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準備期間2

 ゼロスフィリアは紅茶のカップをソーサーに置くと、怜に視線を向け


「魔力貯蔵用のアクセサリーが出来た。付ける前にまずは手に持って違和感がないか確かめてくれ」


 と、何もない空間から小さな小箱を取り出して怜に差し出す。


 ーーこの空間から物を取り出す魔法。次元魔法というらしい。空間魔法の上位互換とでもいうか、ゼロスフィリアは次元魔法で、通称”倉庫”という荷物を入れて置く空間を作っており、良くそこから物の取り出しをしている。

 因みにこの次元魔法使える人は少ないらしい。


 怜はシンプルな白い小箱を受け取り、蓋を開ける。

 そこには菫色のクリスタルような小さな石がついた、シルバーのピアスが2対。


「ピアスで良いんだろう?」


 と、怜が小箱を開けたタイミングでゼロスフィリアは声をかける。


 肌に触れるものという事で怜はピアスを選んだ。仕事柄あまりアクセサリーを付ける事がなかった為、戦闘にも支障がなく、1番違和感がなさそうという理由でだ。


 怜は手に取り、眺める。特に違和感は感じ無いようだ。それにしても……


「綺麗な菫色の石? だね。フィー君の瞳の色みたい」


 と、怜が言うと少し恥ずかしそうな顔を誤魔化すように視線を外しながらゼロスフィリアはピアスについて解説を始める。


「元々、この石は透明で魔力を込めると、色がつく。使用して貯蔵している魔力が減ると段々色が薄くなっていくから、完全に透明になる前に魔力を補充するようにするといい。

色は魔力を入れる時に使った属性によって変わる。魔力貯蔵用の石の場合は込める魔力に属性の指定はないが、今回俺が無属性の魔力を込めたから菫色になった。

……嫌なら他の色に変えるが?」


「嫌じゃないよ。綺麗だなと思って」


 因みに、瞳の色に近いというのはあながち間違っておらず、その人が得意な(扱いやすい)魔力の色が瞳に出やすいそうだ。

 簡単に述べると瞳の色が赤であれば火属性、青は水属性、緑は風属性、茶は土属性、金は光属性それ以外の色は無属性となるようだが、厳密ではない為、水色の瞳でも火属性魔法が得意な人もいる。

 ただ、多くの場合はこの法則に当てはまるようで、ゼロスフィリアは無属性の次元魔法が得意な為、菫色というわけだ。



 ゼロスフィリアの解説は続く

「台座はミスリルだから、抵抗なく石の魔力をほぼ全て引き出せるだろう。石も良いもの(実は超1級品)を使ったし、レイの特殊体質(魔力の影響を受けない事を、ゼロスフィリアには”特殊体質”と呼ばれている)を活かして、その石の限界許容量まで魔力を込めたから、少なくとも1つで約1ヶ月は持つ筈だ」


 怜はまじまじとピアスを眺める。

 ……なんだか、聞いてはいけない単語が聞こえたような。この世界にはファンタジーの十八番のミスリルが存在するんだね。定番だと物凄く希少価値が高いけど、どーなんだろ……。


 そんな怜に対し、魔力を込めたピアスを持っていても何の影響も受けていなさそうだと判断したゼロスフィリアはピアスを眺めている怜の横に座り、怜の髪をずらしながら耳に触れる。


「(ピアス)穴は開いていないんだな。あけていいか?」

「うん。お願い」


 ゼロスフィリアがやってくれるというなら、特にこだわりも無いので、任せる事にする。


 ゼロスフィリアは”倉庫”から小さい針みたいな物を取り出して、何の躊躇いもなく両方の耳たぶに穴をあけ、水魔法で消毒変わりに軽く洗い、これまた”倉庫”から取り出したタオルで軽く拭くと怜の手元からピアスを抜き取り嵌めていく。


「出来たぞ」


 という言葉と共に、手鏡も差し出されたので怜は手鏡を受け取り見てみる。


 いつもの見慣れた顔に、見慣れぬ菫色のピアス。石自体が小さい為、主張が激しすぎる訳でもなくシンプルで中々黒髪に合っているのではないだろうか。


「ありがとう。何か不思議な感じだけど中々良いんじゃない?」


 怜が笑いながら軽く冗談っぽく言うと


「レイによく似合ってる」


 と、普通に返された。


 ……素直過ぎて、こちらが照れたよね。


 これで怜もこの世界で支障なく日常生活を送れることになったので、さっそく冒険者登録に行きたい旨をゼロスフィリアに伝える。


 ゼロスフィリアもその辺りは考えてくれていたようで、外出時に冒険者登録方法など調べてくれていた。(なにせ、ゼロスフィリアは10年以上前に登録していた為、登録方法を覚えていなかった)


 冒険者の登録は”冒険者登録講習会”が毎日午前と午後1回ずつ、冒険者ギルドで、開催されるそう。

 怜としては、他の冒険者や仕事内容等を見てから登録したいと思っていたが、講習会を受けてから登録しない事も可能との事だったので、取り敢えず講習会を受ける事にする。

 今日の講習会はもう終わっていたので、明日の午前中の会に参加する事を決め、そーいえばと、怜はこの宿の転移魔法陣の使い方など、実際に試しながらゼロスフィリアに教えて貰った。


 怜は10日間本当にこのスイートルームから出なかった。というか、魔力が日常生活を送るギリギリしか無くて”出れなかった”からというのが正しい。外出するために魔力回復ポーションを消費するのも勿体無いし、やる事(知識吸収)もあったからだ。


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