下っ端の雑談
この日の当直は5人。寺野中佐、戸澤少佐、鈴木大尉、真野上等兵、三杉一等兵という顔ぶれだった。士官はCIC(戦闘指揮所)で、下士官は二人一組で見張りをさせられていた。
まずは、真野上等兵と三杉一等兵のペアから見ていこう。
「はぁあー、俺も外出してるはずだったのによ。藤堂の奴め。」
「真野上等兵は、本来なら外出か休暇をもらえるって聞いてましたけど?」
「三杉一等兵、察しがいいな。そうなんだよ。でも藤堂の奴がな…。」
「任務を交代させられる事はよくありますからね。驚く程の事じゃないですよ。」
「俺達、下っ端にも平等に休みをくれる艦長は素晴らしいよ!」
「正直、僕のような新人から見たら、本当雲の上の人ですからね。」
「階級以上に差を感じてしまうよな。ウ~ン。分かる分かる。」
「真野上等兵は、なぜ厳龍に乗ろうと思ったんですか?」
「何故も何も、適性検査受けたら、そのまま来いって言われてさ。」
「みんな望んでドルフィンマークをつけているのかと、思ってました。」
「まぁ、潜水艦乗りは給与が高いって聞いてたから、まぁいいかなって。」
「人間の心理なんてそんなものですよね。でも、とんだところへ来てしまいましたね。」
「ああ。それは言えてるな。こんな事が現実だとは、思いたくはない。」
「ここに来てもう2年位経ちますもんね。」
「いや、もっとたつか…。」
「どのくらい経ったかはどうでも良いんだよ。」
「真野上等兵は、帰りたいと思ったりしないんでしょうか?」
「俺は、給料さえもらえて、生きていればそれでいい。」
「真野上等兵は、変わってますね。僕は早く帰りたいです。」
「まぁ、不確定も何も、ここは全く違う過去だからな。」
「敵無しの厳龍ですが、いつか敗れる日は来るのでしょうか?」
「お前な!厳龍が敗れたら、俺達もそのまま御陀仏よ。」
「そうですよね。でもこれだけ長期間戦っていれば、研究されますよ?」
「テクノロジーが追いついていればな。戦えるかも知れないな。」
「厳龍は67年も未来の兵器ですよ?」
「人間というのは慣れる動物だからなぁ。」
「あ、交代の用ですよ‼話の続きまた聞かせてください。」
「おととい来やがれ。」




