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初めての常時依頼3(ゼロスフィリア)

 2人は迷う事なく森の入り口へ着き、ゼロスフィリアは自由にさせていたバイコーンを呼び、再び怜を前に乗せて帰路に着く。

 バイコーンに乗る時の怜はいつもの微笑みというよりは苦笑しているような顔をしていた。




 はじめゼロスフィリアは、この採取依頼について、怜にとって初めての場所で、初めて見る植物の採取であり、時間も半日ない位の為、依頼は失敗するかもしれないと思っていた。

 Fランクの場合失敗した所で、見習い期間であり今後へ繋げることを目的としている為、ペナルティは無く経歴の汚点になったりもしないので、ゼロスフィリアも依頼の成功には拘らず、特に失敗しても良いと思っていた。



 が、結果を見れば分かる通り後は帰るだけで、依頼は達成するだろう。



 ゼロスフィリアは小さい時から魔力が人より大きかった為、その魔力に耐えられるよう人より体は丈夫だった。

 丈夫所か、その身体能力は獣人より秀でていて、周りからは割と人外認識されている。そのゼロスフィリアが怜の薬草採取中の1時間のダッシュ&ストップで軽く汗ばんでいた。

 ゼロスフィリアはダッシュ&ストップに慣れていないせいもあるだろうが、怜は汗ばむ所か涼しい顔して美味しそうにお昼を頬張っていたのだ。

 採取にしても、あの移動速度で最初から生えている場所が分かってるかの如く、正確に見つけられるのは異常だろう。

 確かに上位の探知魔法の中には植物や無機物を対象に、対象だけを探知する事が出来るスキルもあるが、怜は使ってない筈だ。


 それに採取後、常時依頼の魔物を聞いてきた所から、怜としては最初から狩も含めた予定だったのだろう。


 狩も全て1撃で射抜く弓の技量もさることながら、咄嗟の判断での武器選択も、ダガー捌きも中堅冒険者を凌ぐだろう。


 一度、危ないかと思った場面もあったが、結局怪我1つなく、Dランクの魔物”ブーブ”を軽々仕留めていた。

 あのブーブを狩に行った時、近くにいた俺でさえ一瞬にして消えたように見え、驚いていた為直接仕留めた所は見ていなかったが、あの刀という武器の威力が凄いのか、怜の技量が凄いのか綺麗に首と胴体が分かれていた。


 あの赤子並のステータスで、あの優しい顔で、誰がこれほどの動きが出来るか想像できようか。


 本来魔物のランクはパーティーを組んだ前提のランクであり、ゼロスフィリアみたいな絶大な魔力を持っていない限り、ソロで難なく魔物を倒すのは難しいのだ。

 

 今日の怜を見ている限り、まだ余裕はありそうだった。それどころか自分より大きいDランクの魔物を仕留めた筈なのに、息1つ乱さず、返り血1つ浴びず、ゼロスフィリアへ向けた微笑みに薄ら寒さすら感じた程だ。


 誰もが優しそうな雰囲気で、少ない魔力の怜を理解するなんて無理だろう。俺が俺という例外を知っているにも関わらず、その目で見るまで怜の実力が分からなかったのだから。


 正直に言ってこうしてバイコーンに乗ってる穏やかな雰囲気の怜を見ていると、今も本当に魔物を倒したのか信じられない程だ。



 そして、怜はこの世界に来たばかりだというのに、依頼も狩も難なく熟す様は、俺が手をかさずとも生きていけるだけの能力を持っていて、こちらの常識を当て嵌めようとしてしまう俺の方が有害なのではと思わずにはいられなかった。


 だからこそ、油断した自分に少し凹んでいた怜の姿は意外で、冗談でも頼ってくれたのは嬉しかった。

 俺ばかり救われているが、俺にも出来ることがあるのかもしれないと。

 俺が怜に救われたように、俺も怜の支えに、隣に立つに相応しい相手になろうと、改めて心に誓った。



 バイコーンに2人で乗るのはあまり好きそうでは無かった怜だが、バイコーンへの興味はあるようで、色々質問してきたり、気持ちよさそうに触っていたり、駈歩にした時の驚きようと楽しそうな雰囲気にはゼロスフィリアも和み街へ着く頃には、お互いいつもの雰囲気に戻っていた。

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