邂逅2
「……!? 死神ゼロ!? なぜお前がいる。てめぇは警護なんざやらねぇだろ。邪魔するんじゃねぇ」
フード男のリアルではありえない容姿に異世界っぽいとちょっと感動していた怜は、男の言葉で大体状況を理解。誘拐犯さん状況説明してくれるなんて親切だなと思いつつ、未だに強い視線を放つフード男を観察する。
重心の取り方、体つきを見ただけで今までトリップしてからみた人間の中で1番強そうである。
多大なる警戒心と、少しの好奇心、わかり辛そうな優しさ……意外とお人好しで面倒見の良さそうで実は寂しがり屋っぽい感じがすると思ってると、フード男が近付いてきて
「何を企んでる?」
と、俺に向かって話しかけてきた。
……誘拐犯達を無視して俺に話しかけ続けるとかすごいねぇ。俺はフード男の評価に意外とマイペースという評価も付け加え、素直に答えてみることにした。
「もうすぐ暗くなりそうでしたので、この方達の宿へ泊めてもらおうかと思いまして」
両者一瞬の沈黙の後、フード男の登場に緊張していた誘拐犯達は俺の言葉に安堵の息を吐き、”この坊ちゃんは誘拐されてる事も気がつかない位頭が残念なんだ”とでも思ってるような哀れみの表情を浮かべ
「そういう事だから」
と、俺を連れて立ち去ろうとした。
が、フード男が一瞬にして詰め寄り、右側にいた2人を壁を伝って結構な勢いで蹴り飛ばし、男達の背後に回ったかと思うとすぐに刃物を突きつけてた男の顔を鷲掴みにし投げ飛ばし、残りの左側にいた2人を後ろから手刀でのしてしまった為出来なかった。
その間俺はというと、フード男がナイフを突きつけてた相手を鷲掴みにした時ナイフがかすりそうだったのでさり気なく半歩ズレただけで後は特に動かずフード男の動きを見守っていた。
フード男は誘拐犯達をのした流れのまま、近付いてきて俺の胸ぐらを掴んで壁へ押し付け、また一言。
「お前はなんだ?」
……うーん惜しい。左手胸ぐらで右手がロングソード? にのびてるから巷でいう壁ドンとはちょっと違うんだよなぁ、そしてやっぱりこの人も背が高いなぁと頭1つ分高い男の顔を見ながらくだらない事を考えていた。
因みに
“お前は何だ?“
と、聞かれたので
「何だと思います? 」って微笑みながら聞き返したら、苛立ちと殺気が増して、首が締まってきたので、質問を質問で返したらダメな例だわと思い、取り敢えず自己紹介してみた。
「あー落ち着いて落ち着いて。私は、レイと申しまして、遠い所から来たみたいです。ここに来たのは昼頃で私も状況があまり分かっていなくて、取り敢えず日が暮れそうでしたし、手持ちのお金もありませんでしたので、彼らの宿に泊めてもらおうかと考えていました」
と、困り顔で言ったら首締めは少しゆるまりフード男にも可哀想なものを見る目で見られた。。。解せぬ。
でも、勝手に首を突っ込んできたのは、このフード男なので俺はこれ幸いにとフード男を巻き込む事に決める事にした。
「取り敢えず移動しませんか?
武器もないし、私が貴方を倒せる程強そうに見えないでしょ?
私お昼なしでお腹が空いてるんですよ。
ご飯が食べれて2人でゆっくり喋れる所ありませんか?
ご飯代は彼らが奢ってくれますよ」
と、地面に倒れ伏してる男達へ視線を向ける。
彼らにとっては不幸だったと思うが、俺に目をつけた時点で運がなかったと諦めてもらおう。
先立つものがない怜は誘拐犯の懐からちゃっかり金目の物をいただく予定である。
生き残る事が前提の今、日本の倫理観は置いておく。ここは日本ではないしね。
怜の言葉に逡巡した後、警戒は解かずにフード男はやっと手を離したので、皺になった胸元を直しながら、倒れ伏した男達の財布っぽいものを回収していく。
その際、しっかり服の作り等も確認するのは忘れない。
後ろでフード男が
「倒したのは俺なんだが……」
と呟いていたが勿論気にしない。
一通り怜が5人から金目の物を回収したのを見届けると、フード男がついて来いとばかりに、目線をよこしてから、フードを被りなおしつつ歩き出した。
フードを被った途端、フード男の気配が変わったのが面白い。後で聞いてみようかなと思いつつ怜も素直について行った。




