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初めての採取依頼

 ーーカポカポカポ。

 無事2人とも南門を出た後は、バイコーンに騎乗して移動中である。


 バイコーンは普通の馬と違って背が高い為、怜はまず乗るのに若干苦労したが、乗った後は全てゼロスフィリアに任せている。

 当然、怜が前で、ゼロスフィリアが後ろに乗り、手綱も操っている。


 晴天で景色が綺麗な中、男2人で乗馬。


 ……居た堪れない。


 ので、今後の事を考えて早めに移動手段を確保しようと怜は心に決めた。


 それにしても並の馬より早い。バイコーンの速歩は馬でいう駈歩に近いスピードが出てるようだ。試しに、駈歩もお願いしたところ、乗用車程の速さはあったように思う。


 そんなこんなで、南門を出てから30分後には森の入り口に着いた。ただ今11時ちょっと過ぎ。

 バイコーンから降りるとこの辺に人は居ないからとゼロスフィリアはバイコーンを放つ。Bランクの魔物ともなると頭も良いらしく、調教されたバイコーンは飼い主の言う事をよく聞くらしい。


 そして、怜がどうやって薬草を探すのか、ゼロスフィリアはまた静観に戻ったようだ。


 ゼロスフィリアの準備が整ったのを確認した怜は森へ入る。


 そして、ゼロスフィリアは早速困惑した。怜は薬草を探してるようには見えない、街中を歩いているかのようにスタスタと割と早いペースで歩いているのだ。もうちょっと森へ入ってから探すのか? と思っていたらおもむろにしゃがむ。急にしゃがまられるとぶつかるとゼロスフィリアは顔を顰めた。


 怜は眉間に皺の寄ってるゼロスフィリアに構わず話しかける。

「これ初級ポーションの薬草で合ってる?」

「……合ってる」


 怜はその薬草の匂いを嗅いで、手触りを確認し、日の辺り具合や周りの環境を確認してから、丁寧に採取し麻袋に入れ鞄にしまうと、おもむろに木の上に登る。


 そこからはゼロスフィリアの理解の範疇を超えた。


 怜は木の上から飛び降りて来てから、走り始める。

 ゼロスフィリアは呆気にとられながらも、見失う訳にもいかないので、ただただついていく。


 少し走っては採取、また走っては採取。繰り返すこと1時間程。

 これで良いかと怜は初級ポーションの薬草を40束程採取した所で、採取を終わらせる事にし、黙ってついて来てくれてたゼロスフィリアに振り返り


「フィー君お昼にしよっかー」


 と、声をかけた。



 先程走りながらか、木に登った時にでも見つけたのだろうか、怜は日当たりの良い少し開けた場所に来ると、街を出る前に屋台で買ったお昼をゼロスフィリアに渡してくる。

 どうやら、怜はここでお昼を取るらしい。


「レイは薬草採取とか慣れているのか?」

「うーん。森じゃなくて山だったけど、子供の頃、修行の一環? で指定の薬草の採取とかはしたね。後は学校終わってから日が暮れるまで数時間しかないのに夕食の山菜つみを命じられて必死に家族分の山菜探したりしたかなぁ。取って行かないと具なしの夕食になるから必死だったよね」


 怜はケバブのような食べ物を食べながら、山菜うどんなのに山菜が取れず素うどんになった事が何度かあったなぁと少し懐かしむようにゼロスフィリアの質問に答えた。


「それより、この辺の浅い所でよく出る魔物教えて」

「この辺りだと、パゲラ、ダモン、グリーンスネーク、ホーンラビットだな」

「なるほど……(後半は何となく想像出来るけど、前半がわからない)」

「さっき、何だかすっごいカラフルな鳥が居たんだけどもしかして、それがパゲラ?」

「それがパゲラだな。Eランク魔物で油が乗っていて美味い」

「常時依頼に載ってたやつだよね?」

「そうだ」


 うんうんと怜はうなずき


「ご飯食べ終わってもまだ時間あるよね? そしたら、この変で受けられる常時依頼もやろうかなと思う。元々フィー君には何が出来るかも見せようかと思ってたから一石二鳥でちょうど良いかな」


と、言った。


「”イッセキニチョウ”?」

「(この世界だと言い方が違うのかな? )石を一つ投げて二羽の鳥を得ることを例えとして、一つの行為から二つの利益を得ることを言うんだよ」


 怜は言葉の意味を説明したものの、あまり馴染まないようで、ゼロスフィリアは首を傾げていたが、怜はそんなものかなと微笑んでおいた。


 街を出た後すぐにバイコーンに乗った為、狩りに使おうかと思っていた石は結局拾えてないやと怜は思ったが、ナイフも弓もあるし急ぐ事無いかと思い直した所で、狩を始める事にする。


 ゼロスフィリアがご飯を食べ終えたのを確認すると、怜は弓矢を鞄から取り出す。何度かその場で弓を引きイメージトレーニングをしてから歩き出す。


 今度は普通の速度だ。


 が、ゼロスフィリアはまたしても驚く。怜はその場にいるのに段々存在が薄くなっていくような感覚がし始めたのだ。

 ゼロスフィリアは焦燥に駆られ思わず怜の手を取る。 


 怜は急に手を取られた事に驚いていたようだが、


「大丈夫だよ」


 と、ゼロスフィリアに微笑み、声をかけるとそれ以上存在が薄くなる感覚はしなかった。



 怜としては、当初いつものように完全に気配を消して狩をしようと思っていたが、ゼロスフィリアの不安そうな目を見て完全に気配を消すのはやめておいた。

 無理に全部気配を消さなくても、射程がのびるだけでそこまで支障はないから、ゼロスフィリアに不安を抱かせない方を怜は選んだのだ。

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