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初めての常時依頼2

 ーーこれが魔物か。


 と、怜はホーンラビットに向き合って初めて実感した。


 見た目はうさぎな為、矢が外れた時逃げるかと思っていたら、こちらに向かってきていた。

 それも、魔物なだけあって瞬きする間に10メートル以上間を詰めていて、傍目からは見えていないかもしれないが怜は少し焦った。

 結局、怪我なく仕留める事は出来たが、パゲラが通常の鳥と同じような行動を取っていた事もあり、ホーンラビットもうさぎという事で、無意識に元の世界基準で考えており、少し油断してしまったようである。


 そして、やはり何においても基本である情報収集を怠ってしまったのも、油断の原因に他ならず、ゼロスフィリアがいるからとか、魔の森の浅い部分だからと言うのは理由にならない。


 ……何処か、現実では無くフワフワなファンタジー気分でいたのだろうか。


 と、反省とともにちょっと凹んだ。


 全てのホーンラビットを回収し、ゼロスフィリアの元へ戻ると


「レイ、ちょっと油断? した?」


 と、自信なさげに問われた。


 やはり、魔物が逃げずに想像以上の速さでこちらに向かってきた時の一瞬動作が止まったのがゼロスフィリアにはバレていたようだ。


「しましたー。フィー君、俺凹んだからなぐさめてー」


 と、怜は少しふざけながら、ゼロスフィリアに寄っかかる。


 ゼロスフィリアは充分反省して凹んでいる怜の空気を読んでくれたのか、そのまま寄っかからせつつ、頭にポンポンと手を置いて


「怪我が無くて良かった」


 と、一声かけてくれた。

 ……空気まで読めるとは男前すぎませんかね。


 暫くお互い無言でそのままの体勢でいたが、ふとゼロスフィリアの体に緊張が走る。

 そっと、怜を体から離して周りをうかがった後、戦闘体勢に入ろうとした所で、怜も何かいるのが分かった。


「フィー君、油断しないからやらせてくれない?」


 ゼロスフィリアは少し迷った後、怜の好きにさせる事に決め答える。


「分かった。気をつけろよ」


 怜は許可がおりると共にその場から消えた。


 ゼロスフィリアが驚き、周囲を見回した後、200メートル程離れた位置の魔物へ視線を向けた所で


 ーードドーン。


 と、音がした。


 ゼロスフィリアは急いで怜の元へ向かうと、3メートルほどの魔物が首と胴体綺麗に分かれた状態で横たわっていた。


 返り血を1つも浴びていない怜は、振り返ると微笑みながら


「この刀凄い良い刀だったよ」


 と、嬉しそうにゼロスフィリアに報告した。




 見た目はそのままヘラジカのちょっと大きい版の獲物を仕留めた怜は、


「麻袋に入らないんだけど……」


 と、少し困った顔で、ゼロスフィリアにどうすれば良いか問う。


「いや、鞄の中は時間が止まるし、他と混じったりしないからそのまま突っ込んでも問題ないぞ」

「あれ? そーなの? 受付のお姉さんが(初心者セットとして)麻袋くれたよ?」

「あえてしっかり分けて保管する者も居るが……。普通の初心者冒険者はまだ空間魔法付きのアイテムなんて持っていない方が多いから渡したんじゃないか?」

「そうか……」


 ゼロスフィリアに言われて、納得した。あるのが当たり前になりつつあったけど、そーいえばダンジョン産の空間魔法付き鞄は高いんだったと。


 鞄にそのまま魔物をしまいながら、首を切り落とした事で大量に地面に出てしまった血をどーしようかなと悩んでいると、ゼロスフィリアが魔法で焼いてくれた。


 ……魔法便利である。


 ただ、怜はゼロスフィリアと同じ事は出来ず、やるとしたらひたすら埋めるしか出来ないので、シャベルかスコップは買おうかなと思ったのだった。


「そーいえば、この魔物って何て言うの? さっきのフィー君の説明には出て来てないよね?」

「そうだな。この魔物は”ブーブ”と言って普段はもう少し奥にいるし、あまり人前に出る事は無いんだが、運が良かったな。Dランクながらこの肉は美味しいし、素材の買取額も割と高い」


 怜は一瞬固まった。見た目ヘラジカなのに”ブーブ”? 鹿だよね? 


「え? “ブーブ”?」


 と、思わず声に出して問いかけていたようだ。


「そうだが。……怜の世界にも似たようなのがいたのか?」

「……うん。魔物はいない世界だから森に住む動物としてだけどね。名前が全然違くて驚いただけ」

「そうか。……そろそろ良い時間だから戻ろう」


 怜はゼロスフィリアの言葉にうなずきつつ、改めて”異世界って不思議”と感じたのだった。


 そして、心の平穏の為にも改めて、事前に情報を取得しておく事の大切さを実感したのだった。

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