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ゼロスフィリア

 ただの木製の椅子に足を組みながら座り、資料を眺めるその顔はとても整っていて、ページをめくるその仕草さえも優雅に見え、ギルドのフリースペースの筈なのに、そこはさながら現世とは切り離された清廉な空気を放っているようだった。


  ……眉間に皺を寄せた仏頂面でなければ。。。


 その空間だけ空気が違うように感じるのは本当だが、柄の悪さが全面に押し出されておりそのテーブルに近寄り難い。だが、その近寄り難さがかえって高貴な存在にも錯覚させるのか、何処となく王子様感が出ているという、ちょっとした不思議空間になっている。

 

 周りもうかがうようにチラチラ視線を向けつつ、騒ついているようだ。


 ……やっぱりさっきの視線は俺だけじゃないか。寧ろフィー君へ向けられてるね。心当たりは……あるな。


 と、怜が思っていたところ、ゼロスフィリアは怜が見ていた事に気がついたようで、視線を向けてくる。

 周りからの視線は全く気にしていないようだったが、怜のゼロスフィリアを観察していた視線は気になったようで、早く来いと言わんばかりに眉間に皺を寄せつつ目配せしてきた為、怜は素直にぽっかり空いた空間ーーゼロスフィリアの元へ向かう。


「フィー君お待たせ。この後、模擬戦が訓練場であるみたいだから、見て行きたいんだけど良い?」

「構わない」

「模擬戦は30分後からみたいだから、その間に聞きたいことあるんだけど良いかな?」

「なんだ?」

「フィー君のギルドカード見・た・い・なー」


 ゼロスフィリアは無言で首元よりギルドカードを手繰り寄せると怜に渡す。


 ……シルバー?にしては少し光沢が違うような気がする。


 ステータスも見たいと目で催促すると、ギルドカードに魔力を通しウィンドウを開いてくれた。


「ゼロスフィリア、25歳、男、Sランク、魔法け「ペチッ」」

 怜が読み上げてたら、ゼロスフィリアに軽く額を叩かれる。


「読み上げるな」

「ごめんごめん」


 と、全く悪びれなく謝り、怜は周りの様子をうかがう。


「Sランク!? あの死神ゼロか!?」

「でもフード付きコートに手袋じゃない!?」

「醜男って噂じゃなかったか?」

「銀髪に菫色の瞳やっぱり、言った通りじゃないか」

「あんなに薄着で……超寒がりっていう噂は嘘だったのか」

「王子様……」

「死神ゼロにしては威圧感がそんなにないぞ?」


 寒がりって(笑)一部コメントがあれだが、やはりゼロスフィリアと疑われつつも確信が得られていないが為に、遠巻きにしつつ騒ついていたようだ。

 人と会う時は常に耐魔制御の衣服きてたんだもんね……。


 周りの観察はそこそこに、怜は改めてゼロスフィリアのウィンドウを見る。

====

名前:ゼロスフィリア 年齢:25(男)

ランク:Sランク 職業:魔法剣士

魔力量:28,541【非】

魔力操作レベル:Ⅳ【非】

基本スキル:火(Ⅳ)、水(Ⅳ)、風(Ⅲ)、土(Ⅲ)、光(0)

無属性スキル:次元魔法(Ⅳ)、探知魔法(Ⅲ)

特記事項:剣術(A)、体術

====


 ……【非】というのが冒険者データーベース非公開項目のようだ。無属性スキルももっとありそうだけど、非表示設定にしているようだ。

 ギルドカードは不思議な光沢だと思ったらシルバーではなく、ミスリルだったんだね。(ピアスもミスリルだけど小さいし、余り見ていなかった)フィー君、強そうだなと思っていたけど、まさかSランクだったとは。ただ、Sランクがどの位いるのか分からないから何とも言えないけど。


「これ、スキルの隣にあるのはレベル?」


 と、小声で聞くと、ゼロスフィリアも同じく小声で解説してくれる。


「スキルは0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの5段階で分かれている。0は全く才能なし。Ⅰが初級、Ⅱが中級、Ⅲが上級、Ⅳが特級と思っておけば良い。

基本スキルはその人が持ってる才能の属性魔法で、属性に当てはまらないものがあれば無属性スキルに記載される。

魔力操作レベルもスキルと同じく5段階で、これはどの位魔力が操作出来るか(操作の器用さや操作可能な魔力量の多さ)を表す。魔力操作レベルが0だと魔法の属性は持っていても結局魔法は使えない。」


 ……後で聞こうと思ってた魔力操作レベルについて聞けて良かった。

 そして、そこはかとなく感じるフィー君のチート臭。

 魔力量28,541って……。

 この間聞いた話だと、一般人で100〜150、騎士は500以上から、この国の騎士団長が1,500位で宮廷魔法士が2,500と言われてるって聞いたんだけど。

 ……言葉の綾じゃなくて、文字通り桁がちがうね。


「特記事項にある剣術と、体術でカッコがあるのと無いのとは何が違うの?」

「特記事項は自分で好きに記載できる項目だ。ここには魔力で測れないものを記載する。基本的には自己申告だが、ギルドの職員が目にした場合は補足としてギルド側基準の評価がカッコで表示される。俺の場合は、俺の剣術を見たギルド職員がA判定を出し、体術はギルド職員が見てないから判定しようがなく何も記載がないという事になる。」


 ……なるほど、俺から見てギルドランクや特記事項のローマ字評価はギルド側が人為的に決定していて、スキルレベルなどはギルド(カード)のシステムによって判定されるようだ。

チートわんこ君のステータス公開でした

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