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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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精一杯

 実際に、47式魚雷が配備されるきっかけは、たった2隻の潜水艦で、アメリカ海軍の重巡洋艦3隻、空母1隻大破という台戦果を、マリアナ諸島であげたという衝撃的なものであったという事に由来する。

 47式魚雷の登場で、日本海軍とアメリカ海軍の戦力均衡が崩れたのは確かで、押され気味だった日本海軍が、僅かに優勢になる所まできていた。

 アメリカ海軍も、新たな兵器を開発しては、実践投入してはいたものの、日本海軍に対しては、効果的なものとは言えない状態が、続いていた。

 この日、厳龍は47式魚雷を初めて搭載したものの、使わずじまいでいた。そんな厳龍の中での倉沢少佐と沖田の会話である。

 「しかし、まんまとやられたな。ガセネタとは。」

 「アメリカ海軍に、新兵器がどこまで通用するか試して見たかったですねぇ。」

 「それもそうだが、今は戦争中だ。効果的な作戦運用をしなくては、いけない。」

 「それは、僕ら下っ端には何ともならない事ですよ?」

 「そうだが、黙って任務をこなす。そうしているうちに光がさす。俺も防大時代によく先輩から言われたよ。」

 「では、艦長はいつもポジティブシンキングなんですね。」

 「そんな大それたものではないさ。ただ、人の上に立つものは、常に上を向いていないと駄目だろう?」

 「素晴らしい心構えですね。自分も見習わないと。」

 「倉沢少佐、君はそんな事より敵艦に、魚雷を当てる力を磨け。」

 「古い魚雷は、扱いにくいのですが、最近はやっと慣れて来ました。」

 「雷撃は、近代海戦においてなくてはならない能力だからな。」

 「アメリカ海軍も、そのうち対策を立てて来ないか心配です。」

 「いずれにせよ、この戦いの勝者が、この世界を引っ張って行く事になる。」

 「自分は、そんな事より、元の時代に戻れればそれで良いです。」

 「倉沢少佐も、下っ端のような事を言うんだな(笑)」

 「沖田艦長はもといた時代に、戻りたくないのですか?」

 「戻るとか戻らないとかよりも、今を生きるだけで精一杯だ。」

 厳龍は、終わりの見えない、先の見えない戦いを続けていた。

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