らないの?」

「ん? 俺には面白おかしい家族も居るし、部下もいるし、仲間もいるから、それで十分かな」

「面白おかしいって、まぁ皆個性強いよね! ……でも、そー言うのとは違うよ。兄さんも恋人位作りなよー。恋人はいいよ〜心身ともに癒される」

「今は稔くんだっけ?」

「いや、今は百合子ちゃん」

「今回は女の子かい?」

「そう! 愛の前には皆平等! 性別なんて関係ないからね。稔も好きだよ。でも百合子ちゃんも愛してるんだ」

「双葉はそーいう所がすごいねー」

「ふふん! 凄いだろー! ……せめて親しい友達を作る所から、兄さんも1歩を踏み出してみなよ」

「双葉は1歩どころか2歩も3歩も進んでるよね」

「もー! いーでしょ! 寒くなって来たから先部屋戻ってる。兄さんも程々にね」

「分かったよ」

「……いつか兄さんにも、しがらみを超えて大切な人が出来るといいね」


 双葉は一足先に室内へ入っていった。


 怜が恋人も親しい友人も作らないのは、割り切れなくなってしまうのが怖いと無意識に思っているからだろう。

 次期頭首候補としては、情で動く訳にはいかず任務遂行の為に、仲間を見捨てた事も、手にかけた事もある。

 そんな怜だが、生まれながらの性質としては、実は兄弟の中でも人一倍情に厚い。

 出来れば任務なんかより仲間を優先したいのだ。

 でも、次期頭首候補という立場である以上、時には割り切り非情に徹さなければいけない事もある。

 

 そうしているうちに気がつけばいつの間にか、大切な人が作れなくなっていた。


 怜としては、大切な人が居なくても、怜を慕ってくれる部下や後輩、気にかけてくれる、家族や先輩がいるので十分だとは思っているのだが。


 家業的に、人の生死を一般人より身近に感じる里の者達は心の拠り所となる親しい者がいないと壊れやすくなり、早死にもしやすいのだ。それを双葉は心配してくれていた。


「いつかね……」


 缶コーヒーの中身を飲み切ると、怜は室内に戻って行った。


***


 朝日が眩しい。カーテンも閉めずに寝た為、ちょうどのぼり始めた朝日が部屋に差し込んできているようだ。そして隣が温い。チラッと隣に視線を向けると丸くなりながらも、怜の服の裾をまだ掴んでいる。寝苦しく無かったのだろうか? と思いながらゼロスフィリアのサラサラの髪をすく。


 昨日の夜、久しぶりに双葉の事を思ったからか、ガッツリ夢に双葉が出て来た。あれは、約1年前に実際にあった事だ。

 まさか、異世界トリップという形でしがらみを物理的に断ち切る事になるとは夢にも思わなかったけど、確かに今ならもう大切な人を作っても良いのかもしれないな。。。

 と、言っても今までの生き方を早々変えられるものじゃないけど。

 それでも、せっかくだから、フィー君と親しい友人関係を築けるように俺からも歩みよってみようかな。

 ……もしかしたら、フィー君がここまで不安定になったのは、歩み寄らなかった俺のせいでもあるのかな。


 ……友人の距離感ってどんなだっけ? プライベートを喋るような友人を最後に作ったのは高校生の時か? それも、卒業と同時に部下になってしまったし。

 あれ? コミュ障じゃない筈なんだけど、側から見ると俺って実はボッチなんじゃないのか?


 ーー今更ながら衝撃の事実を認識した怜であった。

怜の家族登場!夢ですが。徐々に家族も出していきます。

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