表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/66

邂逅3

 案内されたのは、地下の居酒屋っぽい所。奥まった個室に通されたのは、話の内容を思ってなのか、逃げられにくいようにする為か……。


 怜に逃げるつもりはないし、盗聴されても対処可能な内容しか話さない予定なので、支障はない。 


 席に着くなり早速メニューを見てみるものの、読めるが訳の分からない内容ばかり。


「……。(パゲラの素焼きってなんだよ)

何か適当に私の分も頼んでください。」


 分からないのでフード男に丸投げした。


「あ、飲み物は水でお願いします。」


 こちらの要望も忘れず伝えておく。


 フード男は眉間に皺を寄せながらも、店員を呼びよく分からないものを色々注文してくれた。


 やはり面倒見が良さそうである。


「……」

「……」


 両者しばし無言が続いた中、飲み物と料理が運ばれてくる。その間フード男の視線はずっと怜へ向いたまま。


 何のお見合いなんだ? 


 そう思いつつも、一通り揃ったようなので、


「いただきます」


 と、こちらもフード男を見てから手を合わせて食べ始める。


 サラダ、焼き魚、肉、煮込み料理、つまみ等一通り頼んでくれたようで、食材は分からないが少しずつ摘んでいく。特に危険をつげるような食べ物は無さそうなので良かった。


 俺が食べ始めたのを見てフード男も食べ始めたので、相手も話しかけてこないことをいいことに、こちらから気になった当たり障りのない事を聞いてみる。


「屋内なのに、フード取らないんですか? 手袋もしたままご飯って食べ辛くないですか?」


 と言った所、目を見開いてこちらを凝視している。


 ……あれ? いきなり地雷ワード踏んじゃった? 当たり障りない内容選んだはずなのに……と顔には出さずに考えていたら


「……これは耐魔制御が掛かった衣服だ。外してお前は耐えられるのか?」


 と言われた。


 ……”タイマ制御”

 “大麻”? え? 薬中なの? 大麻の匂いを制御してるの? 

 それとも”タイマー”……時間な訳ないか。

 後は”退魔”かな。ん? 俺悪魔とか思われてる? でもさっき”死神ゼロ”って言われてたから悪魔とか霊とかそーいうのが居る世界なのか? でも外したらフード男に影響があるんじゃなくて、俺の方に影響があるような言い方だし、霊的なものでも呼び寄せてしまう体質なのかな? 良く分からない。


 ので、分からない事は聞いて体験してみるに限る。


「あなたに影響がないのであれば、外してみていただけますか?」



 フード男は怪訝な顔をした後、じっと俺の顔を見る。

 俺が何も動かず見つめていると、不意に壁に視線をやり何事か呟く。と、何となく部屋の空気が変わったように感じた。


 それからフード男はフードを下げ、こちらを見る。

 俺が反応しない事を確認すると、次に右手の手袋を外してこちらを見る。

 俺が反応しない事を確認すると、今度は左手の手袋を外してこちらを見る。

 俺が反応しない事を確認すると、フードの上着を脱いでこちらを見る。

 それでも俺が反応しない事を確認すると、ゆっくり左耳だけに付いているイヤーカフを外してこちらを見る。


 ……うん。なんだろ。フード男君はワンコかな?こちらの反応を伺いながら、恐る恐る近づいてくる臆病な犬みたいで可愛い。

 ……別に華奢でもないし、明らかに成人は過ぎてる男性なんだけどね。


 確かに、徐々にさっきフードの有無によって違うように感じた気配というか存在感? が段々大きくなっているような気がする。でもそれだけ。別に大麻の匂いなどもしないし問題ない。


 フード男はしばらくこちらの反応を伺った後、席を立ち俺の方へ歩いてくる。


 じっと、俺を見つめた後、目を伏せ躊躇いながらも右耳につけたピアスをゆっくり外し、フード男は俺を見つめた。


 何度も捨てられ心に傷を負ったワンコが、今度も愛されない事なんて分かっているのに、それでも一瞬でも愛を求めてしまう本能を止められない。


 そんな目をするフード男に、

 

 俺は思わず席を立ちゆっくり近づき、

 

 そっと抱きしめて


「大丈夫だよ」


 と囁いた。


 頭1つ分高いフード男を見上げると、信じられない物をみたという目で、俺を見ている。


 どちらも動かず、時が止まったかのように感じさせる中


 フード男はこちらを凝視しながら


 一筋涙をこぼした。




 ……美形って凄いね。鼻水垂らして泣かないんだね。思わず守ってあげたいみたいな母性本能? 擽られるし、絵になるってこーいうこと言うんだと実感したよね。


 そして、思った。



 ちょっと雰囲気に流されたけど、……なにこの超展開。


 あまり良好ではない雰囲気の中ご飯食べ始める→俺の一声をきっかけに服脱いでアクセサリー外す→近づいてきた→なんだか寂しそう→思わず抱きしめる→美形が泣く←イマココ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ