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模擬戦見学2

 2試合目の参加者は少年の方が杖みたいな物を持ち、青年の方は何もなしだった。

 先程と同様、ルーシーさんがスタートの合図をすると、向かい合った少年は呪文の後、炎の玉を顔の横に出し、青年は水の玉を出し、お互いに投げ合い始める。


 今度は先程のキャッチボール程ではなく早かった。


 中学生同士の雪合戦位だろうか。


 ただ、さっきとは違いお互い水だったり、土を操ったりと、他の属性も出しながら戦闘? を行なっている。……相変わらず、呪文を唱えてる最中は動きが止まるし、呪文唱え初めてから唱え終えて、魔法が発動するまでタイムラグがあるようだが。。。

 まぁ、きっとスキル登録の為の模擬戦だから、こんなものなのだろうと、怜は無理矢理納得した。


 杖? の有無はそれぞれだったが、似たような感じの模擬戦が2組続いた後、いよいよ武器を持った者同士の模擬戦になった。模擬戦最後の組でもある。

 こちらは、登録会にもいなかったし現役の冒険者のようだ。1人はロングソードを持ち、1人はランス。

 先程と同じく、ルーシーさんからのスタートの合図と共に2人とも呪文を唱え、ロングソードの方は見た目は変わらないが、ランスの方は槍の穂先に炎を纏わせる。


 すると隣で見ていたゼロスフィリアが補足してくれる。

「ロングソードの方は風の属性をロングソードに付けている。速さが上がるか鎌鼬を発生させるんじゃないか」

 解説が終わると同時に、計ったように2人は間を詰め打ち合う。ゼロスフィリアの言った通り、ロングソード側は間合いの不利を鎌鼬を発生させる事によって埋めているようだが、ランスの方も飛んできた鎌鼬を炎の刃で切り裂く。

 実際の打ち合い、魔法の飛ばしあいを何度かしながら、打ち合いが続く中、最後はランスがロングソードを絡め取り、炎を消した刃だけになったランスを相手の首元に突きつけ、模擬戦は終了した。


「フィー君、武器に魔法を使うのって普通なの?」

「属性を付与する事か? 俺も戦う時は炎か氷の属性を付与する事が多いから一般的ではあると思う。攻撃力も上がるし、属性にもよるが先程の様に魔法を飛ばす事によって遠距離と近距離両方ともカバー出来るからな」


 確かに、当たった時の威力は大きそうだ。炎のランスにしても近くにいけば、それだけで熱いだろうし、擦りでもしただけで大怪我になりそうだ。


 ただ、ロングソードの方もランスの方も武器を操る技術的には怜から見て一般人の域を出ないのだ。


 怜は剣と魔法の世界であり、それこそ目に見えないスピードでの魔法の応酬だったり、剣の一振りでコンクリート(この世界にコンクリートがあるかは不明だが)の壁に吹き飛ばされた人型が出来たりするような派手な戦いを想像していた。

 だだ単純に、この2人のランクがそこまで高くないのかもしれないが。


「フィー君、そーいえば”身体強化”とか、体を強くするような魔法ないの?」

「あるが、使う者はあまりいないな。獣人達か、よっほどのもの好きか、暇なやつか」

「(暇なやつ? )なんで? 使えたらそれこそもっと攻撃力とかスピードとか上がりそうじゃない?」


 恐らくこの世界の一般常識なんだろう。ゼロスフィリアは変な顔をしながらも理由を語ってくれる。


「”身体強化”は体を強化する。では体の何処を強化するのか? 例えば力を強くする為に筋肉を強化する。そうしたら、その強化した筋肉に耐えられる骨・関節が必要になり、今度はその動きに耐えられる皮膚等、筋肉だけを強化するには至らない。身体強化後の反動もあるし、絶えず必要な部分の強化を全て行わなければいけないから、大体使えるのは余程器用なやつか、無意識に常に発動し続ける事が出来るように幼い時から訓練しているやつになる。

魔力を増やせる期間は成人までで、魔力が多ければ自ずと体も強くなるとなれば、殆どは魔力を増やす事にあてる。

”部分強化”をしてる奴は偶に見るが、こっちもあまりいねーな」


 中々理にかなってるようで怜は驚く。もっとファンタジーな感じだと思っていたからだ。


「獣人達が使えるのは何で?」

「獣人はそこそこの魔力を持って生まれる割には魔力操作が苦手な奴が多い。元々魔力がそれなりにあるからか、生まれた後、魔力を増やす事が難しいのもあるらしい。詳しくは知らんが」

「成る程。魔力の成長率は乏しい、だったら”身体強化”で体を鍛えようっていう感じなのかね」


 取り敢えず、模擬戦も一通り見たし、帰ろうかと訓練場の出入り口へ向かって歩いていた所、鋭い風切り音と共に何かが飛んでくる。


 怜は避けようと思い

 

 ……やめた。


 直後



 ーーパシッ……。


 ゼロスフィリアが一瞬でロングソードを抜き、怜に当たりそうだった弓矢を一刀の元に斬り伏せた。


 怜はゼロスフィリアのロングソードでの抜刀の速さに感心しつつ、異世界あるある? 気に食わないやつに突っかかってくるテンプレ的なやつかとワクワク相手の出方を待った。


 背が高いちょっと厳つい顔をした男性がやってくる。


「すみません! お怪我はありませんでしたか?  動く的がなかったので、的を設定しないで”追尾”の魔法を発動したら、たまたま動いていた貴方を追尾してしまったみたいで。ホントすみません。次回から気をつけます。」


 登録会にいて、模擬戦が始まる前から訓練場にいた成人位の青年だった。頭を何度も下げて謝る態度と、申し訳なさそうな顔はホントなのだろう。テンプレを期待してた怜は少し残念に思いながらも


「大丈夫だよ。でも危ないから次回からは気をつけてね」


 と、言って、先程から青年を凄い顔で睨みつけているゼロスフィリアを宥めつつギルドの訓練場を後にした。

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