白味噌仕立ての雑煮
中国・ロシアとの関係は、同盟国として扱われていたし、相手も(中国・ロシア)そういう認識でいた。
しかし、現場レベルのやり取りでは、味方だろ?と疑いたくなるような、行動ばかりが目立っていて、とても共闘してアメリカを倒すぞ!という雰囲気ではなかった。
一方のアメリカも、単独作戦ばかりで自らの力ばかりを誇示するばかりで、作戦としては、ちぐはぐなものになってしまっていた。
そんな中で、日本やアメリカを中心とした、大規模戦闘もないまま、1949年の新年を迎える事になった。
「あぁー。世間は新年なのに、どうしてこう毎日厳龍に缶詰なんだ?」
「おいおい、幹部が嘆いてちゃ、示しがつかんだろ?そんなんで大丈夫か?」
「たまには良いじゃないですか。そりゃ、ボヤキたくもなりますよ。」
「物分かりの良い部下を持つと、上司はやりやすいな?」
「そういう事じゃいかん!幹部たるもの…。」
「また始まりましたよ。井浦少佐の説教。」
「こいつは昔から、こういうカタブツな所があるんだよな。」
「倉沢少佐のように、たるんでる奴ばかりが幹部だと下に示しがつかん。」
「部下としては、緩い方がやり易いですけどね。割りと。」
「そうそう、肩の力は抜いた方が何事も判断しやすい。」
「お前らの場合、肩の力を抜きすぎて何も出来なくなっている。」
「それは言い過ぎですよ。倉沢少佐も我々クルーも、やるときはやってます。」
「それにしても、正月だもんな。餅食いてぇ。」
「郷土の白味噌仕立ての雑煮が食べたい。」
「給養委員に掛け合ってみるよ。雑煮と餅。」
「ありがとう。助かるよ。それくらいしても、バチは当たらないだろう。」
「俺達、こんな生活あとどのくらい過ごせば良いんでしょうか?」
「確かにな。もうこの世界に来て4年も立つからな。」
「そんなこと考えるよりも、一日を生き残る事を考える方が、賢いな。」
「それはそうなんだが、潜水艦てのは、65名の隊員全員が、同じ方向を見てなくちゃいけない。」
「一連托生ですからね。とにかく、こればっかりは気合いや根性では、どうにもなりません。」
「餅でも食って、気分転換するくらい、艦長も何も言わんだろ。というか、なんで俺を呼ばねぇんだ?って始まるぜ。」
「勇んでみたり、悩んでみたり、新年そうそう忙しい事だな。」




