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お買い物2

 店主は勝手に解説を始める。

「それは東の島国の”刀”という種類の剣なんだよ」


 装飾はほぼない石黒目の鞘、約2尺4寸程の長さで、刀身は少し反りが入っている。正に日本で言う”打刀”にあたるだろう。


「なんか不純物の少ない鉄製なんだと」


 それはもしや”玉鋼(たまはがね)”では無いのか? と思いつつ刀を眺める。


「製法も何度も折り返して作るから”折れないし、曲がらないし、良く切れる”らしい」


 まんま日本刀ですね。と、心の中で思いながら刀身の波紋を眺める。


「という、話だったんだが、購入者によると切ってる内に曲がるわ、切れる部分が片方だけだわ、鉄だから魔力通しにくいわで、評判悪くなって全然売れないんだよ。兄ちゃん買うなら割り引くよ」


 日本刀で切るには、しっかり刃筋が通ってないと上手く切れないし、すぐに曲がるね。その代わり刃筋が通ってさえいれば大分強い筈なのに勿体ない。と心で思いつつ値段を眺める。


 金貨45枚……高い。


「売れない割には高くないです?」

「購入時はもっと高かったんだよ。島国からの輸入品だし、さっきの名目もあったし」

「なるほど……因みに手入れはどうするんです? 刃こぼれとかした場合の修理とか」

「”不壊”の付与魔法があるから多少の手荒い扱いじゃ刃こぼれはしないし、少し位なら曲がった場合も”自動修復”機能があるから丸1日使わなければ元に戻る。とは言っても、流石にダメージが大きければ他の武器同様元に戻らないけどな」


 怜は目を見張る。そんな魔法機能があったら日本刀は最強じゃないかと。

 ……魔法がある世界だったとちょっと我に帰り冷静になる。


「因みに東の国の島国の名前は何て言うんです?」

「確か”トーワ”だったと思うぞ」

「ありがとうございます。それでは双剣とこちらの刀お願いします」


 東の島国って、まるで日本だなと思いつつ、国の名前は違うようだ。刀はあまりメジャーじゃないようだし、双剣もカモフラージュ用に購入する。ついでに、恐らく和服ではなく洋服で使うので、洋服でも帯刀出来るよう、ホルダーも併せて購入する。


 そしてお会計。


……割引かれて金貨70枚でした。


 当然こちらもゼロスフィリア様に払っていただきました。


♢♢♢


 俺はいったい今いくら借金してるんだろうと怜は考えながら、隣を歩くゼロスフィリアを見やる。


 武器屋での買い物といい、その前に宿もある。あのスイートルームは1泊金貨1枚らしい。何故あそこを使っているのかというと、ゼロスフィリア曰く「食事を部屋まで運んでくれるから」との事だった。……家事が一切出来ないらしい。それにしても贅沢である。他にも、フロア借りが出来るとか、あのあまり動じる事のない執事風の受付ローレンスさん(元騎士とは言っていたが、絶対暗部に関わっていた人間だろうと怜は思ってる)もあるだろう。


 武器屋の1件目では、購入した物をどうしようかと思っていたら、ゼロスフィリアにダンジョン産の空間魔法付きの鞄を貰った。鞄とは言っても、実際は腰元に付ける小さめのポーチだ。確かにゼロスフィリアは次元魔法の倉庫を持ってるから要らないのだろうが、こんな簡単に譲ってしまって良いのだろうか。。。鞄はダンジョン産だから、必要魔力は少なく物が取り出せるやつだ。中身はどれくらい入るのか聞いたら、家1軒分位との事だったが、売ったらとんでもない値段がするんじゃないだろうか。


 ーー因みに怜は家1軒と言われ日本の2階建の小さめの家を想像していたが、ゼロスフィリアは家イコール今住んでる5階建の宿泊施設丸ごとを言っていた。


 視線に気がついたのかゼロスフィリアが声をかけてくる。

「なんだ?」

「いや、これから行く服屋。服なんて自分で選ぶの久しぶりだからちょっと楽しみだなぁと」


 怜は里では頭首候補で忙しい事もあり、身のまわりの世話は世話人がいて、全部任せていた。服も基本は用意されたものの中から選ぶ方式だった為、店に行くなんて本当に久しぶりなのだ。勿論、表の警備会社社員として、安アパートに1人暮らしなんて事もしていた為、ゼロスフィリアと違って家事なども一通り出来るが。


 そんな事を思っている怜の横では、ゼロスフィリアがやはり怜は”ボンボンだったのか”と宿に篭っていた時も世話され慣れてると感じた事から確信を深めていた。


 怜もゼロスフィリアの所作が綺麗な事から元は良い家柄なのではと、思っている。


 ーーお互いがお互い、良いところ出だと思っていた。


♢♢♢


 服屋に着いた。ここは普通の服屋では無く冒険者等が良く使う、魔法加工がされてる服を売っている服屋だ。その分勿論お値段はそれなりにする。


 そして、怜は早々に自分で服を選ぶ事を放棄した。冒険者の街? 特有なのかは不明だが、魔物の素材の特性は一般常識なのか、特性は全部口頭で聞くのが普通なのか、とにかく素材の魔物名と値段しか書いてないのだ。

 たまに、売り出し中のものなのか、ポップみたいに細かく書いてあるものもあるが。

 ほぼ魔物の知識がない怜には良し悪しも分からず、どんなのが適切なのかも分からないので、一通り見た後は、結局ゼロスフィリアに任せる事にした。

 ……元の世界にいた時からだが、特に服に拘りを持っていない為、ただ単純に面倒臭くなったというのもある。


 冒険者の初心者標準装備は、長袖、長ズボン、ブーツ、手袋で肌の露出を少なくするのが一般的なようだ。熟練者になると、それぞれ崩したりするようだが。

 この店は素材の持ち込みでのオーダーメイドもやっているようなので、今後は自分で狩ってきた魔物の素材で自分の体にあった服を作って貰うのも悪くないなと、ゼロスフィリアが持ってきた服のフィッティングをしながら怜は思った。


 因みに最初、怜に対して過保護なゼロスフィリアが持ってきた服は、完全に効果で選んだのだろう、真っ赤なツナギのようなものや、キラキラ眩しい目が痛くなるような銀の上着を持ってきて、その時は本当にどーしようかと思ったが、”地味なのでお願い”という怜の懇願に仕方なさそうに最終的には地味な物を選んでくれた。


「そーいえば、フィー君も新しい服買わないの? 今までのは耐魔制御に特化した服だったんだよね?」

「そーだな……。俺も揃えるか」


 と、ゼロスフィリアはチラッと怜を見ながら言った。


 怜はゼロスフィリアのチラ見に”ペアルック”とかじゃないよね? と若干ドキドキしながらも、ゼロスフィリアの服選びを眺める。


 ゼロスフィリアは耐魔制御に特化していた為、防御の効果ほぼ”0”、いかに魔力を表に出さないか重視の服のため、デザイン性もほぼなく、実は結構動きにくいものだったのだ。……それでも難なく戦えるゼロスフィリアは文字通り”規格外”なんだろう。

 怜の服を選ぶより時間をかけずフィッティングもせずに、さっさと購入すると、帰路に着く事にした。

玉鋼タマハガネ、明治以降の鉄は外国からの輸入品と混ざり不純物が多い鉄の為強度も弱く質の悪い刀となっていたようです。(量産品の軍刀とか)引退した刀匠さんとご縁あってお話した事がありましたが、今の若い者はその見分けも出来ないと嘆いていたのはちょっと印象的でしたね。


金貨の価値設定が違ったので修正しました。

金貨70枚→約700万円w


日本人地味顔のド派手衣装主人公とか、ちょっと面白そうですね。

怜は地味装備ですがw

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