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追いかけっこ2(ゼロスフィリア)

ちょっと暗いです。

 ーー21:30頃。

 ゼロスフィリアは倉庫までは何とかたどり着いたが、小屋というのが見つからなくて焦っていた。



 ーー倉庫の近くとは言え、実際には20分程離れている上に、特に明かりのない林の中に紛れるようにある為、夜に見つけるのは難しく、見つけられないのも無理はない。



 小屋が見つからない以上、一度恐らくアジトの一部であろう倉庫内で情報収集をする事にした。


 広々とした空間の奥から光が漏れている場所がある。人がいるかもしれないとそっと近付き耳を済ませる。


「あの目は良かったなぁ。命乞いするでもなく必死に俺のことみてたぜ?」

「それは、カシラが首締め上げてたからでしょ〜」

「一回り小柄だったからな簡単に持ち上げることができたわ。少しずつ刻んで、絶望に染まっていくあの眼がたまらない」

「カシラも好きですね〜」



 ……あの目とはレイのあの澄んだ綺麗な黒い目か? レイなら命乞いなんてしないだろう。それに小柄ってレイも俺より1回り以上違う。これはレイの事なのか?


 男達の話は続く。


「放したら、出血多量でもう死も間近なのに動けない体を必死に引きずって逃げようとして、最後誰かの名前呼んでたよな」

「何でしたっけ? ()()()()でしたっけ?」


 レイ!?


 思わず、動揺からゼロスフィリアはドアにロングソードをぶつけてしまう。


 ……まさか、そんな……。


 ……俺は遅かった? 


 ……間に合わなかったのか?


 ……これはレイの話なのか?


 酷く喉が乾いた。



 暫くの後、目の前のドアがバッと開けられるが、酷くどうでもいいように思う。


「これはこれは、死神ゼロ君かな? よくここが分かったね」


 喋ってる男を見ようと、ノロノロと視線を室内へ持っていく時に気が付いた。


 ーーッ!!


 開いたドアの近くに血の付いた怜の眼鏡があった。


 ……寝る時以外は外していない眼鏡が何故ここに?


 ……何故眼鏡に血がついている?


 ……何故眼鏡だけがここにある?


 ……現実を見たくない。


 ……これ以上知りたくない。


 心は叫んでいたが、そのまま顔を喋っている男へ向ける。


 血の匂いもそのままに、男の白い服の袖は血で染まっていた。


 ……あの男がレイを手にかけたのか?


 ……俺は間に合わなかったのか?


 ……レイはもういない?


 ……レイが死んだ?


 あの食後のマッタリした時間が好きだった。


 意外に食い意地が張ってるレイが面白かった。


 デザートを美味しそうに頬張るレイに心が温まった。


 俺が応接スペースに行くと、レイも必ず来て、喋るのでもなく同じ空間を共有してくれて心が休まった。


 新しい魔法だけではなく、人と過ごす楽しさ、暖かさ、やすらぎの感情等色々な物を与えてくれた。



 そんなレイがいない?



 レイと出会う前と同じ状態に戻る?



 レイと会う前の俺はどんなだった?



 ()()のせいで、レイが巻き込まれた?




 ……また守れなかった。



 また?



 またってなんだっけ?



 レイがくれた温かい世界。そのレイがいないのに()()1人残るの?



 いきるってなんだっけ?



 心が芯から冷え、カラフルだった世界の色がまたグレーに染まっていく。



 そうだ。



 もうかなしいのもさびしいのもわからないように、ずっとこのままでいればいいんだ。




 突如ゼロスフィリアの魔力が膨れ上がり、ピアスが片方弾け飛び、片方はひび割れる。


「な、なんだ? ひとまずこの場を離れるぞ」


 相対してたカシラ含む男達も異変に気が付き、すぐ様動こうとした。


 が、


 ーーゴウッ


 という音と共に体が動かなくなった事を知覚したのを最後に、意識が途絶えた。


 

 ーー倉庫はまるで時を止めたかのように静寂につつまれた。

盗賊視点での出来事。

---------------

 ーー21:30。倉庫のソファーセットがある部屋。


「まさか、人違いで襲われるとはな」

「全くですわ〜。あーカシラによく似合ってたその白い服、袖に血がついてるっすよー。それはもう着れないっすねー」

「今日おろしたてだったんだがな」


 会食の帰り道、カシラ含め男達は盗賊に襲われたのだ。ただ、こちらの方が強くて全て返り討ちにし、今アジトに帰ってきた所なのだ。


 ふとローテーブルを見ると、白金貨の入った袋と怜が装備していたという空間魔法付き鞄とダガーが置いてあった。ローブ男は無事に任務を果たしたようだ。

 ローブ男はこのアジトの仲間ではない。時々仕事上関わるだけだ。今回は、怜の拉致とゼロスフィリアから金を受け取ってアジトに届けるまでが仕事だ。


 それにしてもと、帰りに襲ってきた盗賊達の話を始める。


「あの目(憎悪の目)は良かったなぁ。命乞いするでもなく必死に俺のことみてたぜ?」

「それは、カシラが首締め上げてたからでしょ〜」

「一回り小柄だったからな簡単に持ち上げることができたわ。少しずつ刻んで、絶望に染まっていくあの眼がたまらない」

「カシラも好きですね〜」

「放したら、もう死も間近なのに動けない体を必死に引きずって逃げようとして、最後誰かの名前呼んでたよな」

「何でしたっけ? ギークでしたっけ?」


 ーーガタッ。


 カシラや男等は素早く戦闘態勢に入る。いつもは使っていない倉庫側のドアから何か音が聞こえた気がした。

 ゼロスフィリアの思い人を拉致した時に使ったドアだが、普段は使っていないのだ。

 カシラは近くの男に目配せして、倉庫側のドアを開けさせる。


 そこには呆然と立ち尽くすフードにロングコートを着た男がいた。


---------------


男達の話を途中から聞いたが為のゼロスフィリアの思い込みによる勘違いでした。

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