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読書週間3

 時間は遡り、ランチ後ギルド方面へ向かいながらゼロスフィリアへギルドカードを使ってメッセージを送った後。(怜は無事送れていると思っている)


 怜が初めて依頼を受けた次の日から、実は色々な視線がある事に気がついていた。初めはゼロスフィリアの信者かと思ったが、ゼロスフィリアと分かれた後のお昼も視線がついて回る事から、怜を観察している事が分かった。

 視線も、殺気? というか敵意? とよべるものが2度程した以外は、観察に徹しているようだったので、放置していたのだが、連日続く視線に怜もそろそろ鬱陶しく思い始めていた為、昨日もうすぐ本が読み終わる事をわざわざ帰り道でゼロスフィリアへ伝えていたのだ。


 取り敢えず、無事釣れたようで、路地を曲がった所で、ローブを被った男がぴたっと怜の背後につき、それと分からないようにナイフを腰に突き付けながら言葉を発する。


「何が当たってるかわかるな? このまま真っ直ぐ進んだ後、2つ目の路地で右へ曲がれその後暫く真っ直ぐだ」


 いや、一般人だったら何があたってるか物を見なきゃ分からないと思うよ? まさか歩いてたら見知らぬ人にナイフ突きつけられてるとか普通思わないでしょと、心の中で突っ込みつつ怜は分かるので大人しくしている。

 相手も大事にはしたくないようで? 目立つ様な事はせず、(2人が密着して歩いている時点である程度目立っているのだが)人通りの少ない方へ怜を誘導する。

 暫く黙って歩いていると人が少なくなり、すれ違う人の雰囲気もあまりよいとは言えない人が増えていく。薄暗い路地裏に差し掛かった時、不意にナイフを突きつけてた男が怜の肩を掴み、怜の右手を捻るように背中に回し勢い良く体を壁に押し付ける。


「あいたた、抵抗してないんだから、もうちょいそっと扱ってよ〜」


 ローブの男は、余計なことは喋らない主義らしく、怜の言葉には全くとりあわず、黙々と怜の武装を解除する。

 と、言っても腰元にあったダガー数本と空間魔法付き鞄だけだが。


 まだ数回しか着ていない服が壁に擦れて汚れるなと、思いつつ怜はローブ男をそれとなく観察する。

 特に殺気も出さず淡々と仕事をするローブ男は割と手練れだろう。ここに来るまでに怜に顔を見せてない、今も壁に押しつけられている怜から顔が見えない位置にいるのだ。そして、流石にここまで綺麗に関節をきめられていて、力で抑えこまれると怜には成す術がない。この世界の人達は怜より総じて体格が良い為元々の筋力量が違うのだ。

 怜が壁に押しつけられた状態で暫く待っていると、足音を殺す素振りもない集団が近付いてくるのが分かった。

 人相が良いとは言えない体格の良いゴロツキっぽいのが10人程、怜とローブ男を囲むと、ゴロツキの1人が喋りはじめた。


「いやぁ、久しぶりだな。兄ちゃん会いたかったぜー」

「こんにちは。どちら様でしょうか?」


 怜が即答すると、一瞬静まりかえる。


「はっはっはー。覚えてないかー。俺達の家に来るって言ったのに来なかったばかりか、金まで持っていったよな?」

「あー。その節はありがとうございました。お陰様で美味しいパゲラ料理食べる事が出来ました」


 この男が現れた時点で分かっていたが、怜がこの世界に来た初日、ゼロスフィリアに会う前に絡んで来ていた男だ。


 なんだか久しぶりな気がすると怜が軽く答えると、周りは静かなまま、声をかけた男の目は笑っておらず、怒りなのか苛立ちなのか口元はピクピクしてる。


「……へぇ。そりゃ良かったな。今日はそのお礼をしてもらう為に、アジトに招待するぜ」

「遠慮したい所ですが、前回行けなかったですし、せっかくの招待を断るのも悪いと思うので今回はうかがいますね。夜にはいつもの宿に戻りたいので早めに行きましょう!」


 周りは無言だ。


 怜が不自然な体勢にも関わらず、あまりにも平然と答えた為、話しかけてきた男はこめかみまでピクピクしてるし、可哀想なものを見る目を向ける人や、あっけに取られ呆然としてる人もいる。そして、突っ込みどころは満載なのに、突っ込んだら負けとでも思ってるのか、誰も何も言わない。


 周りは諦めたのか何なのか、話しかけてきた男が目配せすると周りにいた男達が無言で怜に目隠しをし、後ろ手に縄をしばり、怜を肩にかつぎあげると歩き出した。


 怜は誰も突っ込んでくれず寂しいと思いつつ、怜をかかえる男の肩がお腹にあたっており、昼食後なんだけど、こんなお腹圧迫されたらヤバいんじゃ無いかなとちょっと心配した。



 ーー怜の懸念は当たり、案の定30分後には胃の中の物を出す事になり、怜に振り回された男達は心底疲れた顔をする事を今はまだ知らない。

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